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[第3回インジェクターアップグレード推進委員会メモ]

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日時 : 2004年8月3日(火曜日)15:00-17:00
場所 : 三号館7階会議室
出席者(順不同、敬称略):
生出、船越、末武、小磯、榎本、島田、飛山、大西、小林幸則、
原田、小川、三橋、帯名、長橋、矢野、菊池、三増、飯田、
伊澤、設楽、佐藤政則(文責)

(*) Webページもご参照下さい。
所内専用: http://www-linac2.kek.jp/iuc/index.html
所内及び所外用: http://www-linac2.kek.jp/iuc/index.html
(!URLが若干変更になりました!)

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[1] PF-AR入射エネルギーの検討(原田)

・現状での最大蓄積電流値は、
2バンチ: 90mA (RF不足のため、5GeVまで。6.5GeV不可)
シングルバンチ: 70mA (3年前の2.5GeV入射時の47mAから3GeV入射にして改善された。)

・臨床医学利用を行っている光源リングは、PF-ARとESRFのみであり、
動画撮影可能なマシンはPF-ARのみである。

・Instabilityの抑制は、RF調整だけでは限界に来ている。
入射ビームエネルギーを上げることが必要。
入射エネルギーをどれだけ上げるかは、予算の問題、ユーザーの要望などに依存する。
但し、シングルバンチマシンである故、究極的にはTop-Up入射を行うことが望ましい。

・フルエネルギー入射の問題点:
RFの上限で、6.5GeVで80mAが限界。
ダクト(冷却)の問題。

(考えられるエネルギー):
(1) 3.1GeV
・ライナック側ですぐにだせるか?
=> ライナック側は、すぐにでもOK。
=> セプタム・キッカーの耐久性は?
=> BTのキッカー・セプタムの定格Max.は3GeVだが問題ないであろう。

(2) 3.25GeV
・キッカー・セプタムがNG
・パルスQ電磁石がうまく機能すれば、キッカーはOKか。

(3) 3.5GeV
・BT ベンド電源改造が必要。キッカー・セプタムの改造が必要。
=> SY3の配置的に困難か?

(4) 4GeV
=> BT ベンド本体の改造必要で、Gap狭めてダクトの改造が必要。キッカー・セプタムの改造。


(その他の議論)
・RF空洞を減らした分、インピーダンス下がるのでインスタ減るのでは?
=> RF空洞を撤去したわけではなく、detuneしただけであるので、HOMの影響が残る。
・フィードバックで押さえていないのか?
=> フィードバックしている。

・八極は使っているか?
=> 3Aで動作しているが、現在の蓄積電流値では、あまり効かない領域になっている。
但し、0A切ると電流積めないので機能している。

・インスタが計算と合わない様である。

(結論)

・とりあえず、3.1GeV入射を試してみる。
・それ以上のエネルギーアップは、検討を継続する。
・6.5GeVのTop-Up入射は、当面検討を継続する。
(すぐにTop-Upを実現する事は困難である。)


[2] ライナックマシンスタディー報告(大西)

・Multi-energy beam accelerationの
ライナックマシンスタディーを6月末に行った。
項目は二つ。

2-1. Multi-Energy beam acceleration
2-2. Secondary e- from e+ target

(基本原則)
・5.3GeVまで加速後、減速=> 2.5GeV
・PF/ARもA1電子銃からのビームを使用。
・PF/AR同時入射は考えない。
PFとKEKB、ARとKEKBの同時入射を考える。

< 2-1. Multi-Energy beam acceleration >

・8GeV KEKB e- (2.5GeVを基準とする。
・8GeV e- のH軌道が多少出る。

2.5GeV(厳密には2.7GeV) 8GeV
規格化エミッタンス-x 3.6x10^-4m 2.5x10^-4m
規格化エミッタンス-y 6x10^-5m 4x10^-5m
(*) エネルギーは、SC61Hでのもの。

=> 何故2.5GeVでエミッタンスが大きいか?
大きくなる理由が見あたらない。


(結論)
・Optics的にはOKと思われる。
・ビームロスは、ほとんどない。
・1つの可能性としては問題ないと思われる。


< 2-2. Secondary e- from e+ target >
・Positron Target後、SBの位相を反転(e+加速に対して)させ、e-を加速する。
・3.5GeV(か、それ以上)まではOK。4GeV e-にするには、Cbandが必要。

・エミッタンスは、(加速電荷量0.6nC)

3.5GeV
規格化エミッタンス-x 1.8x10^-3m
規格化エミッタンス-y 1.5x10^-3m

=> Top-up入射用の電荷量は非常に小さいので、
エミッタンスが大きくとも途中で切ればよい。

・軌道が大きく出た。
=> ローカルに軌道補正をきちんとすれば、補正化のではないか?

・ソレノイド磁場の最適化はされているか?
=>e+/e-両方に最適化はされていない。最適化すれば、
もっと良くなるか。

・Velocity bunching (secondary e-で測定)

・K_21の位相を固定し、KL_18の位相を360°降振って、
透過電荷量を測定した。

すべての位相組み合わせでライナック最下流までビームを輸送したわけではないが、
いくつかの組み合わせでは、endまで輸送した。但し、エミッタンスは大きい。
=> BCSを活用すべきである。
=> 試験する。


[3] Orbit Correction for Multi-Energy Beams(菊池)

・Multi-energy beamを加速した場合の軌道補正について検討した。
(Qがrms 0.3mmのランダムなミスアライメントを仮定。)

・e-/e+の電荷符号が異なる場合も計算する必要があるが、
今回は、e-の異なるエネルギーについてシミュレーションした。

・8GeVと2.5GeVビームの軌道差を補正すると、
滑らかな軌道に補正できた。補正後の軌道差も、ほとんど見られない。

(結論)
・(2-1)のBeam studyの結果と合わせると、磁場を変えないでmulti-energy
beamsを通すことは可能である。今後この方式を基本として同時入射を考える。

[4] SY3レイアウト(菊池)
・4GeV以上の場合では、BHD0.1にぶつかってしまう。


[5] Synchrotron for PF-AR(菊池)
・お金を掛けてPF-AR6.5GeVフルエネルギーTop-Up入射を行うなら、
シンクロトロンを利用した方がよい。
(今の、BTレイアウトではすぐに実現することは困難)
そこで、PS-Main ringをシンクロに利用するのはどうか。

・PSシャットダウン後も、放射化物処理期間として10-20間は、
冷却水、空調を管理する必要がある。
AR Injectorに転用しても、放射化物はさほど増えない。

・現在のPSの資産を最大限に利用。
(但し、、BT, RF, Monitor系の更新が必要。
特に、RFは超伝導が必要であろう。)

・Test beam lineとして利用すれば、
広大なカウンターホールが使用可能である。
(AR injection以外のサイクルで、flattopを8GeVにする)

(その他議論)
・直線部が短いので、RFは超伝導が必要かもしれない。
=> 冷凍機は、AR東にある。

・BT用トンネルを、新規に掘る必要がある。
=>経路をうまく取れば、永久磁石で可能。
1mx1.5m程度の、共同溝レベルのもので十分。

・PS-MRを改造するとなると、かなりの予算を使うことになるのでは?
=> 放射化物処理期間の間は、どのみちPS維持に予算を掛けざるを得ない。
+αの改造費で有効利用できるのであれば、一つの可能性として考えられる。

=> より具体的に、コスト試算を行う必要がある。


[6] IUCの名称について(佐藤政則)
・前回、IUCタイミングG.打ち合わせで、IUCの名称を変えてはどうか?との
意見が出た。どうでしょうか?

(結論)
・IUCのままで行くことにする。


[7] 全体結論

・AR入射に関しては、とりあえず3.1GeV入射を試験する。

・PS活用案は、特にRFの検討をおこない、案としてのconsistencyを確立する。

・PF Top-UpとKEKB continuous 同時入射を当面は具体的に検討する。
可能なマシンスタディは適宜行う。
(A1電子銃からのビームを、PFリングへ入射するなど。)


以上、

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