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WPAPA10 | Si結晶面の違いによるパラメトリックX線放射の特性 | 211 |
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日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)にあるパラメトリックX線放射(PXR)発生装置は、Si完全結晶を2枚使用したシステムである。第一結晶はターゲット結晶でありX線の放射源として振る舞い、第二結晶はX線に対して反射板の役割を果たしている。LEBRA-PXRシステムで得られるX線ビームは、コヒーレンスが良く、水平方向に一次関数的なエネルギー分散を有しているため、波長分散型X線吸収微細構造(DXAFS)測定や位相コントラストイメージングに応用されている。これまでターゲット結晶はSi(111)結晶を使用し、エネルギー5.0 - 20 keVのX線が供給されてきた。2009年4月からはSi(220)結晶に変更したので、エネルギー6.0 - 33 keVのX線が供給可能である。ターゲット結晶面の違いによって得られるPXRの特性を比較検討し、その結果について報告する。 |
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WOOPE02 | KEKB加速器の現状 | 63 |
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KEKB加速器は2007年1月に超伝導クラブ空洞を導入し、同年10月以後、順調にクラブ交差による実用運転を行なっている。クラブ交差で高いルミノシティを達成するには、従来のレベルを超えた精密な誤差補正とビーム衝突調整が不可欠である。その一つとして、今期新たに、電子・陽電子両リングに合わせて28台の歪6極磁石を設置し、衝突点における水平垂直結合の運動量依存性を補正したが、この補正が突破口となって、クラブ以前の記録17.6/nb/sを大きく上回るピークルミノシティ20.84/nb/sが達成された。また、1日・7日間などの積分ルミノシティも記録を更新し、現在総積分ルミノシティは953/fbに達している。入射ビームをパルス毎に切り替えてKEKB両リングと放射光リングの3者に同時入射する技術が最近実用化され、衝突調整の効率が向上したことも、今回の成果に繋がっている。 |
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TOAPA01 | Si(220)ターゲットによるパラメトリックX線源の高エネルギー化 | 748 |
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日大電子線利用研究施設(LEBRA)ではパラメトリックX線放射(PXR)に基づくX線源を運用しており、利用研究にエネルギー可変な単色X線ビームを供給している。これまではPXRの発生源となるターゲット結晶としてSi(111)面を用いてきたが、X線エネルギーの上限は20keVとなっていた。20keV以上のエネルギー領域に対応するために、ターゲット結晶およびX線輸送用の第2結晶をSi(220)に交換し、試験を行った。その結果、21〜33keVの領域でイメージングが可能であることを確認し、強度においてもSi(111)と比較して大きく劣ることはなかった。特にエネルギー33keVにおいてはヨウ素のK吸収端を利用した高コントラストイメージングに成功し、将来的な医療応用の可能性が示された。 |
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TOACC05 | KEKにおけるcERLシステムのRF源 | 779 |
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KEKでは将来の加速器計画としてERLを考えている。その実証実験機としてコンパクトなERL加速器を3-4年計画で建設する。cERLのCDRをもとにRF系も検討をはじめ、一部入射器用300kW・CWクライストロン、同上電源、導波管系ダミーロードなどを発注した。この概略について報告する。 |
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FPACA12 | 導波管の電力分配システム(KEK STF) | 937 |
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トーナメント方式およびリニアー方式の導波管システム(PDS)へリフレクタと移相器を挿入し空洞へ高周波電力を入れた。そのときのリフレクタおよび移相器の有効性を確認できた。また、大電力で使用できることも確認してある。トーナメント方式において3dBハイブリッド(可変型)で組んだ場合それぞれのハイブリッドのアイソレーションが影響するので現状ではアイソレータが必要である。 昨年空洞への電力投入で500kWアイソレータが放電を起こしたので改修し試験をしたが幾つか放電を起こしたので分解調査し、今後の課題として検討している。高周波2号機が5MWまでエージング出来たので高周波窓の5MW電力試験を行った。今後5MWの電力透過試験が必要な導波管のコンポーネントについて検討している。また、窒素加圧をして耐圧試験も実施する予定である。今後のS1GとSTF2へ向けた導波管システムの展開も検討している。 |
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FPACA16 | KEK超電導RF試験装置(STF)のRF源の開発 | 953 |
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KEKではILC計画を見据えた超電導RF試験装置(STF)を展開中である。4つの超電導空洞へ電力を供給するSTF-I計画を2008年末に終了し、時期の計画への準備(S1-global及びSTF-II計画)に向けて作業中である。STF-1計画では4台の空洞へ異なる2つの電力分配立体回路系を介して電力を供給し、LLRFのフィードバックをかけたヴェクターサム制御を行った。ILCに向けたサーキュレータを取り除いた場合の影響などについても実験を行った。本報告では最新のSTF-1におけるRF源の成果を報告する。 |
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TOAPA02 | 医用電子クライオリニアックを基盤とするコンパクトERLの開発 | 752 |
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日本大学電子線利用研究施設では100MeV級の電子リニアックを活用し、パラメトリックX線放射(PXR)の実用化を進めた結果、PXRはコヒーレントX線源であることを実証した。現在、コンパクトPXRによるがん治療・診断システムの開発研究を進めている。そのための極低温に冷却した電子リニアックによる100MeV級電子リニアックのテーブルトップ化の開発研究を進めた結果、電子クライオリニアックはエネルギー回復機能を発揮させられることを明らかになり、コンパクトPXRによるがん治療・診断装置の実現性と実用化の可能性は一段と強まっている。このシンポジウムでは開発研究成果について発表する。 |
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FPACA55 | KEK電子陽電子入射器における高周波源および高周波窓の維持管理 | 1090 |
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KEK電子陽電子入射器では高周波源として60台の大電力クライストロン、8台のサブブースターと呼ばれるクライストロンドライブ用のクライストロンをギャラリーに設置しており、年間約7,000時間の連続運転を行っている。 現在設置しているクライストロンの平均使用時間は約47,000時間である。2008年度は集束電磁石の地絡により1台撤去したが、集束電磁石以外の物には不具合が無かった。集束電磁石のみ入れ替えてクライストロンは使用継続している。 現在設置しているサブブースター用クライストロンの平均使用時間は約35,000時間である。2008年度は2台交換した。 現在設置している導波管高周波窓の平均使用時間は約54,000時間である。2008年度は4個の交換を行なった。 本稿ではクライストロン、サブブースター用クライストロンおよび導波管高周波窓に関する統計、維持管理についてまとめる。 |
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WOOPA04 | 日大LEBRA電子リニアックと光源の現状 | 18 |
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日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)では125MeV電子リニアックを用いた近赤外自由電子レーザー(FEL)とパラメトリックX線(PXR)の学内共同利用を進め、年間2000時間の加速器運転を行っている。冷却装置の老朽化に伴い順次更新を行いながら冷却系の性能向上を図ってきた結果、加速管冷却水温は±0.01℃、クライストロン冷却水は±0.02℃の安定度を達成し、ビーム加速の安定化に大きく寄与した。しかし、電磁石電源の故障発生を始め既知・未知のビーム変動要因があり、不安定要因の特定とその抑制は、特に空間コヒーレントな単色X線であるPXRを回折強調位相コントラスト撮像に利用する上で重要な課題となっている。光源の高度化研究では、FELと非線形光学結晶による紫外領域の高調波、Si(220)結晶による33.2keVのPXRを発生し、利用可能波長範囲を拡張している。 |
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TPOPA31 | 日本大学電子線利用研究施設における冷却系水温による加速ビームへの影響の解析 | 582 |
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日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)では、文部科学省学術フロンティア支援事業や、KEKとの共同研究等の支援をうけ125MeV電子線形加速器を用いた自由電子レーザ(FEL)、パラメトリックX線(PXR)光源を開発し、2004年からユーザー共同利用を開始した。ユーザー共同利用実験開始以降、より精力的に電子ビーム及び光源の安定化に努めてきた。 125MeV電子線形加速器の不安定性の原因として、冷却系の水温の安定度不足が指摘され、2005年度から2007年度にかけて冷却系の更新を行い、粗温調でおよそ±1℃、精密温調でおよそ±0.2℃に制御されていた水温を、粗温調でおよそ±0.1℃、精密温調でおよそ±0.02℃程度の精密制御に成功した。 本報告は、更新後の冷却系水温にあえて擾乱を与え、水温よる電子ビーム及びFEL強度への影響を測定し解析した結果を報告する。 |