TOBDB  —  ビーム診断B   (06-Aug-2009   09:00—10:00)

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TOBDB01 X線自由電子レーザー計画におけるビーム診断システムの開発状況 444
 
  • H. Maesaka, S. Inoue, S. Matsubara, A. Higashiya, T. Ohshima, M. Yabashi, T. Shintake, Y. Otake
    理化学研究所 X線自由電子レーザー計画合同推進本部
  • K. Yanagida, H. Ego, H. Tomizawa
    高輝度光科学研究センター
 
 

X線自由電子レーザー(XFEL)計画で使用するビーム診断システムの開発状況について報告する。XFEL装置では分解能0.5μm以下のBPM ,分解能10μm以下のスクリーンモニタ(SCM),高速でノイズに強いCT,ビームの時間構造を分解能10fs以下で測定するためのRFディフレクタ(RFDEF)が必要となる。これらの要求を満たすため,共振周波数4760MHzのRF-BPM,差動型のCT,オーダーメード光学系のSCM,共振周波数5712MHzのRFDEF空胴を開発してきた。前回報告以降,RF-BPM,CT,SCMについては量産初号機が出来上がったので,SCSS試験加速器においてビームテストをおこなった。その結果,XFELに必要な性能を持っていることの確証を得た。また,RFDEFについては7セルモデルを製作し,低電力RF測定をおこなった。その結果,必要な性能があることを確認した。

 
TOBDB02 XFEL用スクリーンモニタの空間分解能 448
 
  • K. Yanagida, H. Tomizawa
    高輝度光科学研究センター
  • S. Inoue, H. Maesaka, S. Matsubara, Y. Otake
    理化学研究所
 
 

X線自由電子レーザー計画で使用されるスクリーンモニタは10μm以下の空間分解能が要求される。我々は空間分解能に寄与する要因を分析し、最適な設計及び製作を行い、評価試験を行った。分解能に寄与する主たる要因としてレンズ等の収差、CCDピクセルサイズ、回折パターンの大きさ及び発光点深度によるデフォーカスがある。特に回折については、OTRの円錐状に拡がる発光角分布を繰り込んだFraunhofer回折パターンを考慮した。設計手法はこれら要因の寄与(分解能)を全て計算し、最適化を行うことであった。本システムにおいて最小の分解能(半値半幅)を計算で見積もった結果、OTRを観測する場合は約2μm、Ce:YAG等の場合は約3μmになった。SCSS試験加速器にて測定された最小ビームサイズはOTRの場合で14.5μm、Ce:YAGの場合で18.5μmであり、上記の分解能で計測されていると思われる。

 
TOBDB03 EO計測によるフェムト秒リアルタイム電子バンチ形状モニタの設計開発 452
 
  • A. Maekawa, M. Uesaka
    東京大学大学院工学系研究科原子力専攻
  • H. Tomizawa
    高輝度光科学研究センター
 
 

現在建設中のXFELでは、30fs(FWHM)の極短・低エミッタンス電子バンチ生成とアンジュレータへの正確な輸送が必要とされる。安定なSASE発振のために、XFEL運転中にフェムト秒電子バンチの3次元形状(縦・横方向分布)を電気光学(Electro-Optic)効果によって非破壊・リアルタイム・シングルショットで計測するモニタの設計開発を行っている。フェムト秒の高時間分解能を達成するために白色(>400nm)レーザーパルスと高速の時間応答性を持つ有機EO結晶及びアモルファス型カーEO結晶を、横方向分布計測のためにラジアル偏光円環レーザーをそれぞれ活用する。この3次元バンチ形状計測について、概念設計の詳細と主要構成要素の開発状況、数値計算による時間・空間分解能の見積の結果について報告する。

 
TOBDB04 ダイヤモンド検出器を用いた電子ビームハロー・モニタの実証試験 456
 
  • H. Aoyagi, N. Nariyama, T. Bizen
    高輝度光科学研究センター
  • T. Itoga, T. Tanaka, H. Kitamura, Y. Asano
    理化学研究所
 
 

8GeVのエネルギーを有する電子ビームのハロー部がアンジュレータ永久磁石へ継続的に照射されると、その積分電子数に応じて減磁することが分かっている。これを防ぐインターロック用センサーとして、ダイヤモンド検出器を用いて電子ビームのハロー部の電子強度を計測するハローモニタの開発を進めている。信号の読出し方式は、検出感度を高めるために、パルス・モードを採用した。ハローモニタの実証試験を、SPring-8シンクロトロン・ビームダンプエリア(8GeV)及びXFEL用試験加速器SCSS(250MeV)において行い、微弱なハロー部の強度プロファイルの測定に成功する等、良好な結果を得た。本モニタをXFELに実装させるための開発研究の次の段階として、レーザー発振に対する影響を最小限に抑えるためRFコンタクトを最適化した実機の設計、及び、信号処理回路を含めたシステム全体の設計を進めている。