WOPSB  —  粒子源B   (05-Aug-2009   15:30—16:45)

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卓上レーザー駆動航跡場加速による、準単色、サブGeV電子ビーム生成  
 
  • T. Hosokai
    東京工業大学/大阪大学
  • A. Zhidkov
    電力中央研究所
  • R. Kodama
    大阪大学大学院工学研究科 大阪大学光科学センター
  • J. Yamazaki
    総合研究大学院大学
  • K. Koyama, M. Uesaka
    東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻
 
 

レーザー航跡場電子加速スキームを用いて、高エネルギー、大チャージ、極短バンチ、準単色、低エミッタンスの電子ビームを安定に生成することを目指し研究開発を進めてきた。これまでにプラズマ発生部に弱い外部磁場を印加することによって、ビームの電荷量、指向性、ポジション安定性が劇的に改善することを実証した。さらに、外部磁場と同軸伝播するレーザーパルスでプラズママイクロオプティクスを過渡的に形成し高強度レーザーパルスの伝播を制御することを考案した。これにより電子入射部と加速チャネル部からなる2段階加速スキームを実現し、良好なエミッタンス(〜0.02πmmmrad)と高いポジション安定性を維持しながら、電子ビームの高エネルギー化と準単色化(〜100MeV,ΔE/E〜10%)を同時に達成した。加えて、7TW50fsの卓上レーザーを用いて〜0.4GeVの準単色電子ビーム発生も確認した。

 
WOPSB02 プラズマ波の破壊によるレーザー・プラズマ加速器への初期電子入射 384
 
  • K. Koyama, A. Yamazaki, A. Maekawa, M. Uesaka
    東京大学大学院工学研究科原子力国際専攻
  • M. Miyashita
    東京理科大学/住友重工
  • T. Hosokai
    東京工業大学/大阪大学
 
 

レーザー・プラズマ電子加速は数mmの長さで100MeVの電子加速が可能である。5年前にモノエネルギーの電子加速に成功したが、加速エネルギー、エネルギー幅などの安定性に欠けていた。その原因は加速される初期電子を背景プラズマから成り行きに任せて供給しているために初期エネルギーと供給位置が定まらない事にある。初期電子の人為的供給の方法はいくつか提案と実験がなされているが、我々は単純なシステムの方が実用に当たって好ましいと考え,プラズマ波の伝播経路に沿ってプラズマ密度に段差を作りそこでのプラズマ波の破壊による初期電子入射の方法を開発・試験した。プラズマ密度は初期の中性ガス密度にほぼ比例するので、超音速流の端においた偏向板で斜め衝撃波を発生させて密度ジャンプを作った。レーザーのプレパルスが10^-6以下で斜め衝撃波を発生させた場合に数十MeVに加速された電子が観測されるという予想通りの結果を得た。

 
ERL放射光源用電子銃のためのフォトカソード開発  
 
  • M. Kuwahara, X. Jin, Y. Maeda, T. Ujihara, Y. Takeda, T. Nakanishi, S. Okumi
    名古屋大学
  • M. Yamamoto, Y. Honda, H. Kawata
    高エネルギー加速器研究機構
  • H. Iijima, N. Nishimori, R. Nagai, R. Hajima
    日本原子力研究開発機構
  • M. Kuriki
    広島大学先端物質科学研究科
 
 

次世代放射光源であるERL計画が進められている。このERL放射光源の実現には、超低エミッタンスかつ大電流の高輝度電子源が必要不可欠である。これを満たす電子源カソード材料として現在、NEA(負の電子親和性: Negative Electron Affinity)表面を持つ半導体光陰極(フォトカソード)が有望とされている。また、この高輝度電子源の実現には、フォトカソード開発と電子銃開発が車の両輪となって最大限に機能しなければならない。特に初期エミッタンスや大電流を発生させるのに重要な役割を果たすのがフォトカソード研究であり、大電流化に対して量子効率が高いものが必要となる。本発表では、超低エミッタンスかつ高量子効率を有するフォトカソードの開発に焦点を絞って報告する。

 
WOPSB04 阪大産研Sバンドフェムト秒電子ライナックの現状報告 387
 
  • J. Yang, T. Kondoh, K. Kan, K. Norizawa, T. Yamamoto, T. Kozawa, Y. Yoshida, G. Isoyama, S. Tagawa, T. Majima, K. Tanimura
    大阪大学産業科学研究所
 
 

大阪大学産業科学研究所・量子ビーム科学研究施設では、フェムト秒時間領域でのダイナミクスの解明や新しい物質の創製のために、40MeVレーザーフォトカソードRF 電子銃Sバンドライナックが設置され、フェムト秒短パルス電子ビームの発生やビーム利用を行っている。また、新たなフェムト秒短パルスフォトカソードRF電子銃の開発をスタートし、次世代のフェムト秒時間分解・MeV電子線回折装置の開発を進めている。本大会では、研究開発とビーム利用の現状について報告する。

 
WOPSB05 スピン偏極電子源の表面電子顕微鏡への応用と実用化の達成 390
 
  • T. Nakanishi, A. Mano, Y. Nakagawa, M. Kuwahara, S. Okumi
    名古屋大学大学院理学研究科
  • X. Jin, N. Yamamoto, T. Ujihara, Y. Takeda
    名古屋大学大学院工学研究科
  • M. Yamamoto
    高エネルギー加速器研究機構
  • M. Hashimoto, M. Suzuki, T. Yasue, T. Koshikawa
    大阪電気通信大学工学研究科
  • T. Saka
    大同大学
  • T. Kato
    大同特殊鋼
  • H. Horinaka
    大阪府立大学工学研究科
 
 

GaAs系半導体の伝導帯に励起した電子をNEA(負の電子親和性)表面を放出機構に用いて真空中へ取り出す電子源は、スピン偏極ビーム生成を可能にするなど、魅力的な電子源である。我々はリニアコライダー用200keV偏極電子を完成させる過程で、この電子源の基本的性能(偏極度、量子効率、電流密度、エミッタンス、運転持続時間など)を向上させる新手法の有効性を実証してきた。数年前よりこの技術をスピン電子顕微鏡に応用する試みを開始した。特に、レーザースポットを極小化する手法として、透過光吸収フォトカソードを新たに偏極電子源に導入した結果、偏極度90%は維持し、輝度は従来型の1000倍を実現できた。これを低エネルギー表面電子顕微鏡(LEEM)に装着し、タングステン基板上にコバルトを蒸着してゆく過程を観察した結果、コバルト最表面層の磁区構造の実時間観察(ビデオ撮影)を世界で初めて可能にすることができた。