WP  —  ポスター1   (05-Aug-2009   13:15—18:15)

Paper Title Page
WPAPA01 J-PARCハドロンターゲットステーションにおける大型真空箱"ペンタゴン" 73
 
  • H. Takahashi, K. Agari, E. Hirose, M. Ieiri, Y. Katoh, A. Kiyomichi, M. Minakawa, R. Muto, M. Naruki, Y. Sato, S. Sawada, Y. Shirakabe, Y. Suzuki, M. Takasaki, K. Tanaka, A. Toyoda, H. Watanabe, Y. Yamanoi
    高エネルギー加速器研究機構
  • M. Iio
    理化学研究所
  • H. Noumi
    大阪大学核物理研究センター
 
 

J-PARCハドロン実験施設に設置されたターゲットステーションは、二次粒子生成標的T1とその直下流の真空箱とから成る。この真空箱は、高さ5.7m、ビーム方向の奥行き3.0m、容積29m3という大型のもので、その形状から通称「五角形、PENTAGON」と呼ばれている。真空内には、T1を起点とする二次ビームラインの最上流電磁石3台とビームコリメータが収納される。さらに、メンテナンス時の作業被曝を最小限に抑えるため、鉄2mとコンクリート1mの放射線遮蔽ブロックも真空内に置かれる。本年1月、2月にはビーム運転が行われ、その間、本真空箱と内部機器は非常に安定に動作し続けた。 本講演では、真空箱とその内部機器の詳細について発表する。

 
WPAPA02 J-PARC KOTO実験のための中性KLビームラインの建設 76
 
  • H. Watanabe
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

 J-PARCハドロン実験ホールに、J-PARC E14実験(KOTO実験)のための KLビームラインが建設中である。 KOTO実験では、アパーチャーが狭く、かつビームハローが極めて少ない中性K中間子ビームが 必要とされている。 ここでは、その最も重要なビームライン要素である 真空槽一体型の長尺ビームコリメータの開発、およびビームライン建設状況について報告を行う。

 
WPCEA10 500m長KEK電子陽電子入射器におけるアライメント;光学系の設計 79
 
  • T. Suwada, M. Satoh
    高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設
 
 

KEK電子陽電子入射器(以下、入射器)では、加速器本体のアライメントシステムの再構築を計画している。入射器のアライメントシステムは、1995年のKEKB改造時に再構築され精力的に測定されたが、1998年6月を最後に行われていない。これは、測定の簡便性に欠けることやシステムの老朽化が主な理由である。次期計画であるSuperKEKBに向けた入射器の高度化に伴い、アライメントの重要性が再認識された。本報告では、入射器アライメントシステムに導入するレーザー光学系の基本的な設計検討の結果をまとめる。

 
WPCEA11 500m長KEK電子陽電子入射器におけるアライメント;測定系の設計 82
 
  • T. Suwada, M. Satoh
    高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設
 
 

KEK電子陽電子入射器(以下、入射器)では、加速器本体のアライメントシステムの再構築を計画している。入射器のアライメントシステムは、1995年のKEKB改造時に再構築され精力的に測定されたが、1998年6月を最後に行われていない。これは、測定の簡便性に欠けることやシステムの老朽化が主な理由である。次期計画であるSuperKEKBに向けた入射器の高度化に伴い、アライメントの重要性が再認識された。本報告では、測定系から期待されるアライメント誤差の検討結果をまとめる。

 
WPBTA07 Reduction of uncontrollable spilled beam in RF-KO slow-extraction 85
 
  • K. Mizushima, T. Shirai, T. Furukawa, S. Sato, Y. Iwata, K. Noda
    放射線医学総合研究所 物理工学部
  • H. Uchiyama, T. Fujisawa
    加速器エンジニアリング株式会社
 
 

The RF-KO slow-extraction method has been used for fast on/off switching of the beam from the synchrotron during scanning irradiation at HIMAC. However, the controllable low beam rate is limited by a small amount of beam which spilled out without the transverse RF field. We could reduce it to 0.4 % compared to the original method by adding the another transverse RF field.

 
WPBDA31 マルチバンチ用ビーム振動モニタの開発 88
 
  • T. Naito, S. Araki, H. Hayano, T. Ieiri, K. Kubo, S. Kuroda, T. Okugi, N. Terunuma, J. Urakawa
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

蓄積リングに於いてチューン測定に用いられる信号処理系は通常usの信号処理時間を必要とするため、シングルバンチ運転では問題がないがバンチ間隔がnsのマルチバンチビームの振動を測定しようとした時、その振動を正しく測定することは難しい。 マルチバンチビームの振動測定に高速アナログゲートを用いることで、マルチバンチのビーム信号から目的のバンチの信号だけにゲートをかけてシングルバンチと同じ信号にし、それ以降はチューン測定に用いられる信号処理系で測定出来る様にした。このシステムによりマルチバンチビームの任意のバンチの振動の振る舞いを測定することが可能となった。 マルチバンチビームの振動測定例として、KEK-ATF DRで2.8nsのバンチ間隔を持つマルチバンチビームの個々の振動測定を行った。その結果について報告する。

 
WPBDA15 SPring-8蓄積リング加速器診断ビームラインの現状 91
 
  • S. Takano, M. Masaki, K. Tamura, A. Mochihashi, T. Nakamura, S. Suzuki, M. Oishi, M. Shoji, Y. Taniuchi, Y. Okayasu, H. Ohkuma
    高輝度光科学研究センター
  • S. Okajima
    中部大学
 
 

SPring-8蓄積リングで稼働中の2本の加速器診断用放射光ビームラインの現状について総合報告を行う。加速器診断Ⅰは偏向電磁石を光源とし、X線を用いたビームサイズ測定、可視光を用いたバンチ長やバンチ純度の測定を行っている。加速器診断Ⅱは、電子ビームからの退避機構を持ち現場で磁石列が交換可能な挿入光源を設置している。現在の磁石列は、最大K値5.8のマルチポールウィグラー型である。これを用いて、放射光のスペクトル、空間分布から電子ビームのエネルギー広がり等診断を行う研究と、短パルスX線放射光の計測に不可欠なX線ストリークカメラの性能評価等を進めている。この光源を用いたフォトンアブソーバ等の蓄積リング高熱負荷機器の開発研究も計画している。加速器診断Ⅰで予備実験に成功した遠赤外レーザー光子の逆コンプトン散乱による10MeVγ線発生は、加速器診断Ⅱでより大強度のγ線発生システム整備を進めている。

 
WPCEA12 LASER-BASED ALIGNMENT SYSTEM FOR THE 500-M-LONG KEK ELECTRON/POSITRON INJECTOR LINAC: CALIBRATION OF SILICON PHOTODETECTORS 94
 
  • E. Kadokura, T. Suwada, M. Satoh, K. Furukawa
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

KEK電子陽電子入射器(以下、入射器)では、加速器本体のアライメントシステムの再構築を計画している。入射器のアライメントシステムは、1995年のKEKB改造時に再構築され精力的に測定されたが、1998年6月を最後に行われていない。これは、測定の簡便性に欠けることやシステムの老朽化が主な理由である。次期計画であるSuperKEKBに向けた入射器の高度化に伴い、アライメントの重要性が再認識された。本報告では、レーザー用シリコンフォトダイオードを用いた光検出器の校正システムと校正結果についてまとめる。

 
WPBTA13 エンベロープ方程式によるシミュレーションコードの開発 97
 
  • J. Yamazaki
    総合研究大学院大学
  • A. Enomoto, Y. Kamiya
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

低エネルギービーム輸送のシミュレーションコードを開発した。進行方向(縦)の運動方程式を差分方程式で解き、多数のマクロ粒子の運動を記述した。縦の粒子分布、運動エネルギー、ピークカレント等の物理量を計算した。なお、縦の粒子群は設計軌道上に凝縮していると仮定した。動径方向(横)は、軌道方程式を使う代わりにエンベロープ方程式を使い数値計算で解いた。同一バンチ内に多数のエンベロープ(a)を配置し、進行方向での微分a’を使いa a’空間上の相関係数を計算した。ピークカレントとエンベロープを使いバンチ用の空間電荷場を計算した。なお、鏡像効果は入れていない。ビームウェスト付近を除いて、a a’空間上の相関係数とエミッタンスには比例関係がある。この相関係数を使い最適化を行うと共に、エミッタンス増大の抑制法を検証することが可能である。本発表では主にコードの説明をする。

 
WPBTA14 0.1mm mradの超低エミッタンスのビーム輸送モデル 100
 
  • J. Yamazaki
    総合研究大学院大学
  • A. Enomoto, Y. Kamiya
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

初期の運動エネルギー330keV(電子銃)での超低エミッタンスのビーム輸送モデルを作った。加速後の規格化エミッタンスは、0.1mm mradであり、運動エネルギーは5MeV、rmsバンチ長は約2psecである。エンベロープ方程式によるシミュレーションコードにて最適化後、エミッタンス増大の抑制法を検証し、最終的にPARMELA Ver3.3 2次元フォトカソード電子銃用のScheffのアルゴリズムを使い規格化エミッタンスを算出した。本発表にてエミッタンス増大の抑制法と入射部パラメーターを提案する。エネルギー回収型加速器等の入射器に応用できると考えているが、理想化したエレメントの配置のため、現実モデルへ適用するにはパラメーターの修正が必要である。

 
WPLSA01 縦及び横方向の抵抗壁ウェーク場とERLへの影響 104
 
  • N. Nakamura
    東京大学物性研究所
 
 

有限の半径と厚みを持った円形パイプに対して厳密な形で縦方向と横方向の抵抗壁インピーダンスを解析的に求め、抵抗壁ウェーク場のERLへの影響を評価した。縦方向ウェーク場では、大電流でバンチ長の短いERL ビームでparasitic lossによる真空ダクトの発熱が大きくなることが予想されたため、実際に挿入光源用真空ダクトにおける発熱を求めたインピーダンスから計算した。また、2層からなる円形パイプのインピーダンスも解析的に求めて、銅メッキによるインピーダンスと発熱の低減を定量的に評価した。横方向ウェーク場では、その蓄積効果によるロングレンジでのビーム位置の変化をシミュレーションで追うことに成功した。コンパクトERLやアンジュレータ真空ダクト内でのビーム位置の変化を定量的に求め、ビームブレークアップの可能性について議論した。

 
WPLSA02 コンパクトERLのための主加速空洞RF振幅位相と入射タイミングの許容誤差の研究 109
 
  • N. Nakamura
    東京大学物性研究所
  • T. Miyajima, M. Shimada, Y. Kobayashi, S. Sakanaka
    高エネルギー加速器研究機構
  • R. Hajima
    日本原子力研究開発機構
 
 

次世代放射光源であるエネルギー回収型ライナック(ERL)では、既存の放射光源に比べてバンチ長が短く、最小で100fs以下になる。従って、構成機器やバンチのタイミング制御に対して高い精度が要求されるものと予想できる。本研究では、コンパクトERLにおける主超伝導加速空洞の振幅と位相の誤差、及び入射器からのバンチ入射タイミングの誤差がバンチタイミングやバンチ圧縮に及ぼす影響をビームのシミュレーションで評価し、それらの許容誤差と要求される精度を明らかにする。

 
WPLSA13 SAGA-LSにおける超伝導ウィグラーの設計検討 112
 
  • S. Koda, Y. Iwasaki, Y. Takabayashi, T. Kaneyasu
    九州シンクロトロン光研究センター
  • T. Semba, Y. Murata, M. Abe
    日立製作所
 
 

 放射光施設SAGA-LSでは、より高エネルギーのX線ニーズに応えるため蓄積リング 長直線部LS2に超伝導ウィグラーを設置する計画を進めている。磁場強度は4T、1.4GeV蓄積電子ビームに対し臨界エネルギーは5.2keVである(ビームラインは分光範囲4.2~37keVで計画)。単極型ウィグラーでメインポールを超伝導マグネット、サイドポールを常伝導とするハイブリッド構成である。  設計にあたり特に運用上の安定性、保守性が重要な課題となった。SAGA-LSでは経費、立地の点で液体ヘリウム供給に大きな課題があり、大量に液体ヘリウムを使用するウィグラーは実用上維持が困難であった。そのため超伝導コイルの冷却はMRI等で実績のある小型GM冷凍機による直冷式とし、定常運転時に冷媒を必要としない構成とした。現在、製作仕様決定のための検討を進めている。本発表では設計の最新状況を報告する。

 
WPAPA08 UVSOR-IIにおけるレーザーコンプトン散乱による超短パルスガンマ線発生 115
 
  • Y. Taira, M. Hosaka, Y. Takashima, N. Yamamoto, K. Soda
    名古屋大学大学院 工学研究科
  • M. Adachi, H. Zen, M. Katoh
    自然科学研究機構 分子科学研究所 極端紫外光研究施設
  • T. Tanikawa
    総合研究大学院大学 物理科学研究科
 
 

高速現象の観測における強力ツールとして、活発に研究開発されているパルス幅サブピコ秒のレーザー、電子線、X線に対し、量子ビームの中で全く開拓されていないパルス幅サブピコ秒の超短パルスガンマ線を発生し、レーザーコンプトン散乱ガンマ線の新しい利用法を開拓することを目指す。電子蓄積リング内部の電子ビームの形状は、垂直方向には数10micronと非常に薄い扁平形をしているため、超短パルスレーザーを90度方向から照射することで、相互作用時間を短くし、発生するガンマ線のパルス幅を100fsオーダーにすることが可能である。UVSOR-IIのビーム診断用の窓を用いることで、レーザーを90度を含む複数の方向から照射することができる。研究の第一段階として、期待されるガンマ線のエネルギー、強度、パルス幅に関する検討を行ったので報告する。また、予備実験の結果についても報告する予定である。

 
WPCEA13 ソフトウェアデータムに基づく長距離における高精度な真直度評価方法 118
 
  • T. Kume, M. Satoh, T. Suwada, K. Furukawa
    高エネルギー加速器研究機構
  • E. Okuyama
    秋田大学
 
 

全長約500mと100mの2台の線形加速器からなるKEK電子陽電子入射器では、下流の蓄積リングの高度な安定化を達成するために、既存技術では達成することが困難な高精度なアライメントと、それに伴う真直度評価方法の確立が望まれている。 ここでは、走査型の形状測定に伴う誤差要因を、ソフトウェア的な手法により分離、除去する、ソフトウェアデータムに基づく形状測定方法の、当該真直度評価への適用可能性を見積もるため、最も基本的な差分形状を検出する方法について、実験とシミュレーションに基づいた検討を行った。 その結果、実測定環境において、被測定物の差分形状が14マイクロrad(シグマ)程度の繰返し性で測定可能であることが示された。この場合、被測定物の差分形状を測定間隔2mで逐次測定することで、目標とする測定長500mにおいて、1mm(2シグマ)未満の繰返し性での真直度評価が可能と見込まれる。

 
WPBDA09 ビーム力学研究用イオントラップによる共鳴不安定性の実験的研究 121
 
  • S. Ohtsubo, M. Fujioka, H. Higaki, K. Ito, K. Izawa, M. Kuriki, H. Okamoto, K. Tanaka
    広島大学 大学院先端物質科学研究科
 
 

 加速器中を伝搬する荷電粒子ビームの運動と線形ポールトラップに閉じ込めたイオンプラズマの運動は空間電荷効果を考慮しても物理的にほぼ等価である。そこで、イオントラップに閉じ込めたイオンプラズマを用い、大強度ビームの共鳴不安定性について実験的に研究している。  トラップ中のアルゴンプラズマに与える集束力を変えながら、イオン数の測定を行った。その結果、コヒーレント振動のチューンが半整数に近づくと共鳴が発生し、ビーム(プラズマ)は不安定化することを確認した。この不安定領域はトラップに蓄積したイオン数に依存しシフトする。MCPとCCDカメラなどを用いた分布計測などに基づいて、クーロン場によるコヒーレント振動のディチューニングとプラズマ密度の関係を求めた。

 
純電子プラズマを用いた不整合駆動ハロー生成の実験  
 
  • S. Fujimoto, M. Kuriki, H. Higaki, K. Ito, H. Okamoto
    広島大学 大学院先端物質科学研究科
 
 

加速器の大強度化に伴いビームの空間電荷効果による集団運動の研究の重要性が高まっている。しかし、空間電荷効果の研究方法として解析的手法を用いるのは難しく、多粒子シミュレーションや空間電荷研究用の加速器を建造する方法も考えられているが計算や測定の精度やコスト面での問題がある。そこで我々はスムース近似の下で加速器中のビームと等価になる磁場トラップ中のプラズマを用いて研究を行っている。本研究ではプラズマを閉じ込めるための磁場トラップにCCDカメラと蛍光面からなる計測装置を取り付けた実験装置を用いる。磁場と静電場(調和ポテンシャル)を用いてトラップ中に高密度の電子プラズマを閉じ込め、閉じ込めた電子プラズマにかかるポテンシャルを急激に変化させることでミスマッチに等価な現象をトラップ中でおこすと、プラズマの核の周辺にハロー状の成分が形成されることを確認した。

 
WPLSA04 ERL電子銃励起用リニアキャビティ型Ybファイバーレーザーオシレータの開発 124
 
  • T. Kawasaki, I. Ito, N. Nakamura
    東京大学物性研究所
  • D. Yoshitomi, Y. Kobayashi, K. Torizuka
    産業技術総合研究所
  • T. Aoki
    芝浦工業大学
  • H. Kawata
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

ERLでは光陰極電子銃からの電子ビームの特性が光の特性や品質に直結するため、光陰極励起用レーザーとして高安定性、高出力が期待できるYbファイバーレーザーを採用する予定である。超伝導加速空洞のRF周波数が1.3GHzであるため、我々はYbファイバーレーザーで1.3GHzの繰返し周波数を実現することを目標としていくつかの異なるタイプのオシレータを開発している。その1つとしてSESAM (半導体可飽和吸収鏡)を用いてモードロックを行う直線型のオシレータがある。このオシレータでは励起光を透過しレーザー光を反射するダイクロイックミラーと、光の強度が高いと反射率が高くなるSESAMを、それぞれYbファイバーの両端に取り付けた直線型のリニアキャビティに励起光を入射し、Ybファイバーレーザーの発振光を閉じ込めてモード同期を行う。本発表ではオシレータとその特性について報告する。

 
WPBTA08 ビーム取出しシミュレーションにおけるカラードノイズ計算へのデジタルフィルター法の適用 127
 
  • T. Nakanishi, K. Tsuruha
    日本大学生産工学部
 
 

高速四極電磁石とRFKO機器を使ったシンクロトロンからのビーム取出しシミュレーションプログラムの開発を行っている。RFKOの信号源としてカラードノイズを用いるが、それによる粒子のキック角をディジタルフィルタ法を用いて計算する手法を提案した。周波数バンド幅内の周波数成分を持つcosの和として与えられる通常の方法と比較して、回転数分のキック角の計算時間を大幅に短縮できた。また、スピル構造はほぼ同様の結果が得られた。

 
WPBDA01 J-PARC ハドロンビームライン用OTR ビームプロファイルモニタの開発(4) 130
 
  • A. Toyoda, K. Agari, M. Ieiri, Y. Katoh, A. Kiyomichi, Y. Sato, S. Sawada, Y. Shirakabe, Y. Suzuki, M. Takasaki, H. Takahashi, K. Tanaka, M. Naruki, E. Hirose, T. Mitsuhashi, M. Minakawa, R. Muto, Y. Yamanoi, H. Watanabe
    高エネルギー加速器研究機構
  • H. Noumi
    大阪大学
 
 

今回我々は本年2月にJ-PARCの遅い取り出しビームラインであるハドロンビームラインにビームを取り出すことに成功した。ビーム強度は連続モードで120 W程度と非常に低強度であったが、今まで開発してきたOTR検出器によってビームプロファイルを測定することに成功した。本発表においては、実機のOTR検出器の製作、光学調整、ビームライン設置、および実際に得られたプロファイルについて報告する。プロファイルに関しては、KEK-PSにおけるプロトタイプOTR実験の際に見られたチェレンコフ起源と思われるバックグラウンドがきれいに落ちており、新規光学システムの有用性が確認された。残りのわずかなバックグラウンドを引いた後に位置、幅情報を評価した。位置に関してはリファレンスモニターとよい一致が見られたが、幅に関しては一致しなかった。この原因について、および今後の展望などの詳細についても発表する。

 
WPLSA20 放射光挿入光源用永久磁石の放射線減磁に関するモデル 133
 
  • T. Bizen
    高輝度光科学研究センター
  • Y. Asano
    理化学研究所
 
 

挿入光源などに使われる永久磁石は、強い放射線により磁力を失う放射線減磁を起こす。精密な磁場調整を行った挿入光源磁石の磁場変化は、電子軌道や発生する放射光、FELのレーザー発振に影響を与える。これまで、放射線減磁のメカニズムを十分に説明するモデルは提案されていなかったが、本発表では、新しいモデルを提案し、GeVクラスの高エネルギー電子照射下で起こる減磁現象を説明できることを示す。本モデルは、二つの異なる機構が複合して起こるモデルで、磁石の結晶構造等に破壊が生じるより前に起こる磁化反転による減磁に関するものである。第一の機構は、磁区より大きな領域における熱減磁に類似した不安定性であり、第二の機構は、高エネルギー光中性子による極微小領域における熱スパイク的な高温の発生である。

 
WPLSA05 ERL放射光源における共振器型XFELの発振特性 137
 
  • R. Hajima, N. Nishimori
    日本原子力研究開発機構
 
 

完全結晶のBragg反射を利用した硬X線領域の共振器型FEL(XFEL-O)は、 空間コヒーレンスに加えて、時間コヒーレンスも有する究極のX線レーザーとして期待されている。 エネルギー回収型リニアック(ERL)の低エミッタンス、高繰り返し電子ビームは、 XFEL-Oを駆動するのに最適である。将来のERL放射光源にXFEL-Oを組み合わせれば、 ERL放射光源はさらに魅力のある施設となる。 本報告では、ERL放射光源の電子ビームパラメータを用いた時の、XFEL-Oの発振特性を 数値解析により明らかにする。Bragg反射における狭帯域化、エネルギー分散効果も取り込み、 XFEL-Oのレーザー動作の詳細を議論する。

 
WPCEA01 XFEL/SPring-8の収納部床の振動特性 140
 
  • S. Matsui
    理化学研究所
 
 

XFELの線型加速器部分はSPring-8サイトの中でも埋め立て地に建設され、間隔7.5m、直径1.5m、最大長さ50mの杭で沈下防止をする構造になっている。X線を発生する光源棟部分の上流側は柔らかい岩を取り除き人口の岩盤で置き換えられた。光源棟部分の下流側は中硬岩の上に建てられた。このような基礎の上に造られた収納部トンネル床(床、壁の厚み2m)の振動特性の測定結果を報告する。

 
WPBTA09 Bunch-by-Bunch Feedback用新規バンチ電流感応型自動アッテネータの開発 143
 
  • K. Kobayashi, T. Nakamura
    高輝度光科学研究センター 加速器部門
 
 

SPring-8蓄積リングでは、様々なバンチフィリングを実現し放射光ユーザーに供している。その中でハイブリッドフィリングでは、既に開発したバンチ電流感応型自動アッテネータにより、シングル部、トレイン部双方において適切なBunch-by-Bunch Feedback(BBF)システムの入力になるようRF信号強度を自動制御し、BBFシステムによりビーム不安定性を抑制している。  現在使用している自動アッテネータシステムの対応範囲としては20dB程度が限界であるので例えば10mA/0.05mAのバンチ電流が混在するフィリングには対応できない。これに対応するため、使用するアッテネータの候補として電圧可変型のデバイスを評価中であり、それを用いた新システムを構築中である。本報告では、開発中の50dBを目標としたバンチ電流感応型自動アッテネータの開発とその制御、特性評価結果について述べる。

 
WPBDA19 高速ゲートモジュールの開発とその応用 146
 
  • T. Ieiri, H. Fukuma, M. Tobiyama
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

ターン毎ビーム位置モニターに任意のバンチを選択できるゲート回路を付けたゲートビーム位置モニター(GBPM)と特定バンチを励振しその振動を測定するゲートチューンモニター(GTM)がKEKBで開発された。そのゲート回路は、スイッチング時間のために最少バンチ間隔が6nsに制限されている。KEKBのルミノシティ増強計画において、バンチ間隔は2~4nsに縮められる。このような狭いバンチ間隔でもバンチ毎のビームパラメータを測定するために、1ns以下のスイッチング時間をもつ広帯域スイッチを用いた高速ゲートモジュールを開発した。又、通常の衝突状態においてもオプティックス測定ができるために、全周のターン毎ビーム位置モニターにゲート回路を付ける応用が検討されている。

 
WPAPA09 ニュースバルレーザーコンプトンガンマ線のエネルギー域拡大 149
 
  • S. Amano, S. Miyamoto, K. Horikawa, T. Mochizuki
    兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所
 
 

ニュースバル電子蓄積リングにおけるレーザーコンプトンガンマ線源の現状について報告する。我々は最初、ニュースバルの1〜1.5GeVの電子ビームと波長1.064μmと0.523μmのNd:YVO4レーザーを用いて17〜39MeVのガンマ線ビーム発生に成功した。次に波長10.6μmのCO2レーザーを導入して、発生ガンマ線のエネルギー域拡大を図り、1.7〜3.9MeV領域のガンマ線発生を得た。得られた最大フラックスは〜5x106photon/secである。現在、さらに2μmレーザーの導入により9〜17MeVへのエネルギー域拡大を計画している。

 
WPBDA25 ニュースバルの可視放射光ビーム診断ラインBL1b 152
 
  • Y. Shoji, K. Takeda
    兵庫県立大学
  • Y. Minagawa, T. Shinomoto
    高輝度光科学研究センター
 
 

電子蓄積リングニュースバルに、可視放射光を用いたビーム診断ラインを設置した。ラインの初段は、KEKの支援を受けて設計・制作した真空内ベリリウムミラーと低歪み真空窓である。放射光の熱負荷による初段ミラーの歪みはハルトマンマスクを使って計測した。現在のラインには、ICCD gated cameraやstreak cameraが設置されてビーム診断が行われている。将来的には、コロナグラフ等の導入も行ってトップアップ入射時のビーム診断に利用していく他、赤外からTHzの長波長も計測可能なラインに改造していく予定である。

 
WPCEA09 ニュースバルにおける振動測定 155
 
  • Y. Shoji
    兵庫県立大学
  • Y. Minagawa, T. Shinomoto
    高輝度光科学研究センター
 
 

電子蓄積リングニュースバルでは、20Hz程度をピークとする周波数幅の広いビーム振動が観測されている。ここでは振動原因候補の一つである電磁石や真空チェンバーの振動を測定した結果について報告する。  偏向電磁石と比べて、小さな多極電磁石の振動が大きい事が確認され、同じ架台に乗った電磁石でも同様の傾向が見られた。特に薄い多極磁石では、垂直方向振動<水平方向振動<ビーム軸方向振動 という傾向が見られた。磁石は3本のネジを支柱として架台に固定されており、この固定が弱いと推測される。周波数的には、磁石と振動方向によって差はあるが、概ね20~30Hzに振動のピーク(共鳴周波数)を持ち、ビーム振動の原因となっている可能性がある。

 
WPBTA10 Development of a New Method To Evaluate Performance of Accelerator Magnets by Transporting Alpha Particles 158
 
  • Y. Kuriyama, Y. Mori
    京都大学原子炉実験所
  • Y. Kuno, M. Aoki, A. Sato, M. Yoshida, T. Itahashi
    大阪大学大学院理学研究科
  • Y. Arimoto
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

We are proposing a new method to evaluate accelerator magnets and rings with non-linear dynamics. In this method, a transfer map of higher orders is obtained using the data of particle transportation. The experiment of particle transportation was done. Using the information obtained in the experiment, the transfer map of higher orders with truncated Taylor expansion is calculated.

 
WPCEA05 KEK電解研磨設備の開発(2) 162
 
  • K. Ueno, Y. Funahashi, M. Sawabe, H. Hayano, T. Saeki
    高エネルギー加速器研究機構
  • T. Suzuki
    株式会社野村鍍金
 
 

超伝導空洞製造上、電解研磨(EP)工程は空洞表面処理をするため必須かつ重要工程である。国際リニアコライダー(ILC)用高電界の空洞製造技術開発の目的から、高エネルギー加速器研究機構(KEK)のSTF棟内に、電解研磨設備(EP設備)建設を行い、平成20年3月から運用している。ILC空洞のEP処理を進めながら、平成20年度にEP処理の前、後工程として必要な処理設備を準備した。EP処理前工程として、プレEP処理、EP処理直後のフレッシュEP処理、リンス(過酸化水素水、エタノール、及び脱脂剤)処理、及び空洞組立前のフランジCP処理工程である。また本設備の状態の可視化の一環として、高圧超純水洗浄装置内の超純水に含まれる微粒子の計測など、使用状態の可視化に取り組んだ。 本報告において、KEKのEP処理工程の前、後処理工程設備の現状について概要を述べる。

 
WPBDA23 中部シンクロトロン光利用施設(仮称)のためのターンバイターンビーム位置モニタシステムの開発 165
 
  • A. Nagatani, M. Hosaka, N. Yamamoto, K. Takami, Y. Takashima
    名古屋大学
  • M. Adachi, H. Zen, K. Hayashi
    自然科学研究機構 分子科学研究所 極端紫外光研究施設
  • M. Katoh
    名古屋大学 / 自然科学研究機構 分子科学研究所 極端紫外光研究施設
  • H. Hori
    高エネルギー加速器研究機構
  • S. Sasaki
    高輝度光科学研究センター
  • S. Koda
    九州シンクロトロン光研究センター
 
 

名古屋大学を中心とした愛知県内の大学、愛知県、産業界が連携して中部シンクロトロン光利用施設(仮称)建設計画を進めている。この光源加速器のブースターシンクロトロンに5台、ストレージリングに32台のビーム位置モニタ(BPM)を設置する予定である。本研究では同施設の両加速器におけるコミッショニング時に用いるシングルパスBPMシステムの開発を行っている。このシステムは高速デジタルオシロスコープによる信号処理をベースにする予定である。現在、分子科学研究所のUVSOR電子蓄積リングを用いた実験を通してシステムの検討を進めている。これらの検討と電磁場解析ソフトPoissonを用いたシミュレーションをもとに中部シンクロトロン光利用施設に最適なBPM電極形状およびシステム構成を考察した。上記の内容について報告する。

 
WPBDA24 中部シンクロトロン光利用施設(仮称)計画のためのRFノックアウトシステムの開発 168
 
  • Y. Furui, M. Hosaka, N. Yamamoto, Y. Takashima
    名古屋大学大学院
  • M. Adachi, H. Zen, K. Hayashi, M. Katoh
    自然科学研究機構 分子科学研究所 極端紫外光研究施設
  • A. Mochihashi, S. Sasaki
    高輝度光科学研究センター
  • H. Hori
    高エネルギー加速器研究機構
  • S. Koda
    九州シンクロトロン光研究センター
 
 

中部シンクロトロン光利用施設では、ブースターシンクロトロンとストレージリングに各一台ずつRFノックアウト装置を設置する予定であり、その開発を行っている。RFノックアウトはコミッショニングにおけるベータトロンチューンの測定、さらには電子ビームのシングルバンチ化や縦方向フィードバックにも使用する予定である。 RFノックアウトシステムの仕様を決定する参考とするため、分子科学研究所UVSORにおいてブースターシンクロトロンのRFノックアウトによるベータトロンチューン測定を行い、測定に最適な入力信号について検討した。また、RFノックアウトのビームへの効果をシミュレーションし、測定結果と共に考察した。これらを元に中部シンクロトロン光利用施設に最適なRFノックアウトの電極の形状と配置、測定時の入力信号等を検討したので報告する。

 
WPLSA17 UVSOR-IIにおけるレーザーシーディングを用いた短波長コヒーレント光源の開発 171
 
  • T. Tanikawa
    総合研究大学院大学
  • M. Adachi, H. Zen, J. Yamazaki, M. Katoh
    自然科学研究機構 分子科学研究所 極端紫外光研究施設
  • M. Hosaka, N. Yamamoto
    名古屋大学
  • Y. Taira
    自然科学研究機構 分子科学研究所 極端紫外光研究施設 / 名古屋大学
 
 

UVSOR-II電子蓄積リングにおいてレーザーシーディング技術を用いた光源開発を行っている。これまでの成果として、フェムト秒レーザーを用いた偏光可変の深紫外コヒーレント高調波発生に成功し、さらなる短波長化を目指している。 UVSOR-IIでは昨年度より5ヶ年の光源改造計画が始まっている。蓄積リングのビーム入射点を変更することで長直線部を創出し、そこにコヒーレント光発生専用アンジュレータおよびビームラインを建設する。現在は、レーザーシステムの増強と真空紫外分光システムの製作を進めている。また、シード光源としてガス高調波発生システムの開発に着手した。専用アンジュレータのパラメータデザインも行っている。 本発表では、上記短波長コヒーレント光源の設計検討結果及び予備実験の結果について報告する。

 
WPBDA28 負性抵抗回路を用いたカレントモニタの開発 174
 
  • T. Kurita
    若狭湾エネルギー研究センター
  • S. Ninomiya
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

数秒程度の繰り返し周期のシンクロトロンのビームモニタとして適したCurrent Transformer(CT)を開発し若狭湾エネルギー研究センター(WERC)のシンクロトロンにインストールした。WERCのシンクロトロンには、ビームモニタとして高周波帯域のCTと静電誘導型のバンチモニタが設置されているが、交流成分しか測定できないため、 リング内を周回している粒子数を常に測定することができない。今回開発及び設置したビームモニタは電流の負性抵抗回路を応用した直流成分を測定できる新方式のCTである。また、DSP を用いて、CT の出力に重畳する誤差磁場信号の除去およびオフセットの変動の改善を行う信号処理システムを開発した。これらについて報告する。

 
WPBDA16 SPring-8加速器診断ビームラインII挿入光源の特性とその応用 177
 
  • M. Masaki, S. Takano, K. Tamura, A. Mochihashi, M. Oishi, M. Shoji, T. Fujita, T. Takashima, H. Ohkuma
    高輝度光科学研究センター 加速器部門
  • S. Yamamoto
    高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所
 
 

SPring-8加速器診断ビームラインIIの挿入光源(ID)は、蓄積リングのビーム診断、アブソーバーのような耐熱機器の試験など多くの用途に対応できるように設計されている。最大の特長は、ID全体をビーム軸から退避できるスライド機構付き架台に設置し、加速器トンネル内で磁石列の交換ができることである。現在の磁石列は、周期長76mm、周期数51を持つHalbach型であり、最大K値は5.8である。このときのエネルギースペクトルは、50次に達する高次光のピークまで明瞭に観測された。これは、位相誤差が2゜以下となるように入念にID磁場を調整した結果である。このIDの応用の一つとして開発しているのは、高次光の垂直発散角を用いた電子ビームエネルギー広がりの高速リアルタイム診断である。現在までに、19次光の垂直発散角がエネルギー広がりに対して十分な感度を持つことを実験的に確認している。

 
WPAPA07 超微弱電子線直接照射法のウラン検出感度の評価 180
 
  • R. Taniguchi, R. Sasaki, T. Kojima, S. Okuda
    大阪府立大学放射線研究センター
 
 

10MeV程度のエネルギーで、ピコアンペア程度の超微弱電子線を試料に直接入射し、電子の準弾性散乱に伴う核反応によって放出される中性子を検出することで、高感度にウランを遠隔・非破壊検出する装置の開発を行っている。本報告では、入射電子のエネルギーと感度の関係を中心に議論したい。ウランを検出する方法には、いくつかの手法が提案されているが、この直接法はマイクログラムオーダーのウランの検出が可能であり、感度の点では格段に優れている。また、本手法は2次元化が容易であり、信頼性の面でも有望であると考えられる。

 
WPBDA29 JAEA AVFサイクロトロンのビーム位相の特性 183
 
  • N. Miyawaki, S. Okumura, S. Kurashima, H. Kashiwagi, K. Yoshida, Y. Yuri, T. Yuyama, T. Ishizaka, I. Ishibori, T. Nara, W. Yokota
    日本原子力研究開発機構 高崎量子応用研究所
 
 

原子力機構AVFサイクロトロンでは、マイクロビーム形成で問題となる色収差の低減に必要なビームエネルギー幅の狭小化を、第5高調波を用いたフラットトップ加速により実現する。そこで、フラットトップ加速位相内にビームを制御するために中心領域を改造した。従来は、ビーム位相分布の測定がビームの損失が不可避なサイクロトロン外部でしか行えず、中心領域の位相制限スリット等とビーム位相の関係は、正確には分からなかった。この関係を明らかにするため、プラスチックシンチレータを取付けた半径方向に走査するプローブを開発し、位相制限スリットの位置やビームバンチャーの位相に対するビーム位相分布の関係をサイクロトロン内部で直接測定した。その結果、加速ハーモニックスh=1,2,3の内、マイクロビーム形成に成功しているh=2の条件ではビーム位相の圧縮が認められる等、加速ハーモニックスに依存したビーム位相の特性が確認できた。

 
WPLSA08 テーブルトップTHz FEL増幅装置の数値シミュレーション 186
 
  • K. Higashimura, S. Ueda, K. Yoshida, R. Kinjo, A. Mahmoud, T. Sonobe, T. Kii, K. Masuda, H. Ohgaki
    京都大学エネルギー理工学研究所
 
 

京都大学エネルギー理工学研究所では波長可変THzパラメトリック発生器をシード光源とし、光陰極型高周波電子銃を用いたテーブルトップTHz FELシステムの実現にむけて研究を行っている。電子ビームミクロパルス特性とシード光に対するFEL出力の依存性を粒子シミュレーションコードParmela並びに3次元FELゲインシミュレーションコードGENESIS1.3を用いて計算している。短パルス電子ビームを、長波長FELで用いる場合には、FEL増幅が飽和に達する前に電子がFELよりslipして相互作用を起こさなくなる現象が計算より確認された。FELが飽和しないため、電子ビームの不安定性やシード光の不安定性に対してFELを安定した出力で発振できるように装置を設計する必要がある。本会ではFEL出力安定化用の対策として、発振に適したシステム設計と電子ビームに関する考察についても発表を行う予定である。

 
WPBDA20 SuperKEKB用ボタン電極の開発 189
 
  • M. Tobiyama, H. Fukuma, S. Hiramatsu, H. Ishii, K. Mori, K. Shibata, M. Tejima
    高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設
 
 

SuperKEKBリングのビーム位置モニターで用いるボタン電極を設計した。三次元電磁界計算コードHFSSとGdfidL/MAFIAを用いて高周波特性、ビーム応答、wakeを計算し、ボタン電極による進行方向ビーム不安定の閾値を推定した。さらに、SuperKEKBでは製造を容易にし保守性を改善するため、フランジ接合で真空チェンバーに接続する。KEKBリング日光直線部及びD6に設置したSuperKEKB用アンテチェンバー試作器にモニターを設置し、信号特性を観察した結果についても報告する。

 
WPAPA04 放医研新治療エリアに向けたビームラインの建設 192
 
  • T. Shirai, Y. Iwata, T. Furukawa, S. Sato, A. Itano, N. Saotome, E. Takeshita, K. Noda
    放射線医学総合研究所
  • T. Fujimoto, T. Miyoshi, S. Shibuya, A. Takubo, Y. Sano
    加速器エンジニアリング株式会社
  • Y. Kanai, N. Suetake
    株式会社東芝
 
 

放射線医学総合研究所では、高速スキャニング照射技術を核とした次世代照射システムの開発に取り組んでおり、それを実際の治療に応用するために、新治療エリアを、HIMAC棟の横に建設中である。新治療エリアに、HIMACシンクロトロンからビームを供給するためには、150m程度のビームラインが必要であり、現在その設計ならびに製作をおこなっている。このビームラインは、治療に合わせて、高速なエネルギー変更をおこなうなどの特徴をもっており、本発表では、こうした点を中心に、ビーム光学系・電磁石・真空系などについて発表をおこなう。

 
WPLSA09 コヒーレント遷移放射を利用したテラヘルツ波電子線分光の研究 195
 
  • N. Sei
    産業技術総合研究所 計測フロンティア研究部門
  • T. Takahashi
    京都大学 原子炉実験所
 
 

我々は、京都大学原子炉実験所に設置されているLバンドライナックKURRI-LINACの強力なミリ波帯コヒーレント放射源を利用して、テラヘルツ波電子線分光の実証実験を行っている。テラヘルツ波電子線分光とは、強力なテラヘルツビームをマルチバンチの電子ビームと逆コンプトン散乱させ、反跳された光ビームを分光することで、入射テラヘルツ光を分光する手法である。この手法の利点は、入射テラヘルツ波としてコヒーレント放射を利用できるため加速器のみで完結でき、入射テラヘルツ波が強力であれば同時刻分光が可能になることである。講演では、コヒーレント遷移放射を利用した予備実験の結果について報告する予定である。

 
WPBDA36 早稲田大学Cs-TeフォトカソードRF電子銃を用いたマルチバンチ電子ビーム生成システムの開発 198
 
  • T. Suzuki, K. Sakaue, J. Yokose, Y. Yokoyama, M. Washio
    早稲田大学理工学研究所
  • J. Urakawa, T. Takatomi, N. Terunuma, H. Hayano
    高エネルギー加速器研究機構
  • S. Kashiwagi
    大阪大学 産業科学研究所
  • R. Kuroda
    産業技術総合研究所
 
 

早稲田大学ではフォトカソードRF電子銃を用いた高品質電子ビームの生成とその応用研究としてパルスラジオリシス実験および逆コンプトン散乱を用いた軟X 線生成実験を行っている。2007年度にこれまで使用されていたCu カソードに代えて高量子効率を持つCs-Te カソードの導入を行い、シングルバンチ運転における高電荷量ビームの長時間安定生成を達成している。現在、マルチバンチ電子ビームの生成にむけ、カソード照射用マルチパルスUVレーザー生成システムの構築を行うとともにバンチ毎のビームパラメータ測定が可能なマルチバンチ電子ビーム診断システムの設計・構築を行っている。また、バンチトレイン内のエネルギー差に関しては、RF振幅変調法によって補正することを予定している。本講演ではCs-TeフォトカソードRF電子銃を用いたマルチバンチ電子ビーム生成システム開発の成果と今後の展望について報告する。

 
WPLSA18 レーザー蓄積装置を用いたレーザーコンプトン散乱X線生成試験及び今後の展望 201
 
  • K. Sakaue, M. Washio
    早稲田大学 理工学研究所
  • S. Araki, M. Fukuda, Y. Higashi, Y. Honda, T. Taniguchi, N. Terunuma, J. Urakawa
    高エネルギー加速器研究機構
  • N. Sasao
    岡山大学
 
 

KEK先端加速器試験施設内に設置されている小型電子加速器では大強度マルチバンチの電子ビーム加速及びこれを用いたレーザーコンプトン散乱X線生成試験を行っている。 これまでにレーザー蓄積装置内に蓄積した1064nmのレーザーパルスと40MeV程度の電子ビームとの相互作用によりX線生成を確認し、生成X線強度・X線エネルギー・X線の時間構造など様々な計測を行い、ほぼ予想値と一致する結果が得られている。 今後、加速器・レーザー蓄積装置の両方をアップグレードすることによって実用に堪えうる強度のX線源の実現を目指すとともに、5MeVの電子ビームを用いることによって軟X線領域のエネルギーのX線生成も計画している。 本講演ではこれまでのX線生成試験の結果、今後の展望としてレーザー蓄積装置のアップグレード計画及びX線源計画について報告する。

 
WPCEA02 XFEL建屋の変位計測 204
 
  • H. Kimura, S. Matsui, N. Azumi, T. Otsuka, S. Itakura, K. Ohshima, N. Kumagai
    理化学研究所 播磨研究所 XFEL
 
 

(独)理化学研究所は2010年度の完成を目指し、(財)高輝度光科学研究センターと協力してX線自由電子レーザー(XFEL)施設の建設を行っている。施設建屋(加速器棟・光源棟)は2009年3月末に完成し、現在加速器の据え付けが始まっている。 完成直後の建屋の変位は小さくなく、それらはコンクリート躯体・杭の乾燥収縮、躯体の温度変化、地盤の変位などによっておきる。特にXFEL機器を設置する収納部床面の安定性は加速器の性能の一つとして重要である。我々建設チームと据付・アライメントチームは、建屋建設の期間から収納部床部の水準測量を行い、又4月からは建屋の長手方向の変位や建屋の曲がりの計測を行い、建屋の変位に関するデータをとり続けている。  本発表では、得られたデータを元に今後の変位を考察する。又、加速器据付基準線決定の考え方についても議論する。

 
WPCEA04 IFMIF/EVEDA開発試験棟の工事進捗状況 207
 
  • T. Kubo, S. Maebara, S. O’hira, H. Takahashi, K. Yonemoto, T. Kojima, T. Kikuchi, H. Sakaki, H. Kimura, K. Okumura, K. Shinto, M. Sugimoto
    日本原子力研究開発機構 核融合研究開発部門
  • C. Vermare, P. Garin
    IFMIF/EVEDA事業チーム
 
 

国際核融合材料照射施設(IFMIF)に関する工学実証及び工学設計活動(EVEDA)における原型加速器の実証施設であるIFMIF/EVEDA開発試験棟の工事進捗状況について報告する。IFMIF/EVEDA開発試験棟は、日欧国際協力である幅広いアプローチ活動(BA)の一環として、平成19年度に詳細設計を行い、同3月から青森県六ヶ所村にある国際核融合エネルギー研究センター敷地内で建設工事を行っている。平成20年度中には地下躯体の構築が完了し、現在地上部の工事を行っている。本発表では、建物の概要、工程および工事の進捗状況を報告する。

 
WPAPA10 Si結晶面の違いによるパラメトリックX線放射の特性 211
 
  • M. Inagaki, K. Nogami, Y. Hayakawa, K. Hayakawa, T. Tanaka, K. Nakao
    日本大学量子科学研究所
  • I. Sato
    日本大学大学院総合科学研究科
 
 

日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)にあるパラメトリックX線放射(PXR)発生装置は、Si完全結晶を2枚使用したシステムである。第一結晶はターゲット結晶でありX線の放射源として振る舞い、第二結晶はX線に対して反射板の役割を果たしている。LEBRA-PXRシステムで得られるX線ビームは、コヒーレンスが良く、水平方向に一次関数的なエネルギー分散を有しているため、波長分散型X線吸収微細構造(DXAFS)測定や位相コントラストイメージングに応用されている。これまでターゲット結晶はSi(111)結晶を使用し、エネルギー5.0 - 20 keVのX線が供給されてきた。2009年4月からはSi(220)結晶に変更したので、エネルギー6.0 - 33 keVのX線が供給可能である。ターゲット結晶面の違いによって得られるPXRの特性を比較検討し、その結果について報告する。

 
WPCEA03 XFEL交流電源・冷却水設備を建設工事でやってみた 214
 
  • Y. Sekiguchi, M. Narishige, K. Muroyama, K. Ohshima
    理化学研究所
  • M. Kubo, T. Ikeda, H. Hashiguchi, M. Fuse
    日建設計
  • A. Taitouda, M. Kashima
    きんでん
  • M. Sugiyama, H. Ueno
    三機工業
  • H. Oike
    朝日工業社
 
 

一般的に加速器施設の建設においては、建屋建設とマシン据え付けは別に発注される。マシンに電力を供給する交流電源設備やマシン冷却水設備も、マシンに付随する設備としてマシンメーカーに発注されることが多い。今回の建屋建設工事においては、それらを建屋建設工事に含めて日建設計が設計し、建設業者により施工されたが、プロジェクト期間の短縮、安全・確実な施工、合理的な配置計画、コストの縮減など数々のメリットがあることが確認された。

 
WPBTA15 Suppression of Beam Loss at the Bending Magnet of the First Arc in the J-PARC Linac 217
 
  • H. Sako
    日本原子力研究開発機構
  • M. Ikegami
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

The highest beam loss in the J-PARC linac was observed at the first bending magnet of the first arc in the opposite side to H- deflection. H+ peak was measured with a wire scanner monitor at MEBT1 by splitting H+ and H- with steering magnets. H+ is separated from H- beam with a horizontal steering magnet and a bending magnet at MEBT1 then H+ is stopped by the scraper originally for beam chopping. The loss and radiations were reduced significantly while good chopping performance is kept.

 
WPLSA06 Light Source based on Multiturn Circulation Energy Recovery Linac 221
 
  • T. Nakamura
    高輝度光科学研究センター
 
 

Light source performance of a multiturn circulation energy recovery linac is estimated including the degradation of the beam by radiation excitation. The application of the round to flat beam conversion at a injector, which was recently proposed for linear colliders, is discussed for a scheme to reduce the brightness degradation by radiation excitation or coherent radiation.

 
WPAPA06 IFMIF/EVEDAテストセル施設における照射後試験施設の設計検討 224
 
  • T. Kogawara, E. Wakai, T. Kikuchi
    日本原子力研究開発機構
  • K. Nakamura, M. Sugimoto
    IFMIF/EVEDA事業チーム
 
 

 国際核融合材料照射施設(IFMIF)では、核融合原型炉の設計のために必要な材料強度特性などのデータを取得する照射後試験(PIE)施設がある。工学実証・工学設計活動(EVEDA)では、このニーズに適合したPIE施設の概念設計を進め、工学設計まで実施する。  PIE施設では、IFMIFで照射されたリグの検査と解体、微小試験片等の照射後試験、並びに照射された試験片の再装荷の作業を行う。この際、強力な中性子線による高放射化、3HやBe、及びNaK等の取扱に適した機器類の耐放射線性及びメンテナンス性を十分に考慮し、分割した遮蔽能力のある作業室(セル)が要求される。このため、将来的に試験項目が多岐に渡ることを考慮したセルと付属作業室の配置案を作成した。また、解体作業方法、照射リグの再装荷方法、及び試料や機器の移送方法についても最新の情報を基に評価を進めたので、その結果を併せて報告する。

 
WPLSA10 FEL-TUSでのSASE-FELによるTHz波発振の研究 227
 
  • T. Suganuma, T. Hiramatsu
    東京理科大学 理工学研究科
  • M. Yoshida
    高エネルギー加速器研究機構
  • T. Imai
    東京理科大学 総合研究機構 赤外自由電子レーザー研究センター
 
 

本研究ではSASE-FELによるTHz波の発振を目指している。現在東京理科大学にある赤外自由電子レーザー研究センター(FEL-TUS)において遠赤外領域(FIR)の共振器型FELの性能向上を行っている。我々はFIR-FEL性能向上のためDAW型RF電子銃を製作した。DAW型RF電子銃は現在の電子銃に比べ、高密度電子ビームを生成でき、高い増幅率を得られるため、本研究では既存のアンジュレータを用いてのSASE-FELの発振の可能性を検討している。本発表ではこのDAW型RF電子銃の粒子シミュレーション、FIR-FELにおける性能試験の経過について報告するとともに、THz波を発振させるために行ったFEL発振のパラメータの最適化、ビーム輸送のためのオプティクスについて報告する。

 
WPLSA14 電子ビームを用いた可変偏光アンジュレータの不整磁場評価 230
 
  • T. Kaneyasu, Y. Takabayashi, Y. Iwasaki, S. Koda
    九州シンクロトロン光研究センター
 
 

放射光施設SAGA-LSでは2008年冬季のマシン停止期間中に,APPLE-II型可変偏光アンジュレータのリング長直線部へのインストールを完了した.設置に引き続き,アンジュレータ磁場の蓄積ビームへの影響測定を行い,磁極ギャップ・位相変化に起因する軌道の歪み,チューンシフト及びカップリング変化を補償するシステムの構築を進めている.ビーム試験の結果,水平偏光モードではアンジュレータ不整磁場(ダイポール,四極,スキュー四極成分)は,フリップコイルを用いた積分磁場測定の結果と同程度であることがわかり,不整磁場の補償に重大な問題がないことを確認した.現在,他の偏光モードについても不整磁場の解析を進めている.発表では,SAGA-LSに設置したAPPLE-II型アンジュレータの概要,ビーム試験の結果と補償の最適化,磁場測定結果との比較について報告する.

 
WPBDA13 EUV-FELパルスの到達時間の直接測定の試み 233
 
  • S. Matsubara, H. Maesaka, T. Ohshima, S. Inoue, N. Hosoda, K. Tamasaku, T. Togashi, M. Nagasono, A. Higashiya, M. Yabashi, Y. Otake
    理化学研究所 X線自由電子レーザー計画推進本部
 
 

理化学研究所が推し進めるXFEL計画の加速器では、50fs精度のタイミングシステムが必要である。XFELの原理実証用の試験加速器においては、タイミングシステムの時間基準信号と加速器の電子ビームの同期精度が、rmsで50 fs程度であることが確認されている。しかしながら、実際にユーザが使用するEUV-FEL光と時間基準信号との同期性を評価する手法がなく、この手法の確立が急務である。この手法を確立する最初の試みとして、波長60nmのEUVパルスのタイミングを真空用高速PDを用いて直接観測する方法を試験した。大ピーク強度の光を直接観測することで、高いS/Nが期待できる。この試験では、PDによる時間基準信号に対するジッタの測定限界が2.5 ps(rms)であるこが判った。この結果は、先に述べた50fsの測定精度には及ばないが、パルスEUV光のタイミング調整が簡便に行えることを証明するものである。

 
WPLSA15 SAGA-LSにおけるレーザーコンプトンガンマ線生成の準備状況 237
 
  • T. Kaneyasu, Y. Takabayashi, Y. Iwasaki, S. Koda
    九州シンクロトロン光研究センター
 
 

SAGA-LS蓄積リングにおけるビームエネルギーモニターの構築及び将来的なガンマ線利用実験を目的として,レーザーコンプトン散乱(LCS)によるガンマ線生成実験の準備を進めている.本計画では波長10.6 μmのCW CO2レーザーを用いて,1.4 GeV電子ビームとのhead-on collisionにより最大エネルギー3.5 MeVのガンマ線生成を目指す.レーザーは蓄積リング第1セル偏向部の下流ポートから入射長直線部へ導入し,レーザー光と電子ビームの相互作用領域の長さは5 m程度となっている.これまでにレーザー光導入用のミラーチェンバーのリングへの接続を完了し,LCSビームラインBL01としての整備を行ってきた.またガンマ線生成の高効率化を目的として,CO2レーザー単体試験によるビームクオリティ評価を行い,実測に基づいたレーザー光学系のデザインとガンマ線イールド評価を進めている.

 
WPBTA11 Beam simulations in computer-modelled 3D fields for RIKEN AVF cyclotron upgrade 240
 
  • E. Perepelkin, S. Vorozhtsov, A. Vorozhtsov
    Joint Institute for Nuclear Research, Russia
  • S. Watanabe, S. Kubono
    東京大学 Center for Nucler Study
  • A. Goto
    理化学研究所 仁科加速器研究センター
 
 

理研 AVF サイクロトロンの高度化の一環として、ビーム通過効率の向上および加速可能エネルギー範囲の上方への拡大を目指した軌道計算を行ってきた。これらを決定する主要因である中心領域のディー電極配置と中心バンブの磁場分布の最適化を行ったのでそれについて報告する。入射バンチャーの電場、ヨーク内のソレノイドの磁場、入射用インフレクターの電場、等時性磁場(中心バンプの磁場を含む)、加速ディーの電場はすべて3次元電磁場計算プログラム TOSCA で求め、これらの電磁場の中で粒子のトレースを行った。現状の配置に比べて入射効率が上がる解は見つからなかったが、16O7+ イオンの最高エネルギーを 11 MeV/核子から >12 MeV/核子に上げることができた。今年の8月にディー電極の中心領域部分を新たな形状のもので置き換える予定である。

 
WPBDA30 アクセプタンス計測のための位相空間領域制限装置 244
 
  • H. Kashiwagi, N. Miyawaki, S. Okumura, I. Ishibori, S. Kurashima, Y. Yuri, T. Ishizaka, T. Yuyama, K. Yoshida, T. Agematsu, T. Nara, W. Yokota
    日本原子力研究開発機構 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部
 
 

加速器内でのビームロスを低減するためには、加速器のアクセプタンス領域に入射 ビームのエミッタンス領域を整合させる必要がある。原子力機構高崎ではサイクロト ロンに対する入射ビームのこの整合を評価するためのエミッタンス及びアクセプタン ス測定装置の開発を行っている。 アクセプタンス測定の方法は次のとおりである。ある位相空間領域のビームを加速器 に入射し、加速器出射後のビーム強度を検出器で測定する。ビームが透過する領域が アクセプタンスの一部である。様々な位相空間領域について測定を行うことで、アク セプタンス全体が求まる。 本発表ではアクセプタンス測定装置のうちの入射ビームの横方向位相空間領域を制限 する装置について報告する。一対の位置制限スリットと角度制限スリットを用いるこ とで、2次元もしくは4次元位相空間の指定した領域のビームを加速器に入射すること を可能とした。

 
WPBTA01 J-PARC RCS縦方向シミュレーション 247
 
  • M. Yamamoto, M. Nomura, S. Alexander, T. Shimada, H. Suzuki, F. Tamura
    日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター
  • E. Ezura, K. Takata
    高エネルギー加速器研究機構
  • K. Hasegawa, K. Hara, C. Ohmori, A. Takagi, M. Toda, M. Yoshii
    高エネルギー加速器研究機構 J-PARCセンター
  • K. Horino
    日本アドバンストテクノロジー
 
 

J-PARC RCSでは、ビーム供用のための運転を開始した。縦方向ビーム力学については、入射時の空間電荷効果の緩和や取り出し時の各種ユーザー向けのビーム操作などのビームスタディーを行っている。これまで、縦方向ビームの性質については、空間電荷効果やビーム負荷を取り入れたシミュレーションコードを使って計算をしてきており、計算による予測とビームを使った実測の比較を行う。

 
WPBDA02 J-PARC MR BPMの運転経験 250
 
  • T. Toyama, D. Arakawa, Y. Hashimoto, S. Hiramatsu, S. Igarashi, S. Lee, H. Matsumoto, J. Odagiri, K. Satou, J. Takano, M. Tejima, M. Tobiyama, N. Yamamoto
    高エネルギー加速器研究機構
  • K. Hanamura, S. Hatakeyama
    三菱電機システムサービス株式会社
  • N. Hayashi
    日本原子力研究開発機構
 
 

2008, 2009年のビームコミッショニングでのBPMの動作状況を報告する。まず、動作の概要、およびコミッショニング初期の動作不良とその原因をまとめる。そのうち、ビームパイプの段差による電場の歪みで発生したと考えられるオフセット誤差については、原因の考察、応急対策、根本対策について述べる。次に、3BPM相関法による分解能の調査結果を示す。現在はバンチ当りビーム強度が設計値の1%程度で、かつほとんど1バンチ加速であり、信号が小さいため、データ1点(約50μs〜リング周回数にして約10ターン相当)の位置分解能は数100μmである。分解能向上のために平均操作を行なっている。さらにビーム・ベースド・アラインメントの測定状況の速報、今後のビーム強度増強に対応するための課題も含める予定である。

 
WPBDA03 ストリップライン ピックアップの多導体伝送線路モデル 253
 
  • T. Toyama
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

教科書で扱われているストリップライン ピックアップのモデルでは、ビームの発生する電場、磁場とストリップラインとの関係が明解ではない。さらに複数のストリップライン相互の電磁気的結合は取り扱えない。ここでは、複雑な3D数値計算に持ち込まず、2D電磁場計算によりこれらを解決できる見通しの良いモデルを提案する。ストリップライン ピックアップが、2D問題で近似できる電極部分と、3D効果が無視できる端末部分とから構成されるとする。これは多導体伝送線路により記述でき、自己、および相互のインダクタンス、キャパシタンス、ビーム軸方向の電極長、終端のインピーダンスで特徴づけられる。従来の単純なモデル、本モデル、3Dシミュレーションによる計算結果の比較も示す。

 
蓄積リングNIJI-IVにおけるFEL逆コンプトン散乱の研究  
 
  • H. Ogawa, N. Sei, K. Yamada
    産業技術総合研究所 計測フロンティア研究部門
 
 

産総研では小型電子蓄積リングNIJI-IVによる広帯域FELの開発を行っている。最近、NIJI-IVの長直線部に設置されている光クライストロンETLOK-IIIを用いて近赤外領域のFEL発振に成功した。そこで、この光共振器内部に蓄積された赤外FELとリングを周回する電子ビームとの逆コンプトン散乱によりγ線ビーム生成を行った。FEL逆コンプトン散乱実験の概要およびγ線のビーム特性について報告する。

 
WPBDA37 高輝度電子ビームの縦方向および時間分解横方向位相空間分布測定 256
 
  • R. Kato, S. Kashiwagi, Y. Morio, K. Furuhashi, Y. Terasawa, N. Sugimoto, G. Isoyama
    大阪大学 産業科学研究所
 
 

我々はエアロジェルを用いたチェレンコフモニターと偏向電磁石、ストリークカメラを組み合わせることで電子ビームの縦方向位相空間分布測定システムを開発し、阪大産研Lバンドライナックで加速された高輝度電子ビームの位相空間分布の再構成を行った。このシステムは偏向電磁石を4極電磁石に置き換えQスキャン法を用いることで、時間分解された横方向位相空間分布を評価することが可能となる。本学会では、この手法を用いたスライスエミッタンス測定装置の概要について報告する。

 
WPBDA32 Micron Size Laser-Wire System at the ATF Extraction Line, Recent Results and ATF-II Upgrade. 259
 
  • A. Aryshev, H. Hayano, N. Terunuma, J. Urakawa
    高エネルギー加速器研究機構
  • G. Blair, S. Boogert, G. Boorman, A. Bosco, L. Deacon, P. Karataev
    John Adams Institute at Royal Holloway, University of London
  • D. Howell, L. Nevay, L. Corner, N. Delerue, B. Foster, F. Gannaway, M. Newman, R. Senanayake, R. Walczak
    John Adams Institute at Oxford
 
 

The KEK Accelerator Test Facility (ATF) extraction line laser-wire system has been upgraded, enabling the measurement of micron scale transverse size electron beams. The most recent measurements using the upgraded system are presented, including the major hardware upgrades to the laser transport, the laser beam diagnostics line, and the mechanical control systems.

 
WPBDA33 新竹モニタによるビームサイズ測定:多層構造γ線検出器を用 いたバックグラウンド分離 262
 
  • Y. Yamaguchi, T. Yamanaka, M. Oroku, S. Komamiya
    東京大学大学院理学系研究科物理学専攻
  • Y. Kamiya, T. Suehara
    東京大学素粒子物理国際研究センター
  • T. Tauchi, N. Terunuma, T. Okugi, S. Araki, Y. Honda, T. Kume, J. Urakawa
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

国際リニアコライダーの最終収束系試験加速器であるAccelerator Test Facility2(ATF2)は電子ビームを垂直方向37nmまで収束するよう設計されており、nmオーダーまで測定感度をもつビームサイズモニターの開発が必要とされている。レーザー干渉稿を用いたビームサイズモニター(新竹モニター)はこの要求を満たすものであり、2008年夏にATF2の仮想衝突点にインストールされた。新竹モニターに使用されるコンプトンγ線検出器は多層構造のシンチレーターで構成され、シャワー発展の情報を取得できる。シャワー発展はコンプトンシグナルとバックグラウンドで異なるため、ここから両者を分離できる。この手法により当検出器はバックグラウンドのばらつきに強いという特性を獲得している。本学会ではこの分離の手法の詳細と、2009年春のビームタイムで検証された当測定器の分離能について報告する。

 
WPBDA34 新竹モニタによるATF2 衝突点ビームサイズ測定の現状 265
 
  • M. Oroku, T. Yamanaka, Y. Yamaguchi, S. Komamiya
    東京大学大学院理学系研究科
  • Y. Kamiya, T. Suehara
    素粒子物理国際研究センター
  • T. Tauchi, N. Terunuma, T. Okugi, S. Araki, Y. Honda, T. Kume, J. Urakawa
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

発表者が所属する東京大学大学院理学系研究科駒宮研究室では、新竹モニターと呼ばれる電子ビームサイズモニターの開発研究をおこなっている。新竹モニターの特徴は、レーザーの干渉縞を使ってナノメートルオーダーのビームサイズまで測定可能なことであり、ILC計画の最終収束系試験加速器であるATF2に設置され、ATF2 の垂直方向ビームサイズ37nm を測定する予定である。現状としては2008 年夏にATF2 の仮想衝突点にインストールされ、2009年春のビームテストでは干渉縞を作るレーザーの片方を用いて水平方向の電子ビームサイズを測定することに成功した。また、レーザーと電子ビームを衝突させるための方法を確立し、多層構造γ線検出器によるシグナルのバックグラウンドからの分離能を検証した。本学会では、新竹モニターの概要とビームテストで得られた成果、2009年秋からのビームテストの予定を報告する。

 
WPBDA39 フェムト秒リアルタイム電子バンチ形状モニタ用のプローブレーザー開発 268
 
  • A. Maekawa, M. Uesaka
    東京大学工学系研究科原子力専攻
  • H. Tomizawa
    高輝度光科学研究センター
  • S. Matsubara
    理化学研究所
 
 

XFELにおいて30fs(FWHM)の極短電子バンチの計測を行うため、電気光学効果を用いた非破壊・リアルタイム・シングルショットのフェムト秒3次元(縦・横方向)バンチ形状モニタを開発している。横方向分布計測に必要となるラジアル偏光円環レーザー生成の基礎実験は完了し、現在は高時間分解能を達成する上で必須となる白色(>400nm)レーザーパルスの生成を行っている。フォトニック結晶ファイバを用いて生成しNOPAによって増幅した白色光のスペクトルをDAZZLERで補正することで、線形チャープ・矩形スペクトルをもつプローブレーザーをEO結晶へと輸送する。更に、高速の時間応答性を持つ有機EO結晶のオフラインでの評価試験も進めている。その他、バンチ形状モニタの要素技術開発の現状についても報告する。

 
WPAPA03 J-PARC ハドロンビームライン真空窓の開発 272
 
  • Y. Yamanoi, K. Agari, H. Watanabe, M. Ieiri, Y. Katoh, A. Kiyomichi, Y. Sato, S. Sawada, Y. Suzuki, M. Takasaki, H. Takahashi, K. Tanaka, A. Toyoda, M. Naruki, E. Hirose, M. Minakawa, R. Muto
    高エネルギー加速器研究機構
  • T. Nakamura
    MIRAPRO
 
 

J-PARC ハドロンビームラインの二次粒子生成ターゲットは、直接水冷の回転円盤方式(フルビーム750kW時)を採用した。そのため、ターゲット前後ではビーム輸送のための真空が一旦大気圧に戻る必要がある。真空ビームパイプの端面となるこのビーム窓の製作には、ターゲットと同じビームによる熱負荷、冷却水による腐食、さらに交換機能などを考慮した設計が必要となる。 本発表では、この設計方法と実機製作を行った結果を報告する。

 
WPBDA17 Measurement of beam loss distribution in the SPring-8 storage ring 275
 
  • Y. Shimosaki, K. Kobayashi, M. Oishi, M. Shoji, K. Soutome
    高輝度光科学研究センター
 
 

One of the major concerns in the SPring-8 storage ring is an irradiation-induced damage due to beam loss. In order to manifest a mechanism of a beam loss and to handle it, a beam loss monitoring system for beam diagnostics has been developed. By using the system, beam loss distributions in time, space and tune diagram were measured. The system and experimental results will be reported.

 
WPCEA06 コンパクトERL建設に向けた東カウンターホール改修の現状 278
 
  • S. Sakanaka, K. Haga, S. Nagahashi
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

KEK東カウンターホールは床面積約100m×50mの実験ホールで、陽子ビームや2次ビームを用いたカウンター実験のために長年使用されて来た。物理実験のアクティビティがJ-PARCに移行することに伴い、このホールを先端加速器の開発拠点として再利用することになり、そのための改修の予算が認められた。改修後はコンパクトERLがホール内に建設される予定である。現在、素粒子原子核研究所の全面的な協力の下で、放射線シールドの撤去作業が急ピッチで進められている。今後、耐震補強や床、天井、側室の建屋改修工事、冷却水設備の更新、変電設備の更新が行われる予定で、その設計が進められている。東カウンターホール改修の現状について報告する。

 
WPBDA22 KEK-ATF ダンピングリングにおける Laser-Wire システムによる Beam Size 及び Emittance 測定とその改良 281
 
  • H. Shimizu, S. Araki, Y. Honda, N. Terunuma, J. Urakawa
    高エネルギー加速器研究機構
  • K. Sakaue
    早稲田大学
 
 

夏季運転停止前までの運転において、エミッタンスチューニングとレーザーワイヤー による測定を繰り返し行った結果として、安定して10pm 以下のエミッタンスが達成 されている事を確認した。しかしシステムの抱える課題として、分解能の向上と計測 時間の短縮化が挙げられる。分解能向上に関しては、以前から提唱されており且つ 測定実績のある干渉モードでの測定への移行を予定している。干渉モード測定では 基本モードでの測定に比して、共振器内部に蓄積されるレーザー強度が6割程度以下 に減少するため、それに伴う信号量の低下を引き起こす。この問題と計測時間の短縮化 を同時に克服する手段として、現在ファイバーアンプシステムを使った改良を計画中である。 今回はこの改良作業に関しての報告を行う。

 
WPBTA05 Burst Coherent Radiation at the SPring-8 Storage Ring 284
 
  • T. Nakamura, S. Takano, K. Tamura, M. Masaki, A. Mochihashi
    高輝度光科学研究センター
 
 

At the SPring-8 storage ring, the burst density modulation by microwave instability was expected by the PIC simulation with estimated wake, and the measured longitudinal bunch shape and the energy spread. Such density modulation should produce the coherent radiation and the burst edge coherent radiation was surveyed at the accelerator diagnostics beam line II (BL05SS).

 
WPAPA05 医療用シンクロトロン向けビーム出射制御システムの開発 287
 
  • H. Nishiuchi, K. Saito, M. Tadokoro, F. Ebina, T. Aoki
    日立製作所
  • T. Sakae, T. Terunuma
    筑波大学陽子線医学利用研究センター
 
 

粒子線治療の普及に伴い、患者毎の治療補助具が不要なスキャニング照射法の開発や散乱体照射法の高線量率化が求められている。これらの照射法に適用可能なビーム出射制御システムを開発した。まず、スキャニング照射法に好適なビームを供給するため、出射ビーム強度フィードバック制御技術を開発した。また、散乱体照射法での高線量率化を実現するため、蓄積ビームの利用効率を向上しかつ、出射ビームを安定に出力する制御技術(Dynamic Spill-gain Control, DSC)を開発した。二つの制御技術を適用したビーム出射制御システムを開発し、筑波大学陽子線医学利用研究センターでビーム試験を実施した。その結果、フィードバック制御により目標電流に対する時間平均出射電流の偏差±5%以内を達成し、DSCにより蓄積ビーム強度の変動±15%に対応した目標ビーム波形の強度補正によりビーム利用効率85%以上を達成した。

 
クラシカルマイクロトロンの産業利用  
 
  • D. Hasegawa, H. Yamada
    株式会社光子発生技術研究所
 
 

マイクロトロンは一様な磁場中で電子を周回し加速する装置である。加速空洞に電子銃を内蔵しているのが特長で、1~20MeVでエネルギー分散は 1% 以下、ピーク電流は100mA以上と高輝度である。集束磁石でサブミリの焦点サイズが達成できる。用途は、みらくるの入射器、サブミリの解像度での重構造物X線非破壊検査、小型高輝度の電子銃、滅菌・殺菌向け電子線照射装置がある。 産業・医療の分野でライナックが広く用いられてきたが、近年は焦点サイズ1 mm以下が要求され、エネルギー分散が 10% 以上になるライナックでは限界である。またエネルギー増加と共に装置が長くなるため、円軌道で加速するマイクロトロンの方が高輝度・小型で優位性がある。 加速器に対する産業界のニーズは小型だけでなく高品質へと移っている。我々の供するマイクロトロンはこのニーズに充分応えられる性能を持っており様々な分野への展開が期待される。

 
WPBDA04 J-PARC・MR IPMシステムの現状 292
 
  • K. Satou, T. Toyama, Y. Hashimoto, M. Tejima
    高エネルギー加速器研究機構 J-PARCセンター
  • H. Harada
    日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター
 
 

J-PARC・MRリングの非破壊型プロファイルモニタとして残留ガスプロファイルモニタ(IPM)の開発を行っており、昨年より一部運用を開始している。本IPMシステムの特徴は100ショット程度の平均化処理を行い、各種ノイズ成分を減ずることにより、ターン毎のビームプロファイルを測定することである。この特徴は、入射からターン毎のビーム重心およびビーム幅の変化を観測することにより、入射エラーをチェックすることに有益である。本発表では本年度に新規インストールしたIPM2号機の改良点ついて報告する。

 
WPBDA05 J-PARC・MR BLMシステムの現状 295
 
  • K. Satou, T. Toyama, Y. Hashimoto, M. Tejima, S. Lee
    高エネルギー加速器研究機構 J-PARCセンター
  • K. Yamamoto
    日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター
 
 

J-PARCでは同軸ケーブルを利用した空気イオンチャンバーAIC、シンチレータと光電子増幅管を利用したS-BLM、ガス充填した同軸比例計数管のP-BLMがビームロスモニタ(BLM)として採用されている。MRではこのうちAICとP-BLMを採用しており、主にP-BLMを使用している。BLMはビームロスにより発生する2次粒子を測定するため、ロス粒子数とBLM観測量との間の“おおよその”対応関係を知っておく必要がある。MRでは人為的にビームロスを起こさせ対応関係を調査している。また、P-BLMには信号増幅作用があるため、イオンチャンバーと比べると高いSN比が得られるという利点がある一方、高カウントレート、高増幅時のゲイン低下現象が付きまとう。本発表ではMRのBLMのシステムとともに、ゲイン低下による影響について議論する。

 
WPBDA06 Wire scanner モニターを用いたJ-PARC MEBTチョッパーの調整 298
 
  • S. Sato, A. Miura, A. Ueno, H. Sako, T. Morishita, H. Yoshikawa, K. Hasegawa, T. Kobayashi
    日本原子力研究開発機構
  • Z. Igarashi, M. Ikegami
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

J-PARCでは、数百マイクロ秒の幅を持ったマクロパルスを、MEBTにおいて1MHz程度のRFチョッパーを用いることにより、中間バンチ構造を形成させて、下流のDTL加速空洞に入射する。ビームの蹴り残しは、チョッパーより下流に設置されたワイヤースキャナーからの信号を、直後におかれたプリアンプで増幅することにより、測定した。その結果を報告する。ビームの蹴り残しは、チョップされていないビームとの比を取る事によって測定され、測定器の検出限界である0.1%程度以下であった。

 
WPBTA02 ステアリング電磁石を用いたJ-PARC MRのβ関数測定 301
 
  • J. Takano, T. Koseki, K. Niki, T. Toyama, S. Yamada
    高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設
  • S. Hatakeyama
    三菱電機システムサービス株式会社
 
 

 J-PARC Main Ring(MR)には186台の水平および垂直方向のBPMがあり、各BPMの位置にステアリング電磁石が水平方向に93台、垂直方向に92台設置されている。これらの機器を用いてMRのβ関数を測定した。 測定方法として当初は1ヶ所のBPMに対しプラスキック、マイナスキックおよびキック無しの3ショットのビームを必要としていた。また、ステアリング設定の時間も考慮すると1ヶ所のβ関数測定に対し約10分の時間が必要であった。この方法ではリング一周のβ関数を測定するためには555ショット、時間にして92.5時間必要となる。  そこで今回新たに1ショットで32ヵ所のβ関数を測定できるプログラムを開発した。これによって12ショット、時間にして1時間で全周のβ関数を測定することが可能となった。以上のプログラムの改良点およびβ関数の測定結果について発表する。

 
WPBTA03 J-PARC MRのDispersion測定 304
 
  • J. Takano, T. Koseki
    高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設
  • H. Harada
    日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター
 
 

 J-PARC Main Ring(MR)はそれぞれ3つの直線部とアーク部で構成されている。このうち直線部ではDispersionがゼロになるように設計されている。しかしながら、これまでのOptics計算では四極電磁石の磁極長を用いていたため、この計算結果をそのまま実際の電磁石に設定しDispersionの測定を行うとMR直線部のDispersionが残っていることが観測された。 この問題を解決するため、四極電磁石の全磁場測定結果から磁場の有効長の平均を求め、Optics計算に用いているLatticeを更新し、改めて直線部のDispersionをゼロにするような四極電磁石のK値を求めた。  この新しいK値を電磁石に設定し、Dispersionの測定を行ったところ、直線部のDispersionはゼロに近づいた。以上の計算および測定の結果および考察について報告する。

 
WPBTA04 Beam Injection and Fast Extraction Tuning of J-PARC MR 307
 
  • G. Wei, T. Koseki, S. Igarashi, M. Tomizawa, K. Ishii, A. Ando, M. Uota, M. Shirakata, J. Takano, K. Satou, Y. Hashimoto, K. Fan, N. Hatakeyama, N. Kamikubota, T. Nakadaira
    高エネルギー加速器研究機構
  • H. Harada, P. Saha
    日本原子力研究開発機構
  • J. Tang
    Institute of High Energy Physics, China
 
 

The beam commissioning of J-PARC MR has been started from May 2008 and is in progress. As usual, injection is in the very first stage and strongly related to other parts of MR commissioning including the extractions, fast extraction to neutrino beam line, where extracted beams finally reflect the overall commissioning result. The tuning of MR injection and fast extraction will be described here.

 
WPBDA11 Current Transformerの極短バンチ応答試験 310
 
  • T. Watanabe, S. Sasaki, T. Fujita, H. Yonehara, H. Ohkuma
    高輝度光科学研究センター
  • A. Sakumi, T. Ueda, K. Miyoshi, K. Kambe, M. Uesaka
    東京大学大学院工学系研究科
 
 

非破壊電流値測定器として広く用いられているCurrent Transformer(CT)は、原理的にはバンチ長に依存しないことが予想されるが、フェムト秒オーダーの電子バンチを発生させるプラズマ加速などの分野において、その信頼性を証明するための実証試験が行われ、是非の議論が行われている。我々JASRI/SPring-8においても、将来発生・利用が予想されるフェムト秒電子バンチに対するCTの応答を実験的に調べ、Evidenceを得たいと考えている。そこで、フェムト秒からピコ秒領域の電子バンチ発生および測定が可能な東京大学ライナック(東海村)を利用し、その実証実験を行った。 本発表ではその結果を示し、極短電子バンチに対するCTの有用性・信頼性について議論する。

 
WPBDA12 X線自由電子レーザー計画におけるビームモニターシステム制御装置 313
 
  • S. Inoue, H. Maesaka, S. Matsubara, Y. Otake
    理化学研究所
  • K. Yanagida, H. Ego, A. Yamashita
    高輝度光科学研究センター
 
 

X線自由電子レーザー計画のビームモニターシステムの制御装置について報告する。本装置は,RF-BPMとCTの電子回路装置,スクリーンモニター(SCM)のスクリーンの駆動,SCMのズーム・フォーカスやコリメータのステッピングモータを制御対象とする。これらの多数で複雑な機器を制御するために,複雑な命令を容易に実現できるPLCベースにて構成した。上位計算機とは,FL-netを用いて通信を行う。RF-BPMとCTの電子回路装置,モータコントローラとは,耐ノイズ性に優れたDeviceNetを用いて通信を行う。モータコントローラについては,DeviceNetで通信する絶対値エンコーダによる位置検出・多種の原点復帰方法などの高い機能を備えたものを新しく開発した。スクリーンの駆動などについては,多芯ケーブルを用いる。SCSS試験加速器でこの制御装置の評価試験を行い,安定に動作することを確認した。

 
WPCEA07 J-PARCおける測量とアライメントの現状 317
 
  • N. Tani, T. Morishita, S. Meigo, M. Harada, S. Harjo
    日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター
  • M. Shirakata, M. Yoshioka, T. Ishii, Y. Fujii, S. Torii
    高エネルギー加速器研究機構 J-PARCセンター
 
 

日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構が共同で建設を進めてきた大強度陽子加速器施設(J-PARC)は第1期計画の建設が完了し、物質生命科学実験施設、ハドロン実験施設、ニュートリノ実験施設が稼動し始めた。  J-PARCは海岸線に建設された施設であるため、建設当初から不等沈下が懸念された。各加速器施設では機器の据付後も測量作業を行うために観測網が整備され、定期的に測量が実施されている。また、物質生命科学実験施設では中性子ビームラインの増設が現在も計画されており、アライメントの手法が検討されている。ここではJ-PARCにおける各施設の測量とアライメントの現状として昨年度の活動内容と今後の取り組みについて報告する。

 
WPBDA26 2次元流体モデルによる比例計数管内電離ガスの数値解析 320
 
  • K. Katagiri, T. Furukawa, E. Takeshita, K. Noda
    放射線医学総合研究所
 
 

放医研では,スキャニング照射システムのビームプロファイルモニタとして,MWPC (Multiwire Propotional Counter)の利用を検討している.MWPCでは,高レートの入射粒子に対して,出力信号の低下(ゲインリダクション)が発生する.このゲインリダクションの改善のために,数値計算によるパラメータ(陽極径,電極間距離,ガス圧力)の最適化を行っている.まず,単純な同軸型比例計数管に2次元流体モデルを適用し,増幅ガス内部の陽イオンと電子の空間分布,及び電場の時間変化を解析した.これらの結果から,ゲインリダクションの原因となる空間電荷効果の時間変化について議論する.

 
WPBDA14 cERL用アークディテクターの開発 323
 
  • Y. Yano, D. Arakawa, H. Katagiri, T. Matsumoto, T. Miura, S. Michizono, S. Fukuda
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

高エネルギー加速器研究機構の次期計画の一つであるERL放射光源の実現に向けた要素技術開発と総合的な動作試験を行うための小型ERL装置(cERL)が建設中である。ハイパワー高周波系では伝送路で起きた放電を感知しRFを緊急停止するためにアークディテクターが必要となる。STFでは直径約50μmの光ファイバーと光電子増倍管を組込んだ光センサーモジュール(H5784)を利用したアークディテクターを使用している。H5784は高感度のアンプを内蔵したモジュールのため検出パルス幅は50μsec以上が必要である。cERLではアーク発生後数μsec以内にRFを停止することが求められている。より高速に反応するアークディテクタを開発するためにH6780(アンプ非内蔵)を用いたアークディテクタを検討した。また、光ファイバーの見直しを行いセンサーにフォトダイオードを用いたアークディテクタを開発した。

 
WPLSA07 cERL入射器テストビームラインでのビームダイナミクス 326
 
  • T. Miyajima, Y. Honda, M. Yamamoto, T. Muto, T. Uchiyama, K. Satoh, S. Matsuba, S. Nozawa, M. Tobiyama, T. Mitsuhashi, R. Takai, T. Takahashi, T. Ozaki, A. Ueda, S. Nagahashi, M. Shimada, K. Haga, T. Honda, S. Sakanaka, Y. Kobayashi
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

KEK, JAEA を中心とした大学・研究機関によって、エネルギー回収型リニアック(ERL)の実証機としてcompact ERL(cERL)計画が進められている。ERL実証機建設に先立ち、cERL用のフォトカソード DC 電子銃システム、および入射器ビームラインをテストするための施設として、KEKのAR南棟実験室において、cERL入射器テストビームラインの建設が開始されている。このビームラインは、フォトカソード DC 電子銃、ソレノイド電磁石、バンチャー空洞、ビーム診断ライン、そしてビームダンプから構成される。機器の配置は、周回部にある主加速空洞に繋がる合流部下流において、エミッタンスおよびバンチ長の両方が最小になるように最適化されている。本発表では、入射器テストビームラインでのビームダイナミクスについて報告する。

 
WPBDA18 SPring-8 加速器診断ビームラインにおけるX線ストリークカメラの特性評価 329
 
  • A. Mochihashi, M. Masaki, H. Ohkuma, Y. Shimosaki, K. Soutome, S. Takano, M. Takao, K. Tamura
    高輝度光科学研究センター
  • Y. Tanaka
    理化学研究所
 
 

ナノ秒~ピコ秒X線パルス光のパルス長の直接観測の手段として、X線ストリークカメラ(以下X-SC)による方法が挙げられる。X-SCの光電面における(光子→光電子)変換過程は、光子エネルギーがkeV領域と高いため、可視光ストリークカメラでの変換過程よりも複雑であり、そのためX-SCの時間分解能や検出効率の光子エネルギー依存性などの基本特性は十分には理解されているとは言えない。SPring-8加速器診断ビームラインにおいて進めている、X-SCの時間分解能の光子エネルギー依存の評価実験等の現状について報告する。また、SPring-8ではmomentum compaction factorの制御やhead-tail motionにより鉛直方向にバンチを傾斜させることによる短パルスX線発生が進行中であり、X-SCを用いた短パルスX線のパルス長の評価についても報告する。

 
WPBDA27 高速準非破壊スクリーンビームモニタシステムの開発 332
 
  • N. Saotome, T. Kohno
    東京工業大学
  • T. Furukawa, Y. Iwata, T. Shirai, T. Inaniwa, S. Sato, A. Nagano, E. Takeshita, K. Noda
    放射線医学総合研究所
  • T. Kanai
    群馬大学
 
 

現在、放医研ではHIMACからビームラインを延長して、スキャニング照射法を用いる照射ポートを備える、新治療棟の建設を行っている。新高エネルギービーム輸送系(HEBT)では、(1)高分解能の測定が行える、(2)既存のマルチワイヤ型ビームプロファイルモニタ(MWPC)に比べて低コストで作成できるというメリットのために、スクリーンビームプロファイルモニタ(SCN)が採用される予定である。SCNを用いることで、高速にビーム位置及び、サイズを測定することができる。さらに、SCNを通過するビームに対してあまり影響を与えないことから、準非破壊モニタとして使用することができる。ここでは、SCNの試作機を製作し、ビーム試験を行った結果を報告する。

 
WPLSA11 東北大学におけるコヒーレントTHz放射生成のための光源加速器の開発 335
 
  • F. Hinode, M. Kawai, K. Nanbu, F. Miyahara, Y. Shibasaki, S. Takahashi, I. Nagasawa, H. Hama
    東北大学 原子核理学研究施設
 
 

現在、東北大学 核理研において、THz領域の高強度コヒーレント放射の生成を目指して、 100 フェムト秒以下の超短パルス電子ビームを実現すべく50 MeV試験加速器の建設準備を進めている。短パルス電子ビームは、アイソクロナスリングにおいて広帯域コヒーレントTHz放射の生成に利用される他、低エネルギーモード(Eb < 20 MeV)ではアンジュレータからの狭帯域コヒーレントTHz放射の生成や更にはプリバンチFELへの利用も計画されている。THz用アンジュレータは周期長100mmのHalbachタイプとし、波長300ミクロン前後の光の生成を目標として設計を進めている。アンジュレータの設計や放射の特性について、報告する予定である。

 
WPBTA06 HiSOR-IIブースターリングとパルス6極電磁石を用いた入射の検討 338
 
  • A. Miyamoto, K. Goto, S. Sasaki
    広島大学放射光科学研究センター
  • H. Tsutsui
    住友重機械工業株式会社
 
 

 広島大学放射光センターの将来計画HiSOR-IIでは、蓄積リング・ブースターリングともに周長約40mの非常に小型のシンクロトロンとなっている。リングへのビーム入射には通常バンプ電磁石を用いてバンプを形成するが、このような小型リングでは電磁石の設置スペースの確保や、バンプ軌道の制御など難しくなってくる。そこで、パルス6極電磁石を用いてビームを入射する方法が検討されている。  この方法ではバンプ電磁石を用いることなく、入射されるビームのみに6極電磁石でキックを与える一方、周回するビームはほぼ6極電磁石のほぼ中央を通るので大きな影響がないことが特徴である。ただし、チューンやリングのパラメータに大きく依存する入射方法なので、それらの問題点についても述べる。

 
WPLSA19 周回発振型光蓄積装置によるレーザーコンプトン光源用レーザー標的の提案 341
 
  • Y. Honda, H. Shimizu, J. Urakawa, T. Omori
    高エネルギー加速器研究機構
  • K. Sakaue
    早稲田大学
  • N. Sasao
    岡山大学
 
 

レーザーコンプトン方式による光源の開発が行われているが、平均輝度においては課題が多い。加速器を連続運転すると同時に、レーザーについても高強度で準連続なビームを実現出来れば、平均輝度を稼ぐことが出来る。光共振器を用いて市販のレーザー光源からの光を蓄積し高強度レーザーを得る方式が開発されてきたが、高増大率化に従って共鳴幅が狭くなるため、制御の安定性において技術的な限界に達しつつある。光共振器をレーザー増幅器と組み合わせて自己発振状態にすることでこの技術的課題が解決し、高増大率の光蓄積を安定に実現できることを示す。

 
WPLSA12 高温超伝導バルク磁石を用いたスタガードアレイアンジュレータにおけるアンジュレータ磁場振幅のばらつきの検討 344
 
  • R. Kinjo, T. Kii, M. Bakr Arby, K. Higashimura, K. Yoshida, S. Ueda, T. Sonobe, K. Masuda, K. Nagasaki, H. Ohgaki
    京都大学エネルギー理工学研究所
  • H. Zen
    自然科学研究機構 分子科学研究所 極端紫外光研究施設
 
 

京都大学エネルギー理工学研究所では、アンジュレータの強磁場・短周期化を めざして高温超伝導バルク磁石を用いた新型アンジュレータの開発を行っている。 実験において、高温超伝導バルク磁石に着磁する磁場を強くすると、 アンジュレータ磁場振幅のばらつきが大きくなる現象がみられた。 この原因として、着磁磁場が弱い条件では、磁石個々の臨界電流密度のばらつきは 電流の流れる領域が大小することによって吸収され全ての磁石は同じ強さとみな せるのに対し、着磁磁場が強い条件では、電流は磁石全体に流れ磁石の強さは臨界電流密度に比 例するようになる、という事が考えられる。 この問題の解決策を検討するため、ビーンモデルに基づく計算モデルに磁石個々 の臨界電流密度を取り入れた計算を行った。 アンジュレータ磁場振幅のばらつきの、磁石個々の臨界電流密度のばらつき及び 着磁磁場の強さへの依存性を調べ、許容範囲の検討を行った。

 
WPBDA07 カーボングラファイトリボンを用いた2次電子放出型ビームプロファイルモニター 347
 
  • Y. Hashimoto, S. Muto, T. Toyama, D. Arakawa, M. Uota, Y. Saito, M. Shirakata, Y. Hori, J. Odagiri, Y. Yamanoi
    高エネルギー加速器研究機構
  • D. Ohsawa
    京都大学
  • S. Ohya
    宇部興産
  • T. Morimoto
    森本技研
  • M. Mitani
    Minotos Engineering
 
 

2次電子放出ターゲットに,1.6 μm 厚の高い耐熱性をもつカーボングラファイトリボンを用いたビームプロファイルモニターを開発した.このモニターは,J-PARC 3-50 BT及びMR入射点にインストールされ,MRへのシングルパスの3GeV 陽子ビームのバンチ毎のビームプロファイルを検出する.バンチあたり4e13 陽子であるため(デザイン値),高い耐熱性が要求されると同時に,ターゲット物質でのビームロスを極力低減しなければならない.また,ビームテールの部分を感度良く計測したい.このような理由から,ターゲットに,グラファイト化したカーボン(Z=6)をリボン化して用いた. 標準的なターゲットは,リボン(サイズ:幅2または3 mm×長さ200 mm)をアルミナフレームに32 ch並べたものである. 本報告では,カーボングラファイトターゲットの基本特性とビーム計測結果を報告する.

 
WPBDA38 X-bandライナックを用いた手荷物検査用準2色X線シンチレータアレイの基本設計 350
 
  • K. Lee, T. Natsui, E. Hashimoto, A. Mori, S. Hirai, M. Uesaka
    東京大学工学系研究科原子力国際専攻
  • H. Nakata, M. Naitou, N. Kamagami
    IHI 検査計測
 
 

現在,東京大学原子力専攻では日本原子力研究開発機構等と共同で950keVXバンドライナック準2色X線源による物質評価システムを開発している。この装置は核物質を含めて違法性の高い重元素物質を検出しようとする世界各国の要求に応じた物である。高エネルギーX線が得られるコンパクトなX-bandライナックと二つの透過率の画像が得られる準2色X線シンチレータアレイを用いて小型で迅速に検査できる装置の開発を目指している。本研究では特にディテクター側である準2色X線シンチレータアレイの基本設計とそれに従うシミュレーション結果を発表する。

 
WPCEA08 KEK-ATFにおける最終収束系試験用電磁石のアライメント 353
 
  • S. Araki, M. Masuzawa, R. Sugahara, N. Terunuma, J. Urakawa
    高エネルギー加速器研究機構
  • M. Takano
    (有)さうび
  • S. Nozaki
    (株) エスケーサービス
  • C. Spencer
    SLAC National Accelerator Laboratory
  • A. Jeremie
    LAPP, IN2P3-CNRS
 
 

KEKの先端加速器試験装置(ATF)では、ATF2ビームラインの建設を終えて昨年秋から運転を開始した。そこでは国際リニアコライダ(ILC)計画などの将来の加速器で必要とされるビーム計測技術およびビーム制御技術の開発を国内外の研究機関と共同で進められている。最終収束系試験用電磁石(Final Doublet / FD)システムは、SLAC(米国)、LAPP(フランス)、KEKの共同開発で行われた。その電磁石はSLAC製で他の電磁石とアライメント基準座が大きく異なるため、レーザートラッカとポータブルCMMを組み合わせた手法でアライメントを行ったので、その方法と結果を報告する。

 
WPBDA08 J-PARC 50 GeV PSにおけるビームエクスティンクションの測定 356
 
  • K. Yoshimura, Y. Hashimoto, Y. Hori, Y. Igarashi, S. Mihara, H. Nishiguchi, Y. Sato, M. Shimamoto, Y. Takeda, M. Uota
    高エネルギー加速器研究機構
  • M. Aoki, N. Nakadozono, T. Tachimoto
    大阪大学
 
 

ビームエクスティンクションとは、ビームパルス間に残存する粒子のメインビームに対する相対量である。J-PARC 50 GeV PSにおいて提案されている、ミューオン電子転換過程探索実験 (COMET)にとって、エクスティンクションはもっとも重要なパラメータの一つであり、10^-9レベルの低い値が要求されている。今回、J-PARC 50 GeVビームのエクスティンクションを測定するため、ビームのパルス時間構造を高感度に測定できるビームモニタを開発し、J-PARC MRアボートダンプに向けて取り出されたビームをモニタすることによりエクスティンクションを測定することに成功したので、その結果を報告する。

 
WPLSA03 コンパクトERLのラティス設計 359
 
  • M. Shimada, Y. Kobayashi
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

KEKの将来計画のひとつとして掲げられている5GeV-ERLの試験機として、コンパクトERLの建設が進められている。限られた予算・敷地で最大のパフォーマンスを得るために、2-loopのデザインを採用した。2回の加速とエネルギー回収を同じ線形加速器で効率よく行い、内側と外側ループのエネルギー比の変化に対応できるオプティクスを設計した。また、バンチ圧縮やCSR wakeの影響についてシミュレーションを行い、その結果を報告する。