FOBTB  —  ビーム理論B   (07-Aug-2009   10:15—11:15)

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FOBTB01 強制振動で見るビームビーム効果 1126
 
  • Y. Seimiya, K. Hirata
    総合研究大学院大学
 
 

衝突型加速器を論じるとき、ビームビーム効果なしで語ることはできない。なぜなら、ビームビーム相互作用はルミノシティを決める大きな要因となっているためである。そのため、多くの方がこの効果の研究をしてきた。一方、電子加速器ではビームを横方向にRF周波数で強制振動させることで、チューンの測定が行われている。ビームビーム相互作用が存在する場合には、これによってビームビームパラメータも測定できることはよく知られている。本論文では、強制振動の振幅が大きい場合に、ビームビーム相互作用によるレゾナンスの影響を調べる。

 
FOBTB02 VCN-SANSのためのパルス極冷中性子集束用磁気レンズの開発 1129
 
  • M. Yamada, Y. Iwashita, M. Ichikawa, T. Sugimoto, H. Tongu, H. Fujisawa, I. Kazama
    京都大学化学研究所
  • H. Shimizu, N. Yamada, T. Ino, K. Mishima, K. Taketani, T. Yoshioka, S. Muto
    高エネルギー加速器研究機構
  • T. Oku, J. Suzuki
    日本原子力研究開発機構
  • K. Hirota
    理化学研究所
  • S. Kennedy
    Bragg Institute, ANSTO
  • P. Geltenbort, B. Guerald, G. Manzin, K. Andersen
    Institut Laue-Langevin
 
 

現在永久磁石を用いたパルス中性子集束用強度変調型6極磁石(rot-PMSx)を開発している。これをパルス中性子ビームに適応するとビーム強度の向上や空間分解能の向上、極小角散乱の最小散乱角の範囲拡大といった効果があり、より効率的な散乱実験が可能となる。2008年6月、ILLの極冷中性子(VCN)ビームラインにて磁場強度半固定での集束実験を行い、ド・ブロイ波長が40Åの中性子に対して約50cmの焦点距離を持ちおよそ設計通りの集束力が実証された。2009年6月には同ビームラインにて、中性子ビームのパルスにrot-PMSxの磁場強度変調を同期させ、有限のエネルギー幅を持つパルス中性子ビームに対する色収差を抑えた集束性能を実証するための実験を行う。また、VCNに対してコンパクトに集束できることを生かし、VCN-SANSの有用性を示すため数種のサンプルに対してSANSを行うのでそれらの結果を発表する。

 
FOBTB03 S-LSRでの共鳴結合のためのチューン調整 1132
 
  • H. Souda, M. Nakao, H. Tongu, A. Noda
    京都大学 化学研究所
  • K. Jimbo
    京都大学 エネルギー理工学研究所
  • T. Shirai
    放射線医学総合研究所
  • H. Okamoto
    広島大学 先端物質科学研究科
  • M. Grieser
    Max-Planck-Institut für Kernphysik
  • A. Smirnov
    Joint Institute for Nuclear Research
 
 

S-LSRでは、3次元のレーザー冷却を行うため、シンクロ・ベータトロン共鳴を利用して進行方向の冷却力を横方向に伝える試みを行っている。進行方向と水平方向の結合は運動量分散のある領域に配置したRF空洞で、水平方向と横方向の結合は電子ビーム冷却装置のソレノイド磁場で行う。3次元冷却では差共鳴を用いるため、ベータトロンチューン・シンクロトロンチューンの小数部を一致させる必要があるが、これまでの運転ではベータトロンチューンとビーム寿命の再現性が悪かったため原因の調査を行い、リング四重極磁石を励磁電流180A(2.57T/m)で初期化することでこれを改善した。これに加え、RF電圧を変えてシンクロトロンチューンを変化させたところ、共鳴に起因するTune Separation(|νs-νx|=0.13)が観測された。本発表では、これらの測定結果とレーザー冷却への影響について報告する。

 
FOBTB04 S-LSRにおけるバンチビームのレーザー冷却実験の光学的観測 1135
 
  • M. Nakao, H. Souda, H. Tongu, A. Noda
    京都大学 化学研究所
  • K. Jimbo
    京都大学 エネルギー理工学研究所
  • H. Okamoto
    広島大学 先端物質科学研究科
  • M. Grieser
    Max-Planck-Institut für Kernphysik
  • A. Smirnov
    Joint Institute for Nuclear Research
 
 

京都大学化学研究所のイオン蓄積・冷却リングS-LSRにおいて、40keVのMgイオンビームをドリフトチューブのRF電場によってバンチ化し、280nmの紫外線レーザーで冷却する実験を行っている。 観測方法として、横方向のビーム幅をビームからの蛍光によって測定するCCDカメラによる方法と、PAT(Post Acceleration Tube)でビームの運動量を掃引したときの蛍光をPMTで観測する方法を用いた。CCDの測定ではシンクロトロンチューンと、水平方向と鉛直方向のベータトロンチューンとの差がそれぞれ整数になる共鳴条件で、入射時に1mmであったビーム幅が0.55mmに減少した。PATとPMTの測定ではCCDの測定でビーム幅が減少している条件の時にビームの進行方向の運動量広がりが大きくなっていることが分かった。これは共鳴によって横方向の運動量が進行方向に移っていることを示唆している。