FP  —  ポスター3   (07-Aug-2009   10:00—15:00)

Paper Title Page
FPPSA01 J-PARC負水素イオン源LaB6フィラメント形状の最適化試験 839
 
  • K. Ikegami, A. Ueno, H. Oguri, Y. Namekawa, K. Ohkoshi
    J-PARCセンター
 
 

J-PARCイオン源は、セシウムを使用しないLaB6フィラメント駆動型負水素イオン源である。このイオン源から引き出される負水素イオンビーム強度は、LaB6フィラメントの大きさや形状によって異なることが分かった。そこでLaB6フィラメント形状の最適化に向けイオン源テストスタンドでこの形状差異によるビーム強度の変化をアーク電流300A固定で測定検証した。実機で使用している二重螺旋の29.5mmφのLaB6フィラメントではビーム強度35.2mA、同じく15mmφの物では41.8mA、3重ヘアピンの厚さ1.5mm幅3.5mmフラットLaB6フィラメントでは43.4mAであった。この他、多くの形状のLaB6フィラメントに対してのビーム強度測定も行った。

 
FPPSA02 J-PARC負水素イオン源の運転状況 842
 
  • H. Oguri, A. Ueno, K. Ikegami, Y. Namekawa, K. Ohkoshi
    J-PARCセンター
 
 

J-PARCで稼動中のLaB6フィラメント駆動型負水素イオン源は、加速器ビームスタディの内容により、高出力(約30mA)と低出力(約5mA)の運転を交互に行っている。運転開始から現在までの約3年の間、イオン源トラブルによる加速器ビーム停止時間は延べで50時間程度であり、、イオン源の稼働率は現状、98%以上である。初期のトラブルは主にフィラメントの不具合によるものであったが、フィラメント構造の改良を重ねた結果、現在では2030時間(うち高出力運転が780時間、低出力運転が250時間)のフィラメント連続使用実績を得ている。また、高出力モード運転時のビーム電流減少率は-0.4mA/dayと低く、イオン源オペレータによるビーム電流調整操作は1日1回程度である。本イオン源は、長時間フルスペック運転の実証などいくつかの課題がまだ存在するが、概ね実用機として十分なビーム性能と信頼性を有していると言える。

 
FPPSA03 J-PARC用負水素イオン源のセシウム添加実験 845
 
  • Y. Namekawa, A. Ueno, K. Ohkoshi, H. Oguri, K. Ikegami
    J-PARCセンター
 
 

現在J-PARCで稼動中の負水素イオン源は、セシウム不使用状態にて最大ビーム電流38mAを得ている。この性能は、J-PARC当初目標であるビームパワー0.6MW実現のための要求値を満たしているが、最終目標1MWの実現に必要な60mAには及んでいない。そこでJ-PARCでは、現行機のビーム大強度化実験を継続するとともに、これと並行して現行機のバックアップ機を用いてセシウム添加実験にも着手した。タングステンフィラメントによる実験にて目下、アークパワー15kWでビーム電流70mAを得ており、このような低パワーで大電流ビームを引き出せたことはセシウム添加型イオン源の課題であるセシウム導入量の低減化につながると期待できる。今後、フィラメントの種類や形状、プラズマ生成室内各部の温度制御を含めたセシウム添加方法、及びプラズマ閉じ込め磁場等の最適化実験を行い、セシウム添加型イオン源の実用性を検証する。

 
FPPSA04 永久磁石を用いた小型ECRイオン源の開発 848
 
  • M. Ichikawa, Y. Iwashita, H. Tongu, H. Fujisawa, M. Yamada
    京都大学 化学研究所
 
 

現在、物質の内部構造を探る新たなプローブとして中性子が注目されている。しかし、実用可能な中性子源施設は数が限られている。そこで我々はLi(p,n)反応を用いた陽子線形加速器ベースの小型中性子源の開発を目指している。 まずその第一歩として小型かつ大強度の陽子源の開発に着手した。イオン源の種類としては小型、大強度であることに加えメンテナンスフリーであることや運用コストが安いこと、分子状イオンに対する陽子の割合が大きいことなどを実現するために永久磁石を用いたECRイオン源を採用した。 これまでに試作1号機から得られた結果をもとに2号機を開発しそれを用いた測定を行っており、そこで得られた結果について発表する。

 
FPPSA05 RCNPにおける 18GHz SCECR による重イオン多価ビームの生成 851
 
  • T. Yorita, K. Hatanaka, M. Fukuda, M. Kibayashi, S. Morinobu, H. Okamura, A. Tamii
    大阪大学 核物理研究センター
 
 

大阪大学核物理研究センター(RCNP)では、AVFサイクロトロン及びリングサイクロトロンでの加速ビームの強度の増強及び多価の重イオンの生成による加速イオンの多様化を目指し、18GHz超伝導ECRイオン源を導入し開発を進めている。 これまでB, C, O, N, Ar, Kr, Xe などのイオン生成の開発が行われて、C~Krビームについては既に実験ユーザーに供給されてきた。 今回、多価のXeビームの増強を目指し、超伝導コイルによるミラー磁場や出口電極の形状等の条件の最適化を行った。この開発の結果、更なるビームの増強が実現した。 講演ではこれら開発結果の詳細について報告する。

 
FPPSA06 小型ECRイオン源Kei2における炭素の多価イオン生成試験 854
 
  • M. Muramatsu, A. Kitagawa, S. Hojo, A. Drentje
    放射線医学総合研究所
 
 

小型ECRイオン源(Kei2)は、普及型炭素線がん治療装置で使われる、炭素イオンの4価を生成するのを目的として放射線医学総合研究所で開発された。これまで行ったビームテストの結果、目的のC4+では0.6 emA得られており医療用としてKei2は十分な性能が得られている。今後、多価イオンのビーム強度の増強を行なうことによって、普及型治療装置の入射器である線形加速器の小型化が期待できる。 今回、多価イオンのビーム強度を増やすために、ガスミキシング法を用いた。また、マイクロ波源の出力を上げることにより、より高い強度が得られることが期待できる。ビームテストの結果、引出電圧30 kVのときにC5+では0.16 emAのビーム強度が得られた。さらに、Kei2の性能を確認するために、13CH4, 13C2H2ガスを用いて13C6+イオンの分析を行った。

 
FPPSA07 ナノイオンビームに向けたクーロン結晶の射出実験 857
 
  • K. Izawa, K. Ito, H. Higaki, H. Okamoto
    広島大学 大学院先端物質科学研究科
 
 

イオントラップ中に捕捉したイオン群にレーザー冷却法を適用して極低温にまで冷却するとクーロン結晶化する.この状態のエミッタンスは量子的な揺らぎを無視すればゼロとなる.従って,クーロン結晶状態を維持したままイオン群をトラップから取り出すことが出来れば,極めて低エミッタンスのビーム源となる.特に紐状のクーロン結晶の場合にはナノメータオーダーのビーム径,等間隔に並んだ結晶構造,そして非常に小さなビーム拡がりを有する”ナノイオンビーム”となる.  本発表では線形ポールトラップ中で生成したクーロン結晶の射出実験について報告する.

 
FPPSA08 KEKにおけるERL放射光源用500kV電子銃の開発計画 860
 
  • M. Yamamoto, Y. Honda, T. Miyajima, T. Uchiyama, M. Kobayashi, S. Mutoh, S. Sakanaka, K. Satoh, Y. Saito, T. Honda, Y. Kobayashi, H. Kawata
    高エネルギー加速器研究機構
  • S. Matsuba, M. Kuriki, C. Shonaka, D. Kubo
    広島大学先端物質科学研究科
  • N. Nishimori, R. Nagai, H. Iijima, R. Hajima
    日本原子力研究開発機構
  • M. Kuwahara, S. Okumi, T. Nakanishi
    名古屋大学理学研究科
  • X. Jin, Y. Maeda, T. Ujihara, Y. Takeda
    名古屋大学工学研究科
  • H. Kurisu
    山口大学
 
 

ERL実証機となるコンパクトERL(cERL)の建設準備がKEK東カウンターホールにて進められている。cERL早期運転実現のため、開発要素の多い電子銃部については実機開発の他、バックアップおよびR&D機としてJAEAおよびKEKそれぞれにおいて同時に開発を進めることとなった。現在JAEAで先行して立上げが行われている1号機に対し、今後KEKにて立上げる2号機では、1号機との互換性を持たせつつも、①透過型光陰極の採用、②光陰極複数同時活性化およびその保存機能をもつ準備システムの開発、③電子銃の極高真空化のための真空系および600kV絶縁セラミック管の開発・改良に力点をおき現在、設計を進めている。

 
FPPSA09 ERL放射光源用500kV-DC電子銃の高電圧印加試験 863
 
  • R. Nagai, R. Hajima, N. Nishimori, H. Iijima
    日本原子力研究開発機構
  • T. Muto, Y. Honda, T. Miyajima, M. Yamamoto
    高エネルギー加速器研究機構
  • M. Kuriki
    広島大学
  • M. Kuwahara, S. Okumi, T. Nakanishi
    名古屋大学
 
 

原子力機構、KEK、広島大学、名古屋大学では協力してERL放射光源用のDC電子銃の開発を行っている。ERL放射光源の電子銃では空間電荷効果によるエミッタンスの増大を抑えるために500kV程度の加速電圧が要求されている。セラミック管の中央を高電圧のロッドが通るという特殊な形状のために、安定にDC高電圧を印加することが難しく、このような高い電圧の電子銃はまだ実現されていない。そこで、500kVでの運転を実現するためにチタン製のガードリングを備えた10段分割型のセラミック管、チタン製高電圧ロッドを製作し高電圧印加試験を行ったので、その結果について報告する。

 
FPACA01 1.3GHzERL主加速器用20kW入力カプラー開発の現状 866
 
  • H. Sakai, K. Umemori, S. Sakanaka, T. Takahashi, T. Furuya
    高エネルギー加速器研究機構
  • K. Shinoe, A. Ishii, N. Nakamura
    東京大学 物性研究所
  • M. Sawamura
    日本原子力研究開発機構
 
 

空洞の外乱の影響を抑え、エネルギー回収下の安定な運転を行うため、前年度は負荷Q値2×10^7にて20kWの入力パワー投入を設計値とし、ERLの主加速器用の入力カプラーの設計を進めた。今年度はこれら入力カプラーの重要コンポーネントであるセラミック窓(Cold窓、Warm窓)とベローズ部の20kW投入時の性能評価を行うため、30kW IOTを用いたテストスタンドの構築及びそこでのパワー試験を行った。ベローズの冷却はおおむね計算の予想通りであったが、Cold窓では投入パワーが8kWを過ぎた時点で急激な温度上昇が見られた。その後のlow level測定と詳細な計算からセラミック窓に立つdipole modeが原因であると予想されており、今後、改良型Cold窓の製作を行い、テストスタンドでの試験を行うとともに今年度に入力カプラーの製作を行う予定である。

 
FPACA02 シンセサイザーを用いた高周波振幅・位相信号検出器の校正方法 869
 
  • T. Ohshima, H. Maesaka, N. Hosoda, S. Matsubara, Y. Otake
    理化学研究所
 
 

XFEL/SPring-8では、加速空洞の高周波振幅変動を1E-4、位相精度を50fsに維持しなければならない。そのために我々は、IQ変調器・検出器、DAC/ADCの開発を行った。しかし、例えば加速高周波5712MHzのIQ検出器の読み取り振幅偏差は、移相2πの範囲で±1.8%であった。ビーム調整では、この偏差があると移相により振幅が変り不便である。そこで、以下に述べる移相に対する振幅変動最小化の補正法を開発した。IQ検出器への基準信号とは異なった周波数の検出信号を入力することで位相スイープを行い、誤差の測定を行う方法である。この方法で得られた誤差値によりIQ検出特性を補正したところ、前記の振幅偏差は2πの範囲で±0.17%に抑えることができた。この値は、前記の要求振幅変動の1E-4以上だが時間変化しないので、位相制御性としては十分である。本発表では補正方法の詳細と結果について述べる。

 
FPPSA10 ERL放射光源用500kV DC電子銃の光陰極準備システムと高電圧真空容器の開発 872
 
  • N. Nishimori, R. Nagai, H. Iijima, R. Hajima
    日本原子力研究開発機構
  • M. Yamamoto, T. Muto, T. Miyajima, Y. Honda
    高エネルギー加速器研究機構
  • M. Kuriki
    広島大学
  • M. Kuwahara, S. Okumi, T. Nakanishi
    名古屋大学
 
 

JAEA、KEK、広島大学、名古屋大学はERL放射光源用の500kV DC電子銃の共同開発を行っている。NEA GaAs光陰極準備システムの設計、製作を行い、このシステムを使ってNEA 光陰極を作成し、その量子効率を測定した。また、高電圧真空容器の設計、製作を行った。特に光陰極の寿命に直結する真空ポンプシステムの設計を注意深く行った。開発の現状について報告する。

 
FPPSA11 フォトカソードRF電子銃における光半導体素子を用いた電子ビームの光学変調 875
 
  • T. Kondoh, J. Yang, K. Kan, K. Norizawa, A. Ogata, Y. Yoshida
    大阪大学 産業科学研究所
 
 

阪大産研フォトカソードRF電子銃加速器を用いて、その入射部において光学的な手法により、強度変調放射線治療のための電子ビームの強度変調技術を研究・開発している。微小がんへの照射と呼吸同期を実現するには、高空間分解能と高速変調を同時に実現する素子が必要であり、我々はテキサスインスツルメンツ社製の光半導体素子であるデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いて実験を行った。DMDを用いた電子ビームの光学的強度変調と動的制御に成功した。その結果を報告する。

 
FPACA03 ERL用HOMダンパーの開発 878
 
  • M. Sawamura
    日本原子力研究開発機構
  • K. Umemori, T. Furuya, H. Sakai
    高エネルギー加速器研究機構
  • K. Shinoe
    東京大学物性研究所
 
 

ERL用超伝導主加速器におけるHOM対策として、HOMのQ値の低い空洞を設計・製作してきた。HOMはビームパイプを伝播し、ビームパイプの途中にある高周波吸収体を含むHOMダンパーで減衰される。クライオモジュール内で空洞間に設置されるHOMダンパーは液体窒素温度程度に冷却される。そのため高周波吸収体は、広範囲のHOMに対応した周波数特性と、低温でも十分に吸収可能な温度特性を持つことが要求される。フェライト、セラミックなどの高周波吸収体の誘電率、透磁率の周波数特性の測定を行うとともに、GM冷凍機を用いた低温試験装置による常温から40Kまでの温度特性の測定を行い、HOMダンパーに最適な高周波吸収体を選択した。また電磁波解析コードを用いてHOMダンパーにおける高周波吸収体のサイズや位置を最適化した。これらの結果をもとにHOMダンパーの試作機の製作を進めている。

 
FPACA04 XFEL/SPring-8テストスタンドでのCバンド加速器システムの高電界RF試験 881
 
  • T. Sakurai, T. Inagaki, C. Kondo, T. Shintake
    理化学研究所 X線自由電子レーザー計画推進本部
  • K. Shirasawa, S. Suzuki
    高輝度光科学研究センター
 
 

XFEL/SPring-8で使用するCバンド加速器システムの高電界RF試験について報告する。 C-band加速器システムはCバンド加速管2本、パルスコンプレッサー、Cバンドクライストロン、モジュレータ、高精度充電器等から構成される。XFEL/SPring-8ではこの構成を64ユニット使用し、電子ビームを400MeVから8GeVまで加速する。我々は昨年建設したテストスタンドにおいてRF機器の高電界性能の確認試験やRFエージングに必要な所要時間や手順の確認、モジュレータ等の高電圧機器の試験、制御を含めた実機システムの統合試験を行ってきた。これまでに400時間以上のRFエージングおよび高電界RF試験を2ユニットで実施した。RFエージング完了時の加速管の最大加速電界は40MV/mに達している。発表では高電界での運転状況やRFエージングの経過、加速管からの暗電流などを報告する。

 
FPPSA12 LバンドフォトカソードRF電子銃の開発(II) 885
 
  • S. Kashiwagi, R. Kato, N. Sugimoto, K. Furuhashi, Y. Morio, Y. Terasawa, G. Isoyama
    大阪大学産業科学研究所
  • H. Hayano, H. Sugiyama, J. Urakawa
    高エネルギー加速器研究機構
  • M. Kuriki, D. Kubo, C. Shonaka
    広島大学大学院先端物質科学研究科
  • K. Kambe
    東京大学大学院工学系研究科原子力専攻
 
 

阪大産研Lバンド電子ライナックの高輝度化(大電荷量・低エミッタンス化)を図るために、KEKと広大先端研と共同で共振周波数1.3GHzのLバンドRF電子銃の開発を行っている。またこれと並行して、KEK超伝導加速器試験施設(KEK-STF)のビーム加速実験に用いるLバンドRF電子銃の開発およびそのビーム実験に向けたビームライン構築を開始した。これまでに、アルミ製の試験空胴および同軸導波管結合器を製作し、その特性評価を通してより高い性能のRF電子銃空胴および結合器のRF設計を行っている。また、エミッタンス補正用のソレノイド電磁石に関して、主コイルと補正コイル(バッキングコイル)を結合させたタイプのものを開発中である。本学会では、LバンドフォトカソードRF電子銃開発の現状について報告する。

 
FPPSA13 フォトカソードRF電子銃におけるフェムト秒電子線パルスの発生 888
 
  • K. Kan, J. Yang, T. Kondoh, K. Norizawa, A. Ogata, T. Kozawa, Y. Yoshida
    大阪大学 産業科学研究所
 
 

フェムト秒電子線パルスは、パルスラジオリシスや超高速電子線回折における時間分解能向上のために不可欠である。そこで、フェムト秒レーザーによる、フォトカソードRF電子銃におけるフェムト秒電子線パルスの発生を行った。さらに、エミッタンス、エネルギー分散などのビーム特性を計測し、電子銃におけるビームダイナミクスの研究を行った。

 
FPPSA14 東京大学におけるNa2KSb光陰極高周波電子銃の可視光駆動試験 891
 
  • K. Miyoshi, K. Kambe, M. Uesaka
    東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻
  • T. Ueda
    東京大学大学院工学系研究科原子力専攻
  • A. Sakumi
    亀田メディカルセンター
 
 

東京大学18MeVライナックでは光陰極高周波電子銃の研究開発を行っている。光陰極として可視光レーザーで駆動できる程度の仕事関数をもつNa2KSbを用いていることに大きな特徴があり、パルスあたり数nCという大電荷量を長時間供給できるような高輝度電子源として期待されている。本発表では、Na2KSb光陰極の紫外光及び可視光レーザーによるビーム発生試験結果を報告する。また、東京大学ライナック研究施設では、電子ビーム応用実験に向けて大電荷・短パルスのビーム発生試験も行っている。シケイン型磁気パルス圧縮器を用いた数100pC~数pCの電子バンチのパルス圧縮実験では、電荷量500pC,1.5nCのそれぞれについて、ストリークカメラによるパルス幅計測値として600fs,1.3psを達成した。それらの結果を合わせて報告する。

 
FPPSA15 GaAs光カソード加熱によるダーク寿命の低下についての研究 894
 
  • C. Shonaka, M. Kuriki, H. Iijima, D. Kubo, Y. Masumoto, H. Okamoto, H. Higaki, K. Ito
    広島大学 大学院先端物質科学研究科
  • M. Yamamoto
    高エネルギー加速器研究機構
  • T. Konomi
    総合研究大学院大学
  • M. Kuwahara, S. Okumi, T. Nakanishi
    名古屋大学 大学院理学研究科
 
 

広島大学ビーム物理研究室では、高輝度電子源のためのGaAs光カソードの研究をおこなっており、より高い量子効率でかつ長寿命のカソード生成を目指している。本実験では、将来の高輝度電子ビーム発生で使用する大強度レーザーによる、GaAs表面加熱の寿命への影響について研究した。GaAsにおいて、Csと酸素の蒸着(Yo-Yo法)によりNEA表面を生成した後、GaAsを加熱し、そのときの寿命の変化を測定した。その結果、カソードの温度上昇とともに寿命が急激に低下することが分かった。また、寿命が時間のみに依存するダーク寿命と、引き出し電荷量に依存するビーム寿命からなると仮定し、各々を加熱時、非加熱時で比較した。非加熱時の寿命はほぼビーム寿命で決まっているのに対し、温度上昇時にはダーク寿命が急激に低下し、その成分が支配的となることが分かった。

 
FPPSA16 JAEA 250kV 電子銃におけるNEA-GaAsからの初期エミッタンス計測 897
 
  • H. Iijima, R. Nagai, N. Nishimori, R. Hajima
    日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門
 
 

NEA-GaAsフォトカソードからの初期エミッタンス計測に関して報告する。JAEAでは次世代放射光源のために、NEA-GaAsをフォトカソードとした250kV DC電子銃の開発を行ってきた。昨年までに、ビーム計測を目的とした約4mのビームラインの構築を行った。エミッタンスは、ここに設置された幅50micro-mのスリットとYAGスクリーンを用いたシングル・スリットスキャン法で測定している。カソードはHe-Neレーザー(波長633nm)によって駆動し、空間電荷効果を無視できる電流値1micro-A程度のC.W.ビームを測定している。得られたデータは”self-consistent method”によって解析した。レーザーの半径160micro-m (rms)に対する規格化エミッタンスの値は0.05mm-mradであった。

 
FPPSA17 高輝度X線発生装置用集束系の最適化 900
 
  • T. Sakai, S. Ohsawa, T. Sugimura, M. Ikeda
    高エネルギー加速器研究機構
  • N. Sakabe
    高エネルギー加速器研究機構、国際科学振興財団
 
 

科学技術振興機構より「高輝度X線発生装置の開発」を受託し、新型の回転対陰極を用いた高輝度X線源用の電子銃、集束系の開発を行っている。従来方式の回転対陰極では、輝度45kW/mm2(負荷2kW)がほぼ限界であるが、断面がコの字型をした新型の回転対陰極を用い、円筒内面に電子ビームを照射する方式を採用することにより、試験機を用いた測定では、これまでに130kW/mm2(負荷2.3kW)を達成している。当面は225kWmm2(負荷9kW)を目指しているが、最終的な開発目標値は輝度1MW/mm2である。この目標値達成には、照射電子ビームの高密度化が必須であり、特に集束磁石の最適化が非常に重要である。現在は、GPT、Opera、EGUNを用いたシミュレーションにより、最適化を行っている。本発表では、シミュレーションによる電子ビーム集束系の最適化に関して報告する。

 
FPPSA18 振幅を安定化したレーザーパルス同期RF発振器の開発 903
 
  • H. Dewa, A. Mizuno, T. Taniuchi, H. Tomizawa, H. Hanaki
    高輝度光科学研究センター
 
 

フォトカソードRF電子銃においてRF位相とレーザーパルスの同期技術は重要であり、時間ジッターは発生する電子ビームの安定度を左右する。SPring-8においては低ジッターの同期を実現するために2002年から89.25MHzのレーザーパルスのフォトディテクター出力信号を32逓倍して2856MHzのRF信号を生成している。この回路は原理的に低ジッターであるが、単純にフォトディテクター出力信号を増幅して2856MHzのBPFを通しただけの回路のためレーザーのパワーの変動によりRFの振幅が変動する問題があった。これに対処するために今回振幅を安定化したレーザーパルス信号ドライブRF発振器の開発をおこなった。RF振幅の安定化のためにリミッティングアンプを導入した結果、RF振幅のRMS偏差は従来の回路と比較して1.18%から0.173%に減少し、ジッターもサンプリングオシロの測定限界以下まで低減できた。

 
FPACA05 XFEL/SPring-8入射部における高周波システムの開発状況 906
 
  • T. Asaka, H. Ego, T. Kobayashi, S. Suzuki, H. Hanaki
    高輝度光科学研究センター
  • T. Inagaki, K. Togawa, Y. Otake
    理化学研究所
 
 

XFEL/SPring-8では、アンジュレーター入口で3kAのピーク電流、1πmm mrad以下のエミッタンスといった高品質ビームの安定供給が要求されている。電子入射部の電子集群空胴、ならびに初段加速管は、従来のレベルの1桁上回る安定度が要求されている。とくに238MHz、476MHz、1428MHzの位相精度は120fs (1σ)の時間ジッターに抑制されなければならない。これを実現するため、高周波増幅器電源部においては温調系の導入、低雑音電源の採用、シールド強化、配線経路の最適化など徹底した安定化対策が施された。その結果、10^-5の電力安定度、130fs(1σ)の時間ジッターを達成している。本稿では、電子入射部で用いる高周波システムの概要を示すとともに、既に製作が完了した238MHz 14kW増幅器、476MHz 120kW IOT、1428MHz 10kW増幅器の性能について述べる。

 
FPPSA19 低エネルギー電子顕微鏡用偏極電子源の性能と高エネルギー加速器への応用 911
 
  • S. Okumi, M. Kuwahara, A. Mano, Y. Nakagawa, T. Nakanishi
    名古屋大学 大学院理学研究科
  • X. Jin, N. Yamamoto, T. Ujihara, Y. Takeda
    名古屋大学 大学院工学研究科
  • M. Suzuki, M. Hashimoto, T. Yasue, T. Koshikawa
    大阪電気通信大学
  • M. Yamamoto
    高エネルギー加速器研究機構
  • T. Ohsima, T. Kohashi
    日立中央研究所
  • T. Saka
    大同大学
  • T. Kato
    大同特殊鋼
  • H. Horinaka
    大阪府立大学
 
 

基板に磁性体を蒸着させたときの磁区構造をリアルタイムで観察できるスピン偏極低エネルギー電子顕微鏡(SPLEEM)用偏極電子源を開発した。偏極電子ビームは ~5×10^-10Pa の極高真空環境下で、電極間暗電流を 1nA以下に保たれ、5MV/m の電界で引き出される。また、ビーム性能は90%のスピン偏極度を持ち、基板の裏面からレーザー光を照射させる透過光吸収型フォトカソードを開発することによって、レーザー光スポット径を1.2μmに絞れたことにより、1.3×10^7A・m^-2・sr^-1・V^-1の還元輝度を得た。さらに、フォトカソードはNEA表面放出機構を用いているためにエネルギー幅の狭い電子ビームの取り出しが可能であり、高エネルギー加速器用の低エミッタンスを必要とする電子源に有用だと思われる。

 
FPACA06 XFEL/SPring-8クライストロン用パルス電源のPFN回路シミュレーション 914
 
  • K. Shirasawa, T. Inagaki, C. Kondo, T. Sakurai, T. Shintake
    理化学研究所
 
 

XFEL/SPring-8で主加速器に使用されるクライストロン用モジュレータの,PFN回路の最適化をシミュレーションにより行った。本モジュレータは,PFN回路とパルストランスが絶縁油を満たした同じ筐体に収められており,Cバンド50 MWクライストロンを駆動する為,-350 kV, パルス全幅5 us(平坦部2.5 us)の高電圧パルスを発生する。一般的にクライストロン電源のPFNコイルは,アルミリングによりインダクタンスを調整するが,本モジュレータではアルミリングを省略したため調整することが出来ない。よって,設計段階でPFNコイルの定数を決定する為,シミュレーションを行った。PFNは16段で構成されるので各コイルのインダクタンスを調整し,所定の電圧パルスを得る。細かな調整に関しては,パルス平坦部の平坦度を評価関数とし,焼き鈍し法を用いてコイルのインダクタンスを最適化した。

 
FPPSA20 オンライン同位体分離器を用いた放射性核種ビームの生成・分離 918
 
  • Y. Otokawa, A. Osa, M. Matsuda, T. Sato, S. Ichikawa
    日本原子力研究開発機構
  • S. Jeong
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

原子力機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、放射性核種ビーム(RNB)の生成と加速に関する共同研究を進めている。RNBは、オンライン同位体分離器(ISOL)に設置された標的付イオン源にJAEAタンデム加速器からの荷電粒子を入射し、核反応で生成する。その後、生成核は、イオン化、質量分離され、短寿命核分離加速実験装置(TRIAC)により最大1.5MeV/uまで加速される。 我々は、イオン源として表面電離型と低電圧アーク放電型の2種類を開発し、ウランの陽子誘起核分裂で生成した核分裂片の内、約100種類を0.1-30%の効率で引出せる事を確認した。加えて、核分裂片123In, 143Ba をTRIACに入射し、0.178MeV/uまで加速することにも成功した。 本研究会では、ISOLイオン源とRNB加速の現状ならびに、新たなISOLイオン源開発の状況と結果について報告する。

 
FPACA07 XFEL/SPring-8向けクライストロン用パルス電源のノイズ対策 921
 
  • C. Kondo, T. Inagaki, K. Shirasawa, T. Sakurai, T. Shintake
    理化学研究所/SPring-8
 
 

XFEL/SPring-8では、低エミッタンスの電子ビームを安定的に加速させるため、制御機器や測定装置を安定的に動作させる必要がある。そのためには、従来大きなノイズ源となっていたRF源を、低ノイズ化することが重要であった。 そこで我々は、堅牢な鋼鉄製タンクで製作されたモジュレーター電源にクライストロンを取り付けた、一体型モジュレーター電源を開発し、様々なノイズ対策を施すことで漏洩ノイズの低減を目指している。このような一体化により、電源動作時に発生する5kAもの大電流パルスの経路が筐体内で閉じられるため、その電磁ノイズを筐体内部に封じ込めることができるようになった。また、ヒーターラインに乗るサイラトロンのスイッチングノイズは、筐体導入部にエポキシ含浸型ノイズフィルター(利昌工業製)を備えることで抑え込んでいる。 本発表では、これらのノイズ対策の詳細と、そられの効果について述べる。

 
FPACA08 三菱重工業におけるILCに向けた超伝導加速空洞の開発状況 925
 
  • H. Hitomi, K. Sennyu, H. Hara, T. Yanagisawa, K. Kanaoka, M. Matsuoka
    三菱重工業株式会社
 
 

ここ数年,三菱重工業では高エネルギー加速器研究機構(KEK)と共同で超伝導加速空洞を開発・製作し,設計・製作技術を蓄積してきた。KEKB用超伝導クラブ空洞,次世代放射光源ERL用超伝道加速空洞のR&D,国際リニアコライダー(ILC)計画R&D(STF)用超伝導加速空洞が主たる例である。2007年からKEKBに導入された超伝導クラブ空洞は,2009年に世界最高のルミノシティ達成に貢献した。 当社では,ILC計画の実現に向けて超伝導加速空洞の更なる性能向上を目指しKEKとの共同開発を進めると共に,量産化に向けた生産技術の開発に取り組んでいる。本発表では,ILC計画R&D(STF)における当社の取り組み状況を報告する。

 
FPACA09 空洞内面検査カメラの自動画像取得と欠陥検出 928
 
  • Y. Kikuchi, Y. Hoshi
    東北学院大学
  • K. Watanabe, H. Hayano
    高エネルギー加速器研究機構
  • Y. Iwashita
    京都大学
 
 

ILCの超伝導加速空洞内面に傷やピットなどの欠陥があると電界や磁界を強調しフィールドエミッション、クエンチの原因となる。それらの欠陥を見つけるために内面検査カメラが用いられてきたが、手動の操作では時間が掛り間違いも多い。本研究はそれらの点を撮影、空洞の駆動の自動化、及び自動欠陥検出を導入することを目標とする。内面検査カメラの自動化はPCからシリアル通信を行いモータ、ローラを制御し空洞の回転、移動、撮影を自動で行えるようにした。自動欠陥検出にはいままで検出した欠陥画像を用いた付着物検出ソフトおよびOpenCVライブラリを用いたパターンマッチングを使用した。その結果、9セル空洞の電子ビーム溶接部の撮影時間は約8時間から約2時間に縮まったが、欠陥検出はまだ開発途上である。欠陥検出の問題点は主に背景が複雑であることが原因として考えられる。2値化で背景を消去し、パターンマッチングを行う方式を試みる。

 
FPACA10 TTF-V入力結合器の大電力試験 931
 
  • M. Sato, E. Kako, Y. Yamamoto, K. Watanabe, S. Noguchi
    高エネルギー加速器研究機構
  • H. Jenhani
    CEA-Saclay
 
 

ILC・Lバンド超伝導空洞の大電力用入力結合器がLALにおいて設計され、2009年2月から5月にかけてKEKと共同でエージング試験を行った。2月の試験ではパルス幅20μs、繰り返し周波数1Hzと5Hzの低電力運転を重点的に行い、順次電力を上げて行き、最終的にパルス幅1.5ms、繰り返し周波数5Hzの状態で1MWまで到達することができた。試験運転時は真空度と光学式アークセンサーをRFソースインターロック系に取り入れ、入力結合器の異常を検出し損傷を防いでおり、真空度の悪化によりエージング時間がかかった。超伝導空洞に使用される多くの入力結合器はセラミック窓によりコールド側とウォーム側に真空的に切り離されており、このセラミック窓付近の真空悪化、電子放出、温度上昇により、大電力時の長時間運転には問題があった。本件では一連の試験運転について報告する。

 
FPACA11 KEK-STFにおける超伝導加速空洞の空洞内面検査 934
 
  • K. Watanabe, H. Hayano, S. Noguchi, E. Kako, T. Shishido, Y. Yamamoto
    高エネルギー加速器研究機構
  • Y. Iwashita
    京都大学化学研究所
  • Y. Kikuchi
    東北学院大学
 
 

KEK-STFでは、超伝導加速空洞における空洞性能の歩留まり向上のために、高分解能カメラ(京都カメラシステム)を用いた空洞内面検査を行っている。縦測定で観測される発熱位置およびそのときの加速電界と空洞内面に見られる欠陥(溶接シームの状態や欠陥など)との相関を調査するために、STF Baseline空洞(MHI-05、MHI-06およびMHI-07、MHI-08、 MHI-09)を用いて各処理工程における空洞内面の様子を調べ、縦測定前に欠陥と思われる箇所を事前に調査して縦測定を行った。空洞内面の主な検査箇所はセル赤道部およびアイリス部の電子ビーム溶接の溶接シームおよびその近傍である。また、空洞製作直後からの各表面処理における表面状態の変化を追跡していくことで、工業化における空洞の品質基準の明確化を試みている。本報告では、空洞内面検査結果と縦測定で観測された発熱位置との関係について報告する。

 
FPACA12 導波管の電力分配システム(KEK STF) 937
 
  • T. Takenaka, H. Matsushita, T. Matsumoto, M. Akemoto, H. Katagiri, K. Nakao, H. Nakajima, Y. Yano, S. Michizono, H. Honma, S. Matsumoto, M. Yoshida, T. Shidara, S. Kazakov, S. Fukuda
    高エネルギー加速器研究機構
  • S. Aizawa, Y. Kawane
    日本高周波株式会社
  • S. Okamoto
    古河C&B株式会社
 
 

 トーナメント方式およびリニアー方式の導波管システム(PDS)へリフレクタと移相器を挿入し空洞へ高周波電力を入れた。そのときのリフレクタおよび移相器の有効性を確認できた。また、大電力で使用できることも確認してある。トーナメント方式において3dBハイブリッド(可変型)で組んだ場合それぞれのハイブリッドのアイソレーションが影響するので現状ではアイソレータが必要である。 昨年空洞への電力投入で500kWアイソレータが放電を起こしたので改修し試験をしたが幾つか放電を起こしたので分解調査し、今後の課題として検討している。高周波2号機が5MWまでエージング出来たので高周波窓の5MW電力試験を行った。今後5MWの電力透過試験が必要な導波管のコンポーネントについて検討している。また、窒素加圧をして耐圧試験も実施する予定である。今後のS1GとSTF2へ向けた導波管システムの展開も検討している。

 
FPACA13 加速管の内部三次元形状の測定 940
 
  • K. Enami, T. Kume, Y. Higashi, K. Ueno
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

本研究の目的は,加速管の内面の三次元形状の非接触測定である. 現在,超伝導加速空洞は,ハーフセルの段階ではその形状測定が可能であるが,赤道部を溶接してセルとなった状態ではその内部形状は測定できない.また,現在開発中のシームレス加速管においては,最初から最後まで内部形状は測定不可能である.内部形状を得るため,三次元測定機を用いて外部形状を測定し,これに超音波厚さ測定の数値を加えることも考えられるが,アイリス部では厚さ測定が困難であることや,三次元測定機での外部形状の測定が困難,時間がかかるといった問題がある.そこで,画像測定を用いた非接触測定プローブを加速管内に挿入し,内部から直接三次元形状を測定する装置を考案し,測定実験を行っている.

 
FPACA14 ILC/STF用超伝導空洞の加速モード周波数変化 943
 
  • T. Shishido, E. Kako, S. Noguchi, H. Hayano, Y. Yamamoto, K. Watanabe
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

ILC/STF用として開発されている9セルBaseline空洞の運転周波数は1300MHzである。運転時には600kHz分の負荷をかけるので運転開始時の周波数として1299.4MHzに調整する必要がある。空洞の周波数変化の要因としては各種表面処理、300Kから2Kへの温度変化、大気圧から真空への圧力変化が上げられる。各行程における周波数変化量を把握して運転開始時に1299.4MHzになる様、加速モード周波数及び電場平坦度を調整するのがPre-Tuningである。新たに製造されたBaseline空洞MHI-05,06,07,08,09号機について、加速モード周波数及び電場平坦度の調整結果を報告する。

 
FPACA15 STF Phase-1におけるデジタル低電力高周波制御系 947
 
  • T. Matsumoto, H. Katagiri, T. Miura, S. Michizono, Y. Yano, S. Fukuda
    高エネルギー加速器研究機構
  • Y. Okada
    NECネットワーク・センサー(株)
 
 

超伝導空洞を用いるILC (International Linear Collider) 開発に向けて、高エネルギー加速器研究機構ではSTF (Superconducting RF Test Facility) 計画を進めている。ILCでは、加速電場に対して振幅安定度0.07%、位相安定度0.24度の要求があり、高周波源の低電力系でフィードバックやフィードフォワードを用いた制御を行う必要がある。このためデジタル信号処理を使った低電力高周波制御系の開発を進めてきた。 STF計画Phase-1では、1つの高周波源による4台の超伝導空洞を用いた運転が2008年秋から12月末まで行われ、このデジタル低電力高周波制御系の実証試験を行った。本発表では、この試験結果について報告を行う。

 
FRVAA01 大強度電子・陽電子蓄積リング用アンテチェンバー付き銅製ビームダクトの開発 950
 
  • Y. Suetsugu, K. Shibata, H. Hisamatsu, M. Shirai, K. Kanazawa
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

数アンペアの大電流を蓄積する電子・陽電子蓄積リング用ビームダクトには、ビームからの強烈な放射光に対処できること、ビームインピーダンスが十分低いこと、さらに陽電子リングでは電子雲不安定性を抑制できること、などが要求される。我々は、銅製のアンテチェンバー付きビームダクトを提案し、その実用化に向けて研究・開発を行っている。これまで、引き抜き法によってウィグラー部用のストレートダクトを試作し、同時に開発したベローズチェンバー、BPMブロック等と供にKEKB陽電子リング直線部に設置してビームテストを行ってきた。引き続き昨年来、アンテチェンバー内にNEGポンプを挿入し、また、銅合金製接続フランジを採用したアーク部偏向電磁石、四極電磁石用のビームダクトを試作した。これらは、現在同リングのアーク部に設置されビームテストが行われている。これまで開発してきたビームダクトおよびその試験結果を報告する。

 
FPACA16 KEK超電導RF試験装置(STF)のRF源の開発 953
 
  • S. Fukuda, T. Miura, M. Akemoto, H. Katagiri, T. Shidara, T. Takenaka, H. Nakajima, K. Nakao, H. Honma, S. Matsumoto, T. Matsumoto, H. Matsushita, S. Michizono, Y. Yano, M. Yoshida, S. Kazakov, H. Hayano
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

KEKではILC計画を見据えた超電導RF試験装置(STF)を展開中である。4つの超電導空洞へ電力を供給するSTF-I計画を2008年末に終了し、時期の計画への準備(S1-global及びSTF-II計画)に向けて作業中である。STF-1計画では4台の空洞へ異なる2つの電力分配立体回路系を介して電力を供給し、LLRFのフィードバックをかけたヴェクターサム制御を行った。ILCに向けたサーキュレータを取り除いた場合の影響などについても実験を行った。本報告では最新のSTF-1におけるRF源の成果を報告する。

 
FRVAA02 TiNコーティングされた銅製ビームダクトのガス放出特性 956
 
  • K. Shibata, Y. Suetsugu, K. Kanazawa, H. Hisamatsu, M. Shirai
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

次世代の陽子/陽電子リングでは電子雲不安定性の対策が不可欠である。ビームダクト内表面への窒化チタン(TiN)コーティングは、電子雲抑制の有効な手段の一つであるが、一方でその高いガス放出率が問題となる可能性がある。そこで我々は、TiNコーティング(厚さ200 nm)された銅製ビームダクトを用いて、ベーキングのガス放出への効果を調べた。まず、ビームダクトを約1時間大気に暴露した後、排気中の圧力及び残留ガス成分を測定した。排気開始から60時間後のTiNコーティングしたダクト内の圧力は、コーティングが無い場合に比べて約5倍であった。そこで、ベーキング温度を変えてガス放出率を比較したところ、80℃以上であればコーティングが無い場合と同等になることが分かった。この温度はビームダクト設置後でもin-situベーキングが十分可能な温度であり、実機にてガス放出を低減する有効な方法と言える。

 
FPACA17 STFにおける低電力高周波源の安定性評価 959
 
  • T. Miura, S. Michizono, T. Matsumoto, H. Katagiri, Y. Yano, S. Fukuda
    高エネルギー加速器研究機構
  • Y. Okada
    NECネットワーク・センサ株式会社
 
 

KEKの超伝導高周波試験施設(STF)では、1つのクライオモジュールに 4台の超伝導空洞が収められ、それらにRF電力を供給するPhase-1が終了した。STF Phase-1では、4空洞に対するベクターサムコントロールが初めて適用された。フィードバックの遅延余裕や、他のパスバンドによるRF不安定性について各空洞に対するフィードバックとベクターサムの場合との比較を行った。

 
FPACA18 単セル超伝導空洞による50MV/m高電界レシピ 962
 
  • F. Furuta, K. Saito
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

KEKでは、ICHIRO形状の単セル超伝導空洞による50MV/m高電界達成の原理実証を行った。同時に、歩留まりよく高電界を達成するための表面処理レシピの改善を行ってきた。実際の加速器に用いる空洞同様にエンドグループ(高調波(HOM)減衰器やインプットカプラーポート)を持った単セル空洞(エンドシングルセル)では、エンドグループ無しの単セル空洞と同じレシピでは高電界を達成できなかった。本報告では、エンドシングルセルに対する高電界レシピの改善とそのシリーズテストの結果について述べる。

 
FRVAA03 RIビームファクトリーのウラン加速におけるリニアック真空の問題 965
 
  • S. Yokouchi, N. Fukunishi, E. Ikezawa, H. Okuno, Y. Watanabe, M. Kase, O. Kamigaito
    理化学研究所
  • K. Oyamada
    住重加速器サービス株式会社
 
 

ウラン加速は理研RIビームファクトリー(RIBF)の重要な運転スキームの一つである。現在、ウランビーム強度0.4 pnAを達成しているが、目標の1 pμAまでにはさらに大幅な改善が必要である。 ビーム強度が低い原因の一つとして、残留気体との衝突時における低エネルギーでの荷電変換反応によるビーム損失に着目し、リニアックの真空と通過効率の関係を測定した。通過効率を悪化させている場所の真空排気系を増強した結果、リニアックの通過効率は約10%改善された。 RIBFではビーム強度改善のため新入射器が計画されており、現在、その先行施設を建設中である。新入射器の低・中エネルギーBTラインで要求される真空はμPa台前半である。そのため、ターボ分子ポンプにくわえてクライオポンプを配して排気系を強化した。また、ダクトおよびチェンバの内面は放出ガス低減のためコーティング処理等の内面処理を施した。

 
FPACA19 ICHIRO 9セル超伝導空洞における高電界との戦い 968
 
  • F. Furuta, K. Saito
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

KEKでは、ICHIRO形状の9セル超伝導空洞による高電界の原理実証を目指した研究を続けている。その中で9セル特有の問題点を明らかにし対策を行いながら、電界強度の改善を行ってきた。例えば、9個のセルにおける電界強度平坦度(フィールドフラットネス)の調整後、それが表面処理・縦測定前後でどのように変化するか各ステップで測定し、その保存に努めてきた。本報告ではICHIRO形状9セル空洞における高電界との戦いとその現状について述べる。

 
FPACA20 STFにおける導波管コンポーネントによる超伝導空洞のQ調整 971
 
  • M. Yoshida, S. Fukuda, S. Kazakov, T. Takenaka, H. Matsushita
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

超伝導試験施設(STF)において1台の5 MWクライストロンから複数の超伝導加速空洞への Lバンド導波管の敷設を行ったが、個々の空洞の電圧を調整する方法として、いくつかの導波管の分配構成が検討されている。その中の一つの方式として超伝導加速空洞の外部Q値を位相器と反射器を用いて調整を行う試験を行ったので、その調整方法と結果について報告する。この方法の利点は、超伝導空洞の結合度は冷却した状態で外部から調整する事は難しく、外部Q値を導波管コンポーネントで調整する事で空洞側の結合度を精密に調整する必要が無くなる事、また導波管の分岐比を変える方法に比べて調整幅が広い事である。この方法により個々の外部Q値を均一に調整し、低電力フィードバックの空洞電圧を平坦にする事が確認できた。

 
FRVAA04 J-PARC主リング及び3-50BTの真空系の現状 974
 
  • M. Uota, Y. Hori, M. Shimamoto, Y. Sato, Y. Takeda, T. Kubo, Y. Saito
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

J-PARC加速器は今年4月のニュートリノビーム生成により全施設の稼働が開始された。最終段加速器の主リングシンクロトロン(MR)の真空系は、RCSからの230mビーム輸送路(3-50BT)、周長1567.5mのMR、4方向の取り出しライン(入射ビームダンプ、遅い取り出しラインの境界ゲートバルブ(GV)まで、速い取り出しのアボートダンプ、ニュートリノラインの境界GVまで)で構成されている。真空系の構築は2005年秋の電磁石設置と同時に始まり、2006年秋からゲートバルブで区切られた数100mの区間ごとに排気を開始した。リング1周が繋がりbeam readyになったのは、08年5月の3GeV入射・周回成功、同年12月の30GeV加速・アボートダンプへの速い取り出し成功、09年4月のニュートリノビーム生成成功のそれぞれの直前であり、真空系は常に構築と解体を繰り返している。その現状を報告する。

 
FPACA21 無蒸発型超伝導リニアックと冷凍機 978
 
  • E. Minehara
    若狭湾エネルギー研究センター
 
 

小型無蒸発型超伝導リニアックの熱侵入を最小とする熱設計を行い。これに利用可能な冷凍機の組み合わせを検討した。シールド用冷凍機と空洞用冷凍機は利用できるものはあまり多くないので、少数の例を紹介する。この具体例において、サーマルアンカーを最適に配置する規則を決めると超伝導リニアックの空洞への熱侵入は利用可能な冷凍器の能力で十分冷却が可能となることがわかる。また十分な大きな電流を低いデューティで加速することで十分高いビーム出力を得ることを示すことができる。

 
FPACA22 L-band waveguide elements for SRF application 980
 
  • S. Kazakov, S. Fukuda, M. Yoshida, T. Matsumoto, T. Takenaka, H. Matsushita
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

L-band waveguide elements such as phase shifters, variable hybrids, etc, are described in the work. Elements were designed as air filled ones for several MW power level. Elements are supposed to use in KEK Superconducting Test Facility (STF). Design parameters, results of low and high power tests are presented.

 
FRVAA05 J-PARC RCS用ピラニ真空計 983
 
  • Y. Hikichi, N. Ogiwara
    日本原子力研究開発機構
 
 

J-PARC RCS真空システムにおいてTMPの背圧を監視するためにピラニ真空計を採用している。 ところで本真空計は測定子にタングステンフィラメント使用しているが0.1Pa程度で長時間使用すると酸化等による感度変化が起こることが判明した。そこでフィラメント材の見直しとしてタングステン線に換えて酸化しにくい白金線を用いた測定子を開発することとした。 開発するにあたって ①TMPの制御に使用していること、なおかつ保守時の放射線被爆の低減から、フィラメントが断線しにくいこと。 ②定電流方式で運転している条件から、出力変化がある程度大きいほうが細かい圧力変化を読み取ることが出来るため、フィラメントの抵抗を大きくする必要があること。 以上の条件を満たすために、太くて短い白金線を直列につなぐことで、十分な強度と抵抗を確保することが出来た。 開発した測定子とその評価の詳細は当日報告する。

 
電子ライナックRFパルスの位相・振幅変調と電子ビーム制御  
 
  • Y. Morio, S. Kashiwagi, R. Kato, Y. Terasawa, K. Furuhashi, N. Sugimoto, G. Isoyama
    大阪大学産業科学研究所
 
 

我々はLバンド電子ライナックを用いてテラヘルツ領域の共振器型FELの開発研究を行っている。FELパワー飽和の達成に必要なマルチバンチ電子ビーム生成のために、ライナック用RFパワーの移相・振幅変調制御システムを開発した。 変調には単体で位相・振幅の同時変調が可能で、時間応答性が数十nsと良いRFベクトル乗算器(I/Qモジュレータ)を使用する。これを1.3GHz基準発振器と増幅器間のローレベル回路に挿入し制御する。RFパワーは最大パルス幅8μsでフィリングタイム2μsの加速管等に供給される。本研究では変調器の非線形効果を較正し、変調精度の向上と制御の最適化を行った。また、RFパワー位相・振幅波形の平坦度向上制御と、電子ビーム加速時に生じるビーム負荷効果の補償制御等を目指した任意波形の変調試験を行った。 本発表では、RFパルス位相・振幅変調システムの概要と試験結果について報告する。

 
FRVAA06 耐放性TMPの磁場による渦電流損の評価 986
 
  • K. Kanazawa, Y. Takiyama, T. Yanagibashi, N. Ogiwara
    日本原子力研究開発機構
 
 

1. はじめに 前回の実験より、TMPはロータ軸に直交な方向の磁場が作用すると、ロータ温度がほぼ一定である場合、渦電流損は磁場強度の2乗に比例し、また、回転周波数の平方根に比例することが評価式で説明できた。そこで我々は、耐放性TMPを評価するため、均一な磁場下で実験しうる磁場発生装置を準備した。今回は、耐放性TMPのロータ軸に直交な方向の磁場が作用したときの渦電流損の特性曲線をつくる。 2. 実験 定常回転する耐放性TMPのロータ軸に直交な方向より磁場が作用したとき、その定常回転を維持するために加えられる駆動電力を渦電流損として測定する。駆動電力は、クランプ式電力計を用いて測定する。 3. 結果 前回の実験結果と今回の実験結果を合わせて、耐放性TMPのロータ軸に直交な方向の磁場が作用したときの渦電流損の特性曲線をつくることができた。

 
FPACA24 Xバンド高電界加速管の100MV/m試験 989
 
  • T. Higo, M. Akemoto, S. Fukuda, Y. Higashi, S. Matsumoto, T. Takatomi, K. Ueno, K. Yokoyama
    高エネルギー加速器研究機構
  • S. Döbert, M. Geabaux, W. Wuensch
    CERN
  • S. Tantawi, J. Wang
    SLAC
 
 

高エネルギーレプトン加速器で用いる高電界加速の基礎研究として、CLIC主線形加速器を想定した加速管の100MV/m試験を行った。1m当たり、250nsパルス幅、50Hzの繰り返しで10時間に一回の放電頻度(5E-7/パルス/m)までに抑えられていることが分かった。これは減衰構造の無い加速管であり、今後減衰構造付の加速管での性能試験を行うが、その際に比較基準とすべき基礎データとなると同時に、100MV/m級での加速の実現可能性を示している。

 
FPACA25 Performance of X-band high power source at KEK 992
 
  • S. Matsumoto, M. Akemoto, S. Fukuda, T. Higo, S. Kazakov, N. Kudoh, H. Matsushita, H. Nakajima, T. Shidara, K. Yokoyama, M. Yoshida
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

Nextef and KT-1 are the two independent test facilities dedicated for X-band (11.424GHz) RF research at KEK. Nextef Modulator drives the twin PPM-focused high power klystrons to produce 100MW maximum and 75MW is available for the accelerator structure test, while KT-1 is powered by a single klystron to conduct fundamental RF high field studies. KT-1 started its operation in 2006 and Nextef has been operating since 2007. We review the recent performance of these high power stations and future plans.

 
FPACA26 Study of RF breakdowns in X-band high field regime 995
 
  • S. Matsumoto, K. Yokoyama, T. Higo, S. Fukuda, Y. Higashi, Y. Watanabe, N. Kudoh
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

A program of the experiment of RF breakdowns under very high field strength of order of 100MV/m is ongoing at KT-1 X-band RF test station at KEK. As a basic research of the RF breakdown phenomena in the accelerating structure, a waveguide both its height and width being reduced (a narrow waveguide) is used to enhance the field. The dependence of breakdown rate on the gradient were measured and the rate of a copper waveguide was found to be larger than that of a stainless steel waveguide.

 
FPACA27 四分割型加速管の製作と高電界運転セットアップ 998
 
  • T. Takatomi, Y. Watanabe, N. Higashi, K. Ueno, K. Kakihara, K. Yokoyama, T. Higo
    高エネルギー加速器研究機構
  • J. Zhang
    Institute of High Energy Physics, China
 
 

 KEKでは100MV/m級の加速電界で運転するXバンドHOM減衰型加速管の試作完成を目指して、四分割型加速管をCERNと共同で開発している。この加速管は従来のディスクをスタックする構造の加速管とは異なり、HOMのQ値を10程度まで落とすためビーム軸方向に四分割の構造をとっている。 空洞部分は、0.005mm以下の輪郭精度とRa0.1以下の表面粗度を基本仕様とし、全面ミリングにて加工製作している。 本報では四分割ロッド(四分割管の1個)の製作精度と、高電界試験セットアップへ向けて必要になる 精密組立、RF特性確認、真空特性の確保等について報告する。

 
FRVAA07 真空内導線の耐久性評価 1001
 
  • N. Kamachi
    株式会社トヤマ
  • S. Shibuya
    加速器エンジニアリング株式会社
  • A. Noda, H. Souda, H. Tongu
    京都大学化学研究所
 
 

真空装置にはモニターや電極など、さまざまな用途で真空内の信号を得るための導線が使用されている。 これらの導線は、固定されているだけではなく、直線導入機などの駆動機構により電極部が移動して導線が屈曲する場合も多い。 特に、モニター等で定期的に往復運動する機器では、導線には繰り返し運動に伴う応力が負荷されるため、導線の耐久性が問題となる。 これらの装置においては、導線の材質や線径、本数、絶縁被服の種類などによる耐久性を知った上で、使用する導線の選定を行う事が必要である。 今回我々は真空装置を設計製作する立場から、往復運動による導線への機械的負荷を模擬できる装置を製作し、その装置を使用して 仕様の異なる6種類の導線についての耐久試験を行った。その結果導線の仕様により耐久性に、大きな違いが見られたので報告する。

 
FPACA28 医療用小型Xバンド加速器の開発 1005
 
  • M. Yamamoto, N. Nakamura, T. Itou, J. Kusano, E. Tanabe
    (株)アキュセラ
  • M. Uesaka
    東京大学大学院工学系研究科原子力専攻
 
 

ロボット搭載型のがん治療に使う加速器は,十分なビーム強度を維持しつつ,重量・サイズとも可能な限り小さくする必要がある.そのために,我々は,電子銃から加速管出口まで約 0.5[m],ビーム出力 6[MeV],100[mA]のXバンドの小型加速器を開発進めている.RF源は1.5[MW]のマグネトロンで,導波管長は約0.7[m]で,パルストランス以降の機器が実験テーブルに載せることができる寸法となっている.昨年度,実証機を開発して,5.5[MeV],100[mA]の出力を確認している.ここでは,設計・製作の状況とビーム試験の結果について簡単に報告する.

 
FRVAA08 SPring-8 蓄積リング ゲートバルブ発熱調査 1008
 
  • M. Oishi, M. Shoji, Y. Okayasu, Y. Taniuchi, H. Yonehara, H. Ohkuma
    高輝度光科学研究センター
 
 

SPring-8 蓄積リングでは、放射光ユーザーの希望により、種々の電子ビームのバンチフィリングで運転している。バンチフィリングに対する制限は、当初はビーム不安定 の発生であったが、bunch-by-bunch feedback システムの導入により改善され、現在 は、主にゲートバルブの発熱が原因となっている。ゲートバルブに設けているRF シールドがベリリウム銅製であるため、クリープによる劣化を考慮し温度制限を100℃ としている。この温度を超えるようなバンチフィリングは実施していない。しかし、今後、ユーザーからのバンチ電流の増大要求、あるいは、将来期待 される短パルス電 子ビーム運転などに対応できるように、RFシールドの改良を見据えてゲートバルブの発熱について調査を行った。

 
FPACA30 逆コンプトン散乱X線源X-band linacにおけるRF gun改良とビーム加速実験 1011
 
  • T. Natsui, Y. Taniguchi, A. Mori, T. Yamamoto, E. Hashimoto, K. Lee, M. Uesaka
    東京大学工学系研究科原子力専攻
  • F. Sakamoto
    秋田高専電気情報工学科
  • M. Yoshida
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

東京大学原子力専攻では医療用X線発生装置であるX-band 11.424 GHz linac装置の開発を行っている.この装置はRF gunで発生させた電子ビームを進行波型の加速管で30 MeVのエネルギーに加速し,レーザーと衝突させることにより逆コンプトン散乱X線を得る.この装置において,RF gunから正常に電子ビームが発生されないということが以前問題になっていた.そこで,昨年度このgunを設計し直し,構造を大幅に改良したものを作製した.このgunを使った実験では良好な電子ビーム発生が確認でき,加速管によるビーム加速も成功し,電子ビームの優位な電流量が計測された.本発表ではgun構造改良の詳細と実験結果について説明する.

 
FPACA31 S-band linacの電磁熱設計 1014
 
  • K. Kambe, K. Miyoshi, A. Sakumi, T. Ueda, M. Uesaka
    東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻
 
 

東京大学Sバンドライナックでは高い量子効率を持つ、400nmの可視光駆動のマルチアルカリカソードの導入を進めている。しかし、反射波形の乱れ、加速管外での電子エネルギーが理論値22MVよりも低い20MVで観測された、という問題が生じている。原因は端板、及びRFGUNが熱膨張し、共振周波数にズレが生じ、RFGUN内で規定の半分の電場強度が生じていると予測した。 RFGUN内の高周波の電磁熱をSuperfishで求め、有限要素法ソフトANSYSによってRFGUNの温度分布、熱膨張を計算する。その計算を基に共振周波数のずれを求め、RFGUN内の電場強度を求める。それと共に、高周波印加後のRFGUNのQ値から、導波管との結合係数βを求め、反射波を再現、観測の反射波と比較することで、現状の問題が熱によるものかを考察する。また、現在設計中である、新しい端板との計算結果を比較することで、妥当性を考察する。

 
FPACA32 S-BAND COMPACT X-RAY SOURCE WITH Pi/2 MODE ELECTRON LINAC 1017
 
  • A. Deshpande
    総合研究大学院大学
  • S. Araki, M. Fukuda, N. Terunuma, J. Urakawa
    高エネルギー加速器研究機構
  • T. Dixit, R. Krishnan, S. Pethe, M. Vidwans
    Society for Applied Microwave Electronic Engineering and Reesarch, India
  • K. Sakaue, M. Washio
    早稲田大学
 
 

We propose to make a Laser Undulator Compact X-ray source using SAMEER type side coupled S-band linac and KEK type technology. Details of ATF type RF gun, SAMEER type linac and ATF type Laser cavity chamber are described in the paper. The side coupled structure and pi/2 mode will make the system more compact and will make high repetition rate operation possible there by increasing the X-ray yield.

 
FPACA33 超短バンチ生成のための独立2空洞型高周波電子銃の高周波特性 1020
 
  • K. Nanbu, F. Miyahara, M. Kawai, F. Hinode, H. Hama
    東北大学大学院理学研究科附属原子核理学研究施設
 
 

東北大核理研では、コヒーレント放射光を利用した大強度テラヘルツ光源開発のための試験加速器の研究を行っている。本加速器システムは超短バンチ生成用線形加速器とアイソクロナスリングから構成される。超短バンチ生成用線形加速器の入射部は独立2空洞型高周波電子(Independently-Tunable-Cells (ITC)-RF gun)とα電磁石からなる。電子銃の2つの空洞への入力RFのパワーおよび位相差を制御することによって電子ビームの縦方向位相空間操作を行い、後段のα電磁石を用いて適度に位相空間を回転させ加速管に入射する。最終のバンチ圧縮は加速後の磁気シケインで行い、100fs以下のバンチ長生成を目標としている。現在、電子銃の性能を把握するため、空洞の高周波特性の評価を行っており、電子ビームのエネルギー分布測定の準備を進めている。

 
FPACA34 Cバンド加速管量産中間報告 1024
 
  • S. Miura
    三菱重工業株式会社
  • T. Shintake, T. Inagaki, H. Maesaka, N. Azumi
    理化学研究所播磨研究所
  • S. Matsui, H. Kimura
    高輝度光科学研究センター
  • H. Matsumoto
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

三菱重工では2002年から2005年にかけて、理化学研究所播磨研究所殿向けに、Cバンドチョークモード加速管4本を開発、製作した。本加速管らは、SCSSテストライナックに使用されており、軸上電界37MV/mで安定に稼動している。 2007年より、理化学研究所殿X-FEL計画向けにCバンドチョークモード型加速管128本の量産を開始し、2009年6月現在で86本の生産を完了した。これらの加速管のうち何本かは、RFエージングを理化学研究所殿で実施され、軸上電界40MV/mで問題なく運転できることが確認されている。これらの加速管量産中間結果について報告する。

 
FPACA35 C-Band RFパルスコンプレッサー量産経過報告 1027
 
  • K. Okihira, F. Inoue, S. Miura
    三菱重工業株式会社
  • H. Maesaka, T. Inagaki, T. Shintake
    理化学研究所
 
 

理研播磨研究所で建設中のX線自由電子加速レーザー(XFEL)では、クライストロン出力をRFパルスコンプレッサーでより高いピークパワーの高周波に圧縮し、加速管に送られる。XFEL計画では計64台のC-Band RFパルスコンプレッサー(パルス圧縮器)を据付ける予定であり、2009年6月現在、41台の製作・RF計測が完了した。 パルス圧縮器は高い周波数安定度が要求されるため、量産途中でパルス圧縮器RF特性を調整するチューナ構造を見直し、再調整を実施た。その結果、パルス圧縮器RF特性は非常に安定しており、理研殿テストベンチでのハイパワー試験の結果、設計通りの増幅率が得られた。 今後、2009年末迄にパルス圧縮器64台の製作を完了させる予定である。

 
FPACA36 理研RIBF新入射器RILAC2の加速空洞の設計および改造 1030
 
  • K. Yamada, K. Suda, N. Sakamoto, S. Arai, H. Fujisawa, H. Okuno, E. Ikezawa, M. Kase, O. Kamigaito
    理化学研究所 仁科加速器研究センター
 
 

平成18年度より稼働を開始した理研RIビームファクトリー(RIBF)では、質量電荷比の大きい (〜7) 重イオンビームの入射器として重イオン加速器(RILAC)が用いられている。RILACは長期の超重元素合成実験にも使用されるが、その期間中はRIBFにビームを供給出来ないことから、RIBFの稼働時間を伸ばすため新入射器RILAC2の導入が進められている。RILAC2は、28 GHz 超伝導ECRイオン源、RFQ型線形加速器、および 3台の1/4波長型ドリフトチューブ線形加速器(DTL1--3)等から構成される。これらの加速器システムの基本周波数は 36.5 MHzで、固定値である。現在、RFQ, DTL1, DTL2および3の加速空洞について MW Studioを用いて設計中である。これらの仕様、設計、および改造の現状について報告する。

 
FPACA37 2ビーム型IH-RFQリニアックの電場分布測定 1035
 
  • T. Ishibashi, N. Hayashizaki, T. Hattori
    東京工業大学
 
 

空間電荷効果によるビームの発散力の強さは、ビーム電流に比例し、ビーム速度の2乗で反比例する性質がある。そのため低エネルギー領域・大電流重イオンビームの加速は最も難しい条件となる。その解決策として大電流のシングルビームを分割し、ビームを平行・並列に加速することにより空間電荷効果を緩和するアイデアが提案されている。この時、一般的に1本のビーム加速につき1台の加速空洞が割り当てられる。このようなマルチビーム加速において1つの加速空洞で複数本のビームを加速出来れば、省スペース・省電力・省運転コストの点で従来法より有利となる。そこで本研究では低エネルギー・大電流重イオンビーム加速に実用的かつ有効的な構造として、マルチビーム型IH-RFQリニアックの研究開発を行っている。本発表ではその原理実証機である2ビーム型IH-RFQリニアックにおける4重極電極間の電場分布測定について報告する。

 
FPACA38 J-PARC RFQ用RFカップラの設計 1038
 
  • Y. Kondo, K. Hasegawa, T. Morishita
    日本原子力研究開発機構
  • F. Naito
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

 J-PARCでは、大強度での安定運転にむけて、現行RFQを置き換えるRFQを製作中である。 このRFQの諸元は、現在運転中のものと同様で、周波数324MHz、入射エネルギー50keV、出射エネルギー3MeV、ビーム電流30mA、高周波デューティー3%である。しかしながら、放電の原因となりうるπモード安定化ループに代わり、端版の4本のロッドで2重極モードの周波数を調整するダイポール安定化ロッドを採用し、また、接合方法にロー付けを採用するなど、信頼性向上のための改良が施される。 高周波電力を投入するための結合器(カップラ)についても、構造の単純化のために、従来の2本フィードから1本フィードに変更するべく検討中である。最大投入電力は、400kW強、デューティー3%である。  本稿では、J-PARCの新RFQ用のRFカップラに関して、その電磁気的、熱的設計に関して述べる。

 
FPACA39 直接給電型ACS線形加速器の検討 1041
 
  • F. Naito, K. Takata, Y. Yamazaki
    高エネルギー加速器研究機構
  • H. Ao, H. Asano, N. Ouchi, K. Hasegawa, K. Hirano, T. Morishita
    日本原子力研究開発機構
 
 

J-PARCリニアックに於いて190~400MeVのビーム加速には環状結合型空洞(ACS)が使用される。ACSは17加速セルを一つの単位空洞とし、2つの空洞がブリッジ空洞で高周波的に連結され1モジュール(17x2=34加速セル)となる。ブリッジによりRF的な取り扱いは非常に単純化される。一方、ブリッジ空洞を使わずにクライストロン出力を2分割し、2空洞にRFを直接供給する形式も考えられる。RF分割器と位相調整器等の製作と現場での調整が必要だが、ブリッジ空洞の製作費と比較すると安価にできる可能性がある。更に加速セルの中央セルからRFを供給できれば、給電ポイントから端部までのセル数が半減でき、加速電場はブリッジを使用する場合よりも摂動に強くなる。本稿では直接給電型ACSの実現可能性に関し、アルミ製モデルを使用した実験および数値計算を用いて検討した結果を報告する。

 
FPACA40 量産型ACS空洞試験機の製作 1044
 
  • H. Ao, H. Asano, N. Ouchi, K. Hasegawa, K. Hirano, T. Morishita
    日本原子力研究開発機構
  • K. Takata, F. Naito, Y. Yamazaki
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

J-PARC LINACでは平成20年度から3カ年計画で現180MeVから400MeVへのアップグレードが始まった。ACS (Annular Coupled Structure)はこの200~400MeV区間に用いる結合形加速空洞である。これまでの開発段階で、我々はまずバンチャ用の短いモジュールを2台、続いて加速用のモジュールの製作と大電力試験を行ってきた。量産時、ACSを構成する中間セルは約1300枚必要であり、加工時間の短縮は非常に重要となる。昨年度から、特に加工時間を要していた結合スロット周囲の加工方法と形状の改良を進め、ローレベル測定での確認を経て、改良型スロットの形状を採用した大電力試験機の製作を進めてきた。改良点を中心に、これまでの結果について報告する。

 
FPACA41 J-PARCリニアックにおけるRFQ工学設計 1047
 
  • T. Morishita, Y. Kondo, K. Hasegawa
    日本原子力研究開発機構
  • F. Naito, M. Yoshioka, H. Matsumoto, Y. Hori, H. Kawamata, Y. Saito, H. Baba
    高エネルギー加速器研究機構
  • Y. Iino
    株式会社トヤマ
 
 

J-PARCリニアックでは、RFQ(全長3.1m、4vane型、運転周波数324MHz)を使用してイオン源からの負水素イオンビームを50keVから3MeVへ加速し、DTLへ入射している。リニアックでは2006年11月にビーム調整運転を開始し、2007年9 月には後段の加速器であるRCSにビーム供給を開始した。2008年秋の運転中、RFQでのトリップ回数が増加し、安定性が低下する事象が発生した。この事態を受けて、バックアップRFQの製作に着手している。バックアップ機の製作において、ユーザーへのビーム供用が開始されたJ-PARCでの運転を念頭に置き、空洞の安定性に主眼を置いた設計方針を基本としている。本発表では、安定性向上のための工学設計に関するR&D結果及び設計進捗状況について報告する。

 
FPACA42 J-PARCリニアックにおけるRFQ高周波設計 1050
 
  • T. Morishita, Y. Kondo, K. Hasegawa
    日本原子力研究開発機構
  • F. Naito, H. Matsumoto, Y. Hori
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

J-PARCリニアックでは、RFQ(全長3.1m、4vane型、運転周波数324MHz)を使用してイオン源からの負水素イオンビームを50keVから3MeVへ加速し、DTLへ入射している。2008年秋の運転中、RFQでのトリップ回数が増加し、安定性が低下する事象が発生した。そこで、現在使用しているRFQのバックアップ機として、RFQを新規に製作することとした。本発表では、3次元電磁界シミュレーションを用いたRFQにおける高周波設計検討結果について報告する。

 
FPACA43 Recent Progresses in the LLRF FPGA Control System of the J-PARC Linac 1053
 
  • Z. Fang, S. Michizono, S. Anami, S. Yamaguchi, F. Naito, Y. Fukui, M. Kawamura, C. Kubota, K. Nanmo
    高エネルギー加速器研究機構
  • T. Kobayashi, H. Suzuki, E. Chishiro, S. Shinozaki, N. Tsubota, T. Ito, H. Asano, K. Hasegawa
    日本原子力研究開発機構
 
 

The recent progresses in the LLRF FPGA control system of the J-PARC LINAC will be presented in this paper, including 1) automatically switching the beam loading compensation in accordance with the different beam operation mode, 2) chopped beam compensation for the 972-MHz section, and 3) input rf-frequency tuning to match the rf cavities. All of those functions are realized by the FPGA.

 
FPACA44 反射体を用いたACS空洞の結合度調整 1056
 
  • K. Hirano, H. Ao, H. Asano, N. Ouchi, K. Hasegawa, T. Morishita
    日本原子力研究開発機構
  • K. Takata, F. Naito, Y. Yamazaki
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

J-PARCリニアックでは、190MeVから400MeVまでの高エネルギー加速部にACS (Annular Coupled Structure)を有する加速空洞を用い、ビームエネルギーを増強する準備を進めている。製作された第1番目のACSモジュールの結合係数は2であった。反射体を使用して、結合係数をOptimum Coupling(1.5)に調整することを検討している。また、このとき、高周波窓は定在波の影響を受け、その上昇温度が増加する場合があるため、高周波窓を無反射状態と同じパワロスになるように設置することも検討している。本稿では、高周波窓設置位置を考慮し、反射体を用いて結合係数を調整する計算結果について報告する。

 
FPACA45 J-PARリニアック972MHz高周波源 1059
 
  • E. Chishiro, T. Kobayashi
    日本原子力研究開発機構
  • M. Kawamura, Y. Fukui, F. Naito
    高エネルギー加速器研究機構
  • M. Yamazaki
    三菱電機システムサービス
 
 

J-PRACリニアックでは、出力ビームエネルギーを200MeVから400MeVまで増強する計画が進められている。本件では、400MeV加速に用いられる972MHz高周波源のうち、クライストロンやその電源、および立体回路など大電力構成機器の開発状況について報告を行う。クライストロン開発では、発振を抑制し正常動作を確認した。また、出力窓材質を高純度アルミナに交換し、その動作温度特性を測定した。クライストロン電源は、200MeV加速用の電源と仕様が同一であるが、その構成と製作状況について報告を行う。立体回路では、製作状況のほか、プロトタイプのサーキュレータでは、温度特性が悪く、定格出力ではVSWRが高くなる現象が見られたが、その対策方法についても報告を行う。

 
FPACA46 J-PARCリニアック用クライストロン電源システムの現状2009 1062
 
  • M. Kawamura, Y. Fukui, F. Naito
    高エネルギー加速器研究機構
  • E. Chishiro, M. Yamazaki, H. Suzuki
    日本原子力研究開発機構
  • R. Sagawa, S. Ogawa, Y. Yumino
    (株)日立製作所
 
 

 J-PARCリニアック用クライストロン電源システム、特に現在稼動中の181MeVリニアック用システムについて、過去1年間の運転状況や、不具合とその対策などを報告する。 昨年8月以降の運転時間は、今年6月15日現在で4,800~5,500時間である。ビーム供用運転や、RFQのコンディショニング時間の延長などに対応するため、1ヶ月以上にわたる長時間の連続運転を実施している。またシステムの大部分が総運転時間10,000時間を越えている。これらの要因もあり、特に今年5月から6月にかけての運転では、高電圧スイッチ用四極管のエミッション減少(エミ減)など、多数の不具合が発生した。他に長時間のトレンドを観測する事により、一部の高圧直流電源で出力電圧の変動が確認されている。  本学会開催時は加速器運転停止中のメンテナンス期間にあたる為、発表では新たに確認された事柄も報告する予定である。

 
FPACA47 J-PARCリニアックのデジタルLLRF制御における空洞起ち上げのための入力周波数変調制御 1065
 
  • T. Kobayashi, H. Suzuki
    日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター
  • S. Anami, S. Michizono, Z. Fang, S. Yamaguchi
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

J-PARCリニアックの低電力高周波制御では、空洞に電力を入れ始める際に、空洞チューナー共振周波数の自動制御を行なっている。このチューナー制御に代わって新たに、空洞入力の周波数を離調度に合わせて変調させる方式をデジタルFB制御システムに導入する。その方法として、出力制御するIQ変調器で位相を回転させることで周波数変調を行なう。離調度は、RFパルス後の空洞減衰時 􏰈自由振動時􏰉 の位相変化を測定することで求められ、それにより、FPGAでIQ変調器の位相回転を自動制御する。この方式の導入においてはハードウェアの変更を全く必要とせず、チューナー製造におけるコストダウンもしくは耐久性の向上が期待される。

 
FPACA48 J-PARCリニアック972MHz高周波デジタルフィードバック制御システム 1068
 
  • T. Kobayashi, H. Suzuki
    日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター
  • S. Michizono, Z. Fang, T. Matsumoto, S. Yamaguchi
    高エネルギー加速器研究機構
  • Y. Okada
    NECネットワーク・センサ株式会社
 
 

J-PARCリニアックでは972MHzのRFシステムによる400MeVエネルギーへの増強が計画が進められている。その加速電界の安定性は振幅、位相それぞれ±1%、±1度以内が要求されている。デジタルFBの基本コンセプトは現在の324MHzのシステムと同じでコンパクトPCI筐体を用いる。大きな違いは、RF信号/クロック信号発生器(RF&CLKボード)、ミキサーおよびIQ変調器(IQ&Mixerボード)、そしてデジタル制御のアルゴリズムである。現在の324MHzの空洞に比べ、高い周波数により減衰時間が速くなるため、チョップドビーム負荷補償が大きな開発要素の一つである。この報告では972MHzデジタルフィードバックシステムの特徴や性能について、模擬空洞を用いた評価結果をまとめた。

 
FPACA49 J-PARC972MHzクライストロンテストスタンドのデータ収集 1071
 
  • Y. Fukui, M. Kawamura, S. Yamaguchi, F. Naito
    高エネルギー加速器研究機構
  • H. Suzuki, T. Kobayashi, E. Chishiro
    日本原子力研究開発機構
  • M. Yamazaki
    三菱電機システムサービス株式会社
 
 

J-PARCのリニアックではイオン源で生成された負水素イオンを181MeVまで加速して、3GeVシンクロトロン(RCS)に供給しており、さらにリニアックのエネルギーを400MeVまで増強する計画が現在進められている。 陽子加速器開発棟の地下2階に設置されているクライストロンテストスタンドは、972MHzRF機器やACS空洞の大電力試験が行える唯一の施設であり、現在も増強計画で使用される予定の972MHzクライストロンのRF試験が行われている。今回、このテストスタンドで972MHzクライストロンの特性測定を行うにあたって、PLCを用いたLLRF制御の自動化やデータ収集系の構築を行ったので報告する。

 
FPACA50 ACS TUNER コントローラーの開発 1074
 
  • H. Suzuki, T. Kobayashi, K. Hirano
    日本原子力研究開発機構
  • F. Naito
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

J-PARCリニアックは、180MeVから400MeVへエネルギーを増強するために、環結合構造(ACS)加速管の開発を行っている。ACS加速管は高周波共振周波数を制御するために5つの可動チューナーがありそれらを最適なカップ位置に調整する事で安定的なビームの運転が可能になる。今回、新たに5つの可動チューナーを外部から個々にコントロール出来る専用のチューナーの開発を行ったのでそれらについて報告する。

 
FPACA51 Core buckling position measurement for J-PARC RCS cavity 1077
 
  • A. Schnase, C. Ohmori, F. Tamura, E. Ezura, K. Hara, K. Hasegawa, M. Nomura, T. Shimada, H. Suzuki, A. Takagi, M. Toda, M. Yamamoto, M. Yoshii
    J-PARCセンター
  • K. Takata
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

An impedance reduction had been detected in the J-PARC RCS cavity #7 in January 2009. After taking out and opening the cavity tanks, buckling at the inner radius was detected at some of the MA cores. Here we describe the development and application of a magnetic sensor, which can detect the buckling of the cores in the stainless steel water tanks without the need for taking out and opening them.

 
FPACA52 高周波加速空胴用金属磁性体コアの熱変形の測定 1080
 
  • T. Shimada, M. Yamamoto, H. Suzuki, F. Tamura, A. Schnase, M. Nomura
    日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター
  • M. Toda, K. Hasegawa, C. Ohmori, K. Hara, M. Yoshii
    高エネルギー加速器研究機構 J-PARCセンター
  • K. Takata, E. Ezura, A. Takagi
    高エネルギー加速器研究機構
  • K. Horino
    日本アドバンストテクノロジー
 
 

J-PARC 3GeV シンクロトロン高周波加速空胴において、長時間の運転後、金属磁性体を使用したコアの一部が座屈する現象が発生した。その過程と原因を調査するために、大気中においてコアを高周波電流によって励磁し、変形の過程を測定した。その結果とコアの製造過程の関係及びコアの耐久性向上についての考察を報告する。

 
FPACA53 SPring-8線型加速器サイラトロンスタンドの改良 1083
 
  • H. Hirayama, H. Takeuchi, T. Katsube
    スプリングエイトサービス株式会社
  • T. Kobayashi, H. Hanaki
    高輝度光科学研究センター
 
 

SPring-8線型加速器のクライストロンパルス電源(以降モジュレータ)の安定性向上のため、2007年3月に13台中1台(以降M10モジュレータ)に対して筐体内部へのアース強化を施した。さらに、メンテナンス性を向上させたサイラトロンスタンド(以降スタンド)を開発し、2007年4月より試験運転を行っていた。このスタンドは故障もなく順調に稼動していることから、残り12台のモジュレータへ設置するためにスタンドの製作を行った。製作したすべてのスタンドはM10モジュレータを用いてPFN電圧45kVで高圧印加動作試験を実施した。この試験によりスタンドの健全性が確認されたため、すべてのモジュレータへ筐体側のアース強化を施し、製作したスタンドを導入した状態で2009年6月現在までの約3サイクル間Top-Up運転を行っている。本稿では、スタンドの改良点と改良後のモジュレータFault状況等について報告する。

 
FPACA54 SPring-8線型加速器における低暗電流加速管の開発 1087
 
  • T. Taniuchi, T. Asaka, T. Kobayashi, S. Suzuki, H. Dewa, H. Tomizawa, H. Hanaki, T. Magome, A. Mizuno, K. Yanagida
    高輝度光科学研究センター
 
 

SPring-8では、線型加速器から出射される暗電流を低減するため、従来の加速管に比べて暗電流量の少ない加速管の開発を行っている。従来の加速管との違いは、ディスク先端の表面電界を低減するため断面形状を楕円化していること、カップリング孔付近の電流集中をさけるためシングルフィード型導波管カプラーを採用していることである。本発表では、加速管の設計及び完成した加速管の特性について報告する。

 
FPACA55 KEK電子陽電子入射器における高周波源および高周波窓の維持管理 1090
 
  • H. Kumano, Y. Imai, T. Toufuku, M. Baba, T. Morotomi
    三菱電機システムサービス
  • M. Akemoto, H. Katagiri, T. Shidara, T. Takenaka, H. Nakajima, K. Nakao, H. Honma, T. Matsumoto, S. Matsumoto, H. Matsushita, T. Miura, S. Michizono, Y. Yano, M. Yoshida, S. Fukuda
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

KEK電子陽電子入射器では高周波源として60台の大電力クライストロン、8台のサブブースターと呼ばれるクライストロンドライブ用のクライストロンをギャラリーに設置しており、年間約7,000時間の連続運転を行っている。 現在設置しているクライストロンの平均使用時間は約47,000時間である。2008年度は集束電磁石の地絡により1台撤去したが、集束電磁石以外の物には不具合が無かった。集束電磁石のみ入れ替えてクライストロンは使用継続している。 現在設置しているサブブースター用クライストロンの平均使用時間は約35,000時間である。2008年度は2台交換した。 現在設置している導波管高周波窓の平均使用時間は約54,000時間である。2008年度は4個の交換を行なった。 本稿ではクライストロン、サブブースター用クライストロンおよび導波管高周波窓に関する統計、維持管理についてまとめる。

 
FPACA56 砲弾形SiCセラミックスを用いたKEKB ARES空洞用HOM吸収体の大電力試験 1093
 
  • Y. Takeuchi, T. Abe, T. Kageyama, H. Sakai, K. Yoshino
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

KEKB常伝導加速空洞(ARES)では、砲弾形SiCセラミックス(直径55mm、有効長400mm)2本が組込まれた導波管型HOM減衰器が4式備えられている。このHOM減衰器は1式あたり最大2.5kWのHOM電力(周波数:0.8~2GHz)を想定して設計され、現在まで安定に動作している。KEKBの将来計画では、現行仕様以上のHOM電力の可能性があり、HOM減衰器の能力増強の検討が必要である。そこで、砲弾形SiCを用いた導波管型HOM減衰器の能力を調べるために、現行の砲弾形SiCと、冷却水路を太くして水冷強化した砲弾形SiCの2種類について、ARES空洞用HOM導波管中で20kW(1.25GHz)の大電力試験を実施した。本稿ではこれらの大電力試験の結果について報告し、砲弾形SiCセラミックスを用いたHOM減衰器の増強について議論する。

 
FPACA57 HIMAC入射器ライナックにおける新型AGC&APC制御装置の開発 1097
 
  • T. Takeuchi, M. Yamamoto, T. Sasano
    加速器エンジニアリング株式会社
  • Y. Ohta, T. Sato
    株式会社サムウェイ
  • Y. Iwata
    放射線医学総合研究所
 
 

放医研HIMAC入射器ライナックは5台の空洞(RFQ1台、DTL3台、DBC1台)から構成され、それぞれのローレベル高周波制御には振幅、位相を必要な精度で一定値に追従させるAGC/APC制御装置が用いられている。HIMACではフィードバックスピードをより早く、振幅・位相安定度をさらに高め、ノイズ耐性に優れる新型AGC/APC制御装置の開発が進められており、昨年度に製作および動作テストが行われた。新型AGC/APC制御装置の動作テスト結果と回路変更点、さらにAPC動作を安定化する追加回路について報告する。また新型装置は、使用から10年以上経過した既存のAGC/APC制御装置での運用履歴および不具合事例を反映し、不具合頻度の高い箇所の強化と供給中トラブルに対し不具合箇所を容易に特定し交換可能であるよう配慮した設計がなされている。これら保守の観点からの改造点についても報告する。

 
FPACA58 HIMACシンクロトロンにおけるT-clock加速 1101
 
  • T. Fujimoto
    加速器エンジニアリング株式会社
  • M. Kanazawa, T. Shirai, Y. Iwata, K. Noda
    放射線医学総合研究所
  • K. Watanabe
    東芝メディカルシステムズ株式会社
  • K. Maeda
    株式会社東芝
  • K. Hayashi, T. Nakai
    三菱電機特機システム株式会社
 
 

重粒子線がん治療装置HIMACのシンクロトロンにはCo基アモルファスコアを使用した無同調RF空洞が小型化開発用に組み込まれている。これまでこの空洞を利用してT-clockによる加速試験が行われてきた。その良好な加速結果からこの空洞をHIMACシステムへ組み込む計画も進められている。この空洞は現行の同調型空洞の予備としてだけでなく次世代スポットスキャニング照射用の複雑な運転パターンでの利用が期待されている。HIMACシステムに組み込み次世代スポットスキャニング照射で利用するためには加速時の磁場とRF周波数のずれによるシンクロトロン振動の励起を極力抑える必要がある。そのために必要なRF周波数パターン作成法の確立、T-clock周波数の最適化を行った。ここではその試験結果について報告する。

 
FPACA59 IFMIF-EVEDA加速器系におけるRFQライナック用RFカプラーの高周波設計 1104
 
  • S. Maebara
    日本原子力研究開発機構 核融合研究開発部門
 
 

国際核融合材料照射施設(IFMIF)-工学実証・工学設計活動(EVEDA)加速器系では、100keVから5MeVまで重陽子125mAを連続運転(CW)で加速するRFQライナックが中段加速器として開発中である。125mAの大電流を加速するために運転周波数175MHzが選択され、軸長さ9.78mのRFQが設計されている。RFQ本体では、中央部の両サイドに設けられた直径90mmの8つのポートが設けられ、ポート当たり168kWの高周波電力の入射が必要である。高周波電力の伝送系が9 3/16インチの同軸導波管であることまた175MHzと低い周波数であることから、4 1/16インチまたは6 1/8インチの高周波真空窓を介したループアンテナによるRFカプラーの設計を進めている。本講演では、高周波真空窓、λ/4長冷却ポート有無し及びアンテナ先端部形状に対するRFカプラーの高周波特性について詳細に発表する。

 
FPACA60 油冷式金属磁性体コア装荷高周波加速構造の三次元電磁場解析 1107
 
  • T. Takahashi, Y. Morita
    東京大学大学院理学系研究科物理学専攻
  • J. Kameda
    東京大学宇宙線研究所
  • T. Kageyama
    高エネルギー加速器研究機構
  • S. Yamashita
    東京大学素粒子物理国際研究センター
 
 

我々は金属磁性体FINEMETを使用したコアを油で冷却する高周波加速構造の開発を進めている。油はノルマルパラフィンを乱流域で使用する。この油は腐食作用が無いため、コアをエポキシ樹脂で含浸・コーティングなどの防錆対策が不要になり、コアの熱応力の緩和が期待できる。加えて、ノルマルパラフィンは絶縁油に匹敵する耐電圧性能を有する点も冷媒として採用した主要理由のひとつである。設計はコアを径方向に三分割し、FRPで作った流路と組み合わせる構造で進めている。FINEMETコアは電磁気学的及び熱構造力学的に大きな異方性を持っているため特殊な計算が必要となる。この計算ではコアを構成するFINEMET箔帯の異方性をマクロ媒質的にモデル化して行い、共振周波数の最適化や加速構造の電磁場解析を行ってきた。本報告ではこの三次元電磁場解析の現状及び、その結果の評価を行う。

 
FPACA61 大気陽電子顕微鏡用高周波加速空洞の開発 1111
 
  • N. Hayashizaki
    東京工業大学原子炉工学研究所
  • N. Ohshima, R. Kuroda, R. Suzuki
    産業技術総合研究所
 
 

陽電子は物質中で電子と出会うとγ線を放出して消滅するが,この原理を利用した陽電子消滅分光は,試料中の極微欠陥等を非破壊的に評価する最も有効な手法である。なかでも大気中の試料測定については,シンプルな構造をもつRI密着法が従来利用されてきたが,位置分解能が優れないため微小試料の評価が困難であり,RI利用に起因する測定条件の制限も多かった。そこで,RIに代わって陽電子マイクロビームを用いる大気陽電子顕微鏡を開発中であり,これが実現すると大気中に設置したあらゆる試料に対して,陽電子消滅分光を高位置分解能で適用でき,さらにビーム走査によりイメージング評価をおこなうことも可能となる。この大気陽電子顕微鏡に使用される高周波加速空洞について,デザインコンセプトと試作結果を報告する。

 
FPACA62 多層チョッパーの開発 1114
 
  • M. Okada, K. Niki, S. Arai, I. Katayama
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

TRIACでは12C(α,γ)実験の為のプリバンチシステムを製作している。このシステムは 2~4MHzで周波数可変な2Gap型バンチャーと多層チョッパーで構成されている。 チョッパーは平行電極にパルスで電圧を印加するタイプを考えている。このタイプでは チョッピングの切れを良くする為には電極の長さはなるべく短い方が良い。しかし、電極 が短くなるとその分印加する電圧を高くする必要があるし、電極の長さに比べて電極間の ギャップが大きい場合漏れ電場が大きくなってしまい結局切れが悪くなる。そこで、電圧 を印加する電極とグランド電極を交互に重ねて多層化することで印加電圧を下げ、かつ漏 れ電場を減らす構造にすることにした。 今回、多層チョッパーのテストモデルを作成し、動作テストを行ったのでそれを報告す る。

 
FPACA63 TRIACでの2-4MHzプリバンチシステムの設計 1117
 
  • K. Niki, H. Ishiyama, M. Okada, H. Miyatake, Y. Watanabe
    高エネルギー加速器研究機構
  • S. Arai
    理化学研究所
  • H. Makii
    日本原子力研究開発機構
 
 

TRIAC(Tokai Radioactive Ion Accelerator Complex)で予定されている12C(alpha,gamma)実験の為には250ns~500nsの間隔で10ns程度にバンチした高強度αパルスビームが必要である。TRIACの加速器はイオン源からの2keV/uのビームを26MHzのSCRFQで加速するため、バンチ間隔は約38nsとなる。実験からの要請で250ns以上のバンチ間隔にするためSCRFQの前段に2~4MHzの周波数可変のプリバンチャーとチョッパーを設置したシステムを構築する。このプリバンチャーには3つの周波数を合成したRF電圧をかけ、2ギャップを通過した後に得られるバンチング電場が擬似鋸歯状波となるように設計している。本報告ではこのシステムの基本設計及び2ギャップバンチャーとSCRFQのビームシュミレーション の結果等について述べる。

 
FPACA64 XFEL 入射器のための 476MHz 高周波増幅器 1181
 
  • T. Yamamoto, I. Kanai
    株式会社IDX
  • T. Asaka, H. Hanaki
    高輝度光科学研究センター
  • Y. Otake
    理化学研究所 X線自由電子レーザー計画推進本部
 
 

 現在Spring-8においてXFEL加速器が製作されている。476MHz高周波増幅器は、このXFEL加速器の入射器に使用される476MHzブースター高周波空洞に高周波電力を供給する為の装置である。本高周波増幅器は、1kW出力の前段増幅器とIOT(Inductive Output Tube)増幅管を使用し、120kWpeak, 50μsec幅, 60Hzの高周波パルス電力を出力する。高周波出力性能には、XFEL発振がビームエネルギーの変動に大きく影響されることから、位相と振幅についてパルス毎の高い安定性が要求される。  弊社(IDX)工場において性能達成の為に、様々なノイズ対策、安定化のための対策を実施し、2009年3月に本装置の性能評価試験が完了した、高周波出力の位相安定度0.014度rms/min、振幅安定度0.026%rms/min、という良い結果が得られ、要求性能を満足した。

 
FPACA65 高圧純水洗浄による超伝導ブースターの性能回復 1120
 
  • H. Kabumoto, S. Takeuchi, N. Ishizaki
    日本原子力研究開発機構
  • T. Yoshida, T. Ishiguro, K. Yamaguchi
    ATOX
 
 

原子力機構 東海タンデム加速器の後段には重イオンのエネルギーを増強するための超伝導ブースターが設置されており、1994年の運転開始以来、毎年40日程度のマシンタイムを提供している。建設当初は1空洞あたりに4WのRF電力を入力した時の加速電界が5.0MV/m前後であったが、現在では4.0MV/m付近まで低下してきている。超伝導加速空洞では表面のクリーンさが非常に重要であり、内部のニオブ表面へ金属粉やゴミ等が蓄積すると、高電界を発生させた時にトンネル効果で電子の電界放出現象(フィールドエミッション)が起こる。電子は高周波電場により加速されてニオブ表面に衝突し、発熱や2次電子放出を引き起こすため加速電界が著しく制限される。我々は高圧純水洗浄の技術を用いて性能の回復を試みることにした。洗浄装置を製作して試験を行ったところ良好な結果が得られており、オンラインの空洞に対しても適用する予定である。

 
FPACA66 MIR-FEL Tunable Range at Kyoto University‎ 1123
 
  • M. Bakr Arby, K. Yoshida, K. Higashimura, S. Ueda, R. Kinjo, T. Sonobe, T. Kii, K. Masuda, H. Ohgaki
    Institute of Advanced Energy, Kyoto University
  • H. Zen
    UVSOR, Institute for Molecular Science
 
 

MIR-FEL facility has been constructed for developing energy materials in Kyoto ‎University. FEL gain saturation at 13.2 m has been achieved for the first time in May ‎‎2008. The tunable range of KU-FEL was estimated numerically to design the MIR-FEL ‎beamline for application purposes. The results indicated that tunable range from 5-‎‎13.2 m. The numerical and the measured results will discussed.