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FRVAA06 | 耐放性TMPの磁場による渦電流損の評価 | 986 |
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1. はじめに 前回の実験より、TMPはロータ軸に直交な方向の磁場が作用すると、ロータ温度がほぼ一定である場合、渦電流損は磁場強度の2乗に比例し、また、回転周波数の平方根に比例することが評価式で説明できた。そこで我々は、耐放性TMPを評価するため、均一な磁場下で実験しうる磁場発生装置を準備した。今回は、耐放性TMPのロータ軸に直交な方向の磁場が作用したときの渦電流損の特性曲線をつくる。 2. 実験 定常回転する耐放性TMPのロータ軸に直交な方向より磁場が作用したとき、その定常回転を維持するために加えられる駆動電力を渦電流損として測定する。駆動電力は、クランプ式電力計を用いて測定する。 3. 結果 前回の実験結果と今回の実験結果を合わせて、耐放性TMPのロータ軸に直交な方向の磁場が作用したときの渦電流損の特性曲線をつくることができた。 |
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WOOPE02 | KEKB加速器の現状 | 63 |
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KEKB加速器は2007年1月に超伝導クラブ空洞を導入し、同年10月以後、順調にクラブ交差による実用運転を行なっている。クラブ交差で高いルミノシティを達成するには、従来のレベルを超えた精密な誤差補正とビーム衝突調整が不可欠である。その一つとして、今期新たに、電子・陽電子両リングに合わせて28台の歪6極磁石を設置し、衝突点における水平垂直結合の運動量依存性を補正したが、この補正が突破口となって、クラブ以前の記録17.6/nb/sを大きく上回るピークルミノシティ20.84/nb/sが達成された。また、1日・7日間などの積分ルミノシティも記録を更新し、現在総積分ルミノシティは953/fbに達している。入射ビームをパルス毎に切り替えてKEKB両リングと放射光リングの3者に同時入射する技術が最近実用化され、衝突調整の効率が向上したことも、今回の成果に繋がっている。 |
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FRVAA01 | 大強度電子・陽電子蓄積リング用アンテチェンバー付き銅製ビームダクトの開発 | 950 |
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数アンペアの大電流を蓄積する電子・陽電子蓄積リング用ビームダクトには、ビームからの強烈な放射光に対処できること、ビームインピーダンスが十分低いこと、さらに陽電子リングでは電子雲不安定性を抑制できること、などが要求される。我々は、銅製のアンテチェンバー付きビームダクトを提案し、その実用化に向けて研究・開発を行っている。これまで、引き抜き法によってウィグラー部用のストレートダクトを試作し、同時に開発したベローズチェンバー、BPMブロック等と供にKEKB陽電子リング直線部に設置してビームテストを行ってきた。引き続き昨年来、アンテチェンバー内にNEGポンプを挿入し、また、銅合金製接続フランジを採用したアーク部偏向電磁石、四極電磁石用のビームダクトを試作した。これらは、現在同リングのアーク部に設置されビームテストが行われている。これまで開発してきたビームダクトおよびその試験結果を報告する。 |
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FRVAA02 | TiNコーティングされた銅製ビームダクトのガス放出特性 | 956 |
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次世代の陽子/陽電子リングでは電子雲不安定性の対策が不可欠である。ビームダクト内表面への窒化チタン(TiN)コーティングは、電子雲抑制の有効な手段の一つであるが、一方でその高いガス放出率が問題となる可能性がある。そこで我々は、TiNコーティング(厚さ200 nm)された銅製ビームダクトを用いて、ベーキングのガス放出への効果を調べた。まず、ビームダクトを約1時間大気に暴露した後、排気中の圧力及び残留ガス成分を測定した。排気開始から60時間後のTiNコーティングしたダクト内の圧力は、コーティングが無い場合に比べて約5倍であった。そこで、ベーキング温度を変えてガス放出率を比較したところ、80℃以上であればコーティングが無い場合と同等になることが分かった。この温度はビームダクト設置後でもin-situベーキングが十分可能な温度であり、実機にてガス放出を低減する有効な方法と言える。 |