FOAPC  —  加速器応用C   (07-Aug-2009   09:00—10:00)

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FOAPC01 筑波大学12UDタンデム加速器を用いた加速器質量分析装置による極微量放射性核種の検出 815
 
  • K. Sasa, T. Takahashi
    筑波大学研究基盤総合センター応用加速器部門
  • Y. Tosaki
    筑波大学大学院生命環境科学研究科
  • Y. Takaya, K. Sueki
    筑波大学大学院数理物質科学研究科
 
 

筑波大学12UDペレトロンタンデム加速器は、ターミナル電圧12 MVの大型汎用タンデム加速器である。この大型タンデム加速器を用いた、加速器質量分析(Accelerator Mass Spectrometry: AMS) 装置の開発を進めている。AMS測定対象核種は、環境中に存在するCl-36、Ca-41、I-129等の重い極微量放射性核種である。妨害同重体と測定対象核種との分離識別は、第2荷電変換膜、静電偏向器、分析電磁石、ガス検出器からなる粒子識別系により行う。半減期30.1万年のCl-36のAMS測定では、10 MVの加速電圧によりCl-36(9+)を100 MeVまで加速して、同位体比10E-15の検出感度を達成している。極微量放射性核種の超高感度AMS測定は、環境モニタリング研究や地球科学研究などに適用可能であり、加速器の新たな応用研究の創出が期待される。

 
FOAPC02 超高エネルギー宇宙線観測用望遠鏡較正用 小型電子線形加速器の開発 818
 
  • T. Shibata, D. Ikeda, Y. Kondo, H. Sagawa, M. Fukushima
    東京大学宇宙線研究所
  • Y. Iino
    株式会社トヤマ
  • M. Ikeda, A. Enomoto, S. Ohsawa, K. Kakihara, M. Satoh, T. Shidara, T. Sugimura, S. Fukuda, K. Furukawa, M. Yoshida
    高エネルギー加速器研究機構
  • J. Matthews
    University of Utah
 
 

超高エネルギー宇宙線観測を目的としたテレスコープアレイ(TA)実験が2008年からアメリカ・ユタ州で開始された。TA実験では、宇宙線が作る空気シャワー中の荷電粒子やガンマ線を地上で観測する地表検出器と、荷電粒子によって発光する大気蛍光を観測する大気蛍光望遠鏡(FD)を用いている。FDによる宇宙線のエネルギー測定は大気蛍光量を用いて計算される。そこで、40MeV×10^9e^-/pulseの電子ビームを用いたエネルギー較正法が提案された。高エネルギー加速器研究機構にて開発された小型電子線形加速器(TA-LINAC)は2008年1月に完成し、4から12月にかけて試験運転が行われた。この試験でパルス毎のビーム電流測定精度が±6%、出力エネルギーの決定精度が<1%である事を確認した。TA-LINACは翌年の3月にFD観測サイトに移設され、ビーム運転とFDによる観測は今秋を予定している。

 
FOAPC03 静電加速器を用いた固体微粒子加速による宇宙塵シミュレーション 821
 
  • T. Iwai, T. Omata
    東京大学大学院工学系研究科原子力専攻
  • H. Shibata
    京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻
  • S. Hasegawa
    宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部
 
 

東京大学大学院工学系研究科原子力専攻の静電イオン加速器施設である重照射研究設備(HIT)では、約10年前からバンデグラフにおいて固体微粒子の加速を行い、宇宙塵シミュレーションに利用している。固体微粒子イオン源を装着し、0.1~10ミクロン程度の固体微粒子を帯電させて加速管に入射し、km/sオーダーまで加速する。分析電磁石は用いず、加速管の延長線上のビームラインを通過させる。ビームライン上に設けた2個の円筒型電極を微粒子が通過するときの静電誘導によって微粒子の電荷が測定され、またその飛行時間によって速度も計測される。こうして加速した微粒子を探査衛星搭載用の宇宙塵計測器に入射し、入射する固体微粒子の質量や速度などの値と計測器の信号との相関を調べることにより、宇宙塵計測器の開発に利用している。講演では現状と応用例について報告する。

 
FOAPC04 京都大学原子炉実験所における加速器駆動未臨界炉のためのFFAG加速器の開発 824
 
  • Y. Ishi, Y. Mori, M. Inoue, T. Uesugi, Y. Kuriyama
    京都大学原子炉実験所
  • T. Planche, J. Lagrange, M. Takashima, E. Yamakawa
    京都大学大学院工学研究科
  • I. Sakai, K. Okabe, H. Imazu, R. Takahoko
    福井大学大学院工学研究科
 
 

 京都大学原子炉実験所では加速器駆動未臨界炉(ADSR:Accelerator Driven Subcritical Reactor)のためのFFAG(Fixed Field Alternating Gradient)加速器の研究開発を行い、2009年3月には世界初となる、陽子加速器のビームによる核破砕中性子を用いたADSR実験を開始した。この実験では、FFAGからの陽子ビームをタングステンターゲットに照射することにより発生する中性子を京都大学臨界集合体装置(KUCA)に構築した未臨界核燃料体系に導入し、この中性子が核分裂反応により増倍される事を確認した。  今回の発表では、加速器システム、ビーム調整とビーム特性およびADSR実験の概要について報告する。