WEP129  加速器応用、産業利用  8月5日 小ホール 13:00 - 15:00
テトラサイクリン水溶液へのパルス大強度相対論的電子ビーム照射の影響
Irradiation Effect to Tetracycline Solution with Pulsed Intense Relativistic Electron Beam
 
○古澤 雅史,皆川 勇,林 直也,高橋 一匡,佐々木 徹,菊池 崇志,原田 信弘,大沼 清(長岡技科大),今田 剛(新潟工科大),森脇 洋(信州大学)
○Masafumi Furusawa, Isamu Minagawa, Naoya Hayashi, Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi, Nob. Harada, Kiyoshi Ohnuma (NUT), Go Imada (NIIT), Hiroshi Moriwaki (Shinshu Univ.)
 
抗生物質が自然界へ流出し、薬剤耐性菌が発生することが問題となっている。本研究の目的は、パルス大強度相対論的電子ビーム(PIREB)照射による難分解性化学物質処理効果に着目し、抗生物質への照射効果を検討することである。PIREB発生装置は、長岡技科大に設置されているETIGO-Ⅲを用いた。照射するPIREBは、最大加速電圧6MVで加速され、最大ビーム電流1kAである。厚さ40μmのチタン箔を通して、大気中に設置された照射容器へと照射される。抗生物質の試料には、薬剤耐性菌の発生が問題となっているテトラサイクリン(TC)を用いた。照射後の試料は、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)を用いて分析を行った。PIREBを1mg/LのTC溶液へ3回照射した結果、50~60%の反応率が得られた。また、TCは水溶液で放置することで加水分解を起こすため、照射していないTC溶液を半年間程度放置した。放置後のTC濃度は、放置する前の四分の一程度まで低下していた。その溶液へ再び同条件で照射を行った結果、3回の照射によって90%程度の反応率が得られた。残留薬剤性を評価するために、PIREB照射後のTC溶液を大腸菌へ投与し、濁度の測定によって大腸菌の増殖率を比較した。その結果、照射後のTC溶液の方が、照射前のTC溶液よりも大腸菌の増殖が抑えられ、大腸菌に対する薬剤性が高くなることが示された。