TOBDC  —  ビーム診断C   (06-Aug-2009   10:00—11:00)

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TOBDC01 J-PARCリニアックACS加速空洞増強におけるモニターシステムの設計 733
 
  • A. Miura, S. Sato, H. Sako, H. Yoshikawa, K. Hasegawa
    日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター
  • Z. Igarashi, M. Ikegami
    高エネルギー加速器研究機構
 
 

J-PARC線形加速器(リニアック)は、現在181MeVのビームエネルギーにて運転を行っているが、より高エネルギーの粒子を下流のシンクロトロンに入射するため、平成20年度末より、ACS加速空洞の増強を行う計画が開始した。これに伴い、ACS加速空洞におけるビームコミッショニングを行うためのモニター類の設計を開始し、製作を進めている。本稿では、ビームコミッショニングに用いられるモニター類について紹介するとともに、ACS加速区間におけるモニターシステムの設計について言及する。また、縦方向のミスマッチを診断するための縦方向プロファイルモニターの導入について検討した結果を紹介する。

 
TOBDC02 J-PARC RCS/MRにおけるトモグラフィーを用いた縦方向位相空間2次元ビームプロファイルの再構成 737
 
  • M. Yoshimoto, H. Tamura, M. Yamamoto, N. Hayashi, M. Kawase
    日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター
  • M. Yoshii, C. Ohmori
    高エネルギー加速器研究機構 J-PARCセンター
  • K. Watanabe, M. Yoshikawa
    三菱電機システムサービス
 
 

コンピュータートモグラフィーのアルゴリズムを用いた2次元分布の画像再構成は、加速器分野においても縦方向位相空間の2次元ビームプロファイルを得るための有効な測定ツールとして用いられている。J-PARC RCS/MRでは重畳積分逆投影法を用いた非常にシンプルな2次元プロファイル再構成ツールを開発した。シンクロトロン振動1周期の間に生じるビームプロファイルの変化が小さいとすると、1次元のビームバンチ分布の測定データから位相空間の2次元プロファイルを容易に再構成することが出来る。 まず粒子シミュレーションで2次元粒子分布を求め、本ツールによるプロファイル再構成を行なうことで、本ツールの有効性を確認した。次に実際にRCS及びMRでの測定データから2次元プロファイルの再構成を行なった。本発表では再構成ツールの概要と、計算及び実験の結果について報告する。また現状の課題や今後の応用についても議論する。

 
TOBDC03 特異値分解を用いたJ-PARC Main Ring 軌道データの解析 741
 
  • S. Yamada, N. Yamamoto
    高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設
 
 

J-PARC Main Ring (MR) の軌道データを特異値分解を用いて解析した。MRには186台のBPMが全周にわたって設置されており、ビームの入射から出射までの軌道を1ミリ秒毎に測定することができる。 特異値分解を用いると、(時間×位置) の2次元データから時間的・空間的に際立った特徴を持つ成分を抽出し、複合的な軌道変動の原因を分解することができる。MRの軌道データを特異値分解で分解したところ、偏向電磁石電源のリプルに起因する軌道変動やセプタム電磁石の漏れ磁場に起因する軌道変動が抽出された。また、これらの問題に対策を施す前と後の軌道データをそれぞれ特異値分解し比較することで、対策の効果を確認することができた。本稿では、特異値分解を用いたJ-PARC MRの軌道データの解析について報告する。

 
TOBDC04 高温超伝導電流センサーとSQUIDを用いたビーム電流モニターの実用化 744
 
  • T. Watanabe, N. Fukunishi, Y. Sasaki, M. Kase, Y. Yano
    理化学研究所
 
 

現在、理研仁科加速器研究センターにおいて、水素からウランまでの全元素のRIビームを発生させる、次世代の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー」が稼働中である。この加速器において、重イオンビームの電流値を正確に測定することは、加速器を効率良く運転し、運転性能を向上させ、ユーザーにビームを安定に供給する上で、極めて重要である。ビーム電流の測定には、通常はビーム破壊型のファラデーカップを使用する。しかし、ウランなどの高エネルギー重イオンビームの電流を測定する場合、ビームによって発生する二次電子の完全なサプレッションが困難であり、測定誤差が大きい。この問題を解決するために、高温超伝導電流センサーとSQUIDを用いたビーム電流モニター(SQUIDモニター)の開発を行ってきた。今回の学会では、ビーム破壊型モニターの問題点と、SQUIDモニターの開発・実用化について発表する。