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FOOPH04 | SCSS試験加速器における極端紫外レーザー利用実験のためのマシン運転 | 836 |
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SPring-8におけるX線自由電子レーザー施設のプロトタイプ機として建設されたSCSS試験加速器は、極端紫外領域(波長50 nm~60 nm)のSASEレーザー光を発生する光源として、2008年度より本格的なユーザー利用実験のための運用が開始された。2008年度は海外の研究グループを含む計11の研究グループが利用実験を行い、1年間の総運転日数は95日(運転時間840時間)であった。この間のマシン稼働率は96%であり、1年を通して極めて安定な飽和状態の極端紫外レーザー光をユーザーに提供することができた。本学会では、SCSS試験加速器におけるユーザー運転の現状について報告する。 |
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FPACA05 | XFEL/SPring-8入射部における高周波システムの開発状況 | 906 |
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XFEL/SPring-8では、アンジュレーター入口で3kAのピーク電流、1πmm mrad以下のエミッタンスといった高品質ビームの安定供給が要求されている。電子入射部の電子集群空胴、ならびに初段加速管は、従来のレベルの1桁上回る安定度が要求されている。とくに238MHz、476MHz、1428MHzの位相精度は120fs (1σ)の時間ジッターに抑制されなければならない。これを実現するため、高周波増幅器電源部においては温調系の導入、低雑音電源の採用、シールド強化、配線経路の最適化など徹底した安定化対策が施された。その結果、10^-5の電力安定度、130fs(1σ)の時間ジッターを達成している。本稿では、電子入射部で用いる高周波システムの概要を示すとともに、既に製作が完了した238MHz 14kW増幅器、476MHz 120kW IOT、1428MHz 10kW増幅器の性能について述べる。 |
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FRATA05 | CeB6(ホウ化セリウム)単結晶熱カソードを用いた低エミッタンス電子銃の開発 | 1178 |
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X線自由電子レーザーにおいて、電子銃は非常に重要な役割を果たします。極めて小さいエミッタンスだけでなく、長寿命、再現性、メンテナンス性も求められます。これらの要求を同時に満足できる熱カソード材料として、単結晶CeB6を選択しました。但し、動作温度が1500℃と非常に高温であるため、まず、安定に加熱できるグラファイトヒーターの開発から研究はスタートしました。電流端子の溶解など数多くのトラブルを克服した結果、エネルギー500keV、ピーク電流1Aの低エミッタンスビームを生成することに成功しました。現在ではSCSS試験加速器におけるFEL運転のために、日々、安定な電子ビームの供給を続けています。本会では、CeB6熱電子銃の開発についての発表を行う予定です。 技術貢献賞 |
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TPMGA04 | XFELバンチコンプレッサー多極磁場が与えるエミッタンスへの影響 | 585 |
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XFELでは、低エミッタンスでピーク電流の高い電子ビームが要求される。このためLINACには、偏向電磁石4台を用いたバンチコンプレッサー部に、エネルギーチャープをかけた電子バンチを通し、バンチ長を圧縮する過程が必要となる。この時、ディスパージョンで電子ビームが水平方向に大きく広がるため、偏向電磁石の多極磁場による電子ビームエミッタンスの増大が大きいと予想される。本発表ではXFEL/SPring-8を例に、偏向電磁石の多極磁場成分が電子ビームエミッタンスに与える影響について評価し、磁場補正の必要性等を議論する。 |
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TPOPA27 | SCSS試験加速器におけるアンジュレータ部での軌道補正性能の改善 | 641 |
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昨年度の本学会において、SCSS試験加速器のレーザー増幅状態およびレーザー出射位置の安定化に向け、アンジュレータ部の軌道ドリフト自動補正システムを構築し、軌道ドリフトを抑制した結果について報告した。補正に用いるビームの位置情報は、データベースを介して最速0.5Hzの周期でしか読み出すことができず、この遅い読み出しスピードが補正周期(30秒に1回)を制限していた。この結果、比較的早いサブHz帯域のビーム軌道変動を抑制できず、レーザーの光軸を高い精度で維持することが困難であった。この問題を解決するため、同期データ収集システムを導入し、ショット毎の全データを利用し、S/Nを改善した上で補正の高速化を実現することに取り組んだ。本発表では、補正システム高速化に向けた取り組みと改善された補正性能について報告を行う。 |
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FOOPH02 | SCSS試験加速器におけるSASE-FEL安定化に向けたエネルギーフィードバック | 830 |
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XFELシステムの性能実証を目的に、SCSS試験加速器がSPring-8キャンパスに建設され、達成された安定なEUV領域のSASE-FELがユーザー実験に利用されている。精密実験には、レーザー特性の長期に渡る安定性が重要であり、これまでにも、個別のRF機器のピックアップ値に基づくRF位相と振幅の変動抑制や加速器パラメータの精密調整により、レーザーの安定化を図ってきた。しかし、ゲインの厳しい短波長域での長期安定性を常時確保する事は難しく、入射部のビームエネルギーと相関したレーザー出力の変動が観測された。そこで、レーザー特性を極限まで安定化する目的で、ビームのエネルギー変動を直接フィードバックに用い、入射部でのビームエネルギーの安定化、即ち、ビームのピーク電流の精密制御を試みた。本発表では、ビームのエネルギー情報を用いた簡便なフィードバックシステムの概要とその有効性について報告する。 |