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WOOPE02 | KEKB加速器の現状 | 63 |
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KEKB加速器は2007年1月に超伝導クラブ空洞を導入し、同年10月以後、順調にクラブ交差による実用運転を行なっている。クラブ交差で高いルミノシティを達成するには、従来のレベルを超えた精密な誤差補正とビーム衝突調整が不可欠である。その一つとして、今期新たに、電子・陽電子両リングに合わせて28台の歪6極磁石を設置し、衝突点における水平垂直結合の運動量依存性を補正したが、この補正が突破口となって、クラブ以前の記録17.6/nb/sを大きく上回るピークルミノシティ20.84/nb/sが達成された。また、1日・7日間などの積分ルミノシティも記録を更新し、現在総積分ルミノシティは953/fbに達している。入射ビームをパルス毎に切り替えてKEKB両リングと放射光リングの3者に同時入射する技術が最近実用化され、衝突調整の効率が向上したことも、今回の成果に繋がっている。 |
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TPCOA25 | 3リング同時入射用電子銃ビーム高速切替システム | 475 |
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KEK電子陽電子入射器は4つのリング(KEKBのLERとHER及びPFとPF-AR)に対してビームを供給している。このうち、KEKBリングとPFリングの3リングに対して最近連続入射を開始した。リング毎に異なったビームを随時入射するためには、ビーム毎に電子銃の異なるパラメータ(グリッドパルスの波高とタイミング、及びバイアス電圧)を高速で設定することが必要である。これを実現するために、50Hzの任意のタイミングで任意のビームを出せるように、20ミリ秒以内で電子銃のパラメータを設定する回路を構築した。このシステムについて報告する。 |
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FOAPC02 | 超高エネルギー宇宙線観測用望遠鏡較正用 小型電子線形加速器の開発 | 818 |
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超高エネルギー宇宙線観測を目的としたテレスコープアレイ(TA)実験が2008年からアメリカ・ユタ州で開始された。TA実験では、宇宙線が作る空気シャワー中の荷電粒子やガンマ線を地上で観測する地表検出器と、荷電粒子によって発光する大気蛍光を観測する大気蛍光望遠鏡(FD)を用いている。FDによる宇宙線のエネルギー測定は大気蛍光量を用いて計算される。そこで、40MeV×10^9e^-/pulseの電子ビームを用いたエネルギー較正法が提案された。高エネルギー加速器研究機構にて開発された小型電子線形加速器(TA-LINAC)は2008年1月に完成し、4から12月にかけて試験運転が行われた。この試験でパルス毎のビーム電流測定精度が±6%、出力エネルギーの決定精度が<1%である事を確認した。TA-LINACは翌年の3月にFD観測サイトに移設され、ビーム運転とFDによる観測は今秋を予定している。 |
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FPPSA17 | 高輝度X線発生装置用集束系の最適化 | 900 |
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科学技術振興機構より「高輝度X線発生装置の開発」を受託し、新型の回転対陰極を用いた高輝度X線源用の電子銃、集束系の開発を行っている。従来方式の回転対陰極では、輝度45kW/mm2(負荷2kW)がほぼ限界であるが、断面がコの字型をした新型の回転対陰極を用い、円筒内面に電子ビームを照射する方式を採用することにより、試験機を用いた測定では、これまでに130kW/mm2(負荷2.3kW)を達成している。当面は225kWmm2(負荷9kW)を目指しているが、最終的な開発目標値は輝度1MW/mm2である。この目標値達成には、照射電子ビームの高密度化が必須であり、特に集束磁石の最適化が非常に重要である。現在は、GPT、Opera、EGUNを用いたシミュレーションにより、最適化を行っている。本発表では、シミュレーションによる電子ビーム集束系の最適化に関して報告する。 |
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TOAPA02 | 医用電子クライオリニアックを基盤とするコンパクトERLの開発 | 752 |
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日本大学電子線利用研究施設では100MeV級の電子リニアックを活用し、パラメトリックX線放射(PXR)の実用化を進めた結果、PXRはコヒーレントX線源であることを実証した。現在、コンパクトPXRによるがん治療・診断システムの開発研究を進めている。そのための極低温に冷却した電子リニアックによる100MeV級電子リニアックのテーブルトップ化の開発研究を進めた結果、電子クライオリニアックはエネルギー回復機能を発揮させられることを明らかになり、コンパクトPXRによるがん治療・診断装置の実現性と実用化の可能性は一段と強まっている。このシンポジウムでは開発研究成果について発表する。 |
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WOOPA04 | 日大LEBRA電子リニアックと光源の現状 | 18 |
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日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)では125MeV電子リニアックを用いた近赤外自由電子レーザー(FEL)とパラメトリックX線(PXR)の学内共同利用を進め、年間2000時間の加速器運転を行っている。冷却装置の老朽化に伴い順次更新を行いながら冷却系の性能向上を図ってきた結果、加速管冷却水温は±0.01℃、クライストロン冷却水は±0.02℃の安定度を達成し、ビーム加速の安定化に大きく寄与した。しかし、電磁石電源の故障発生を始め既知・未知のビーム変動要因があり、不安定要因の特定とその抑制は、特に空間コヒーレントな単色X線であるPXRを回折強調位相コントラスト撮像に利用する上で重要な課題となっている。光源の高度化研究では、FELと非線形光学結晶による紫外領域の高調波、Si(220)結晶による33.2keVのPXRを発生し、利用可能波長範囲を拡張している。 |