[第2回インジェクターアップグレード推進委員会メモ(IUC)]

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日時 : 2004年 6月2日(水曜日)13:30-15:00
場所 : 三号館7階会議室
出席者:小磯、菊池、佐波、諏訪田、紙谷、大澤哲、飯田、菊谷、小川、船越、末武
生出、大西、矢野、古川、三橋、小林幸則、春日、島田、帯名、飛山、フラナガン
本間、道園、杉村、設楽、榎本、横山(書記)、佐藤政則(文責)

(*) 英語名称を、Injector Upgrade Committee(IUC)に変更しました。
(*) Webページもご参照下さい。 http://www-linac2/iupc/index.html

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(注: 文中のARは、PF-ARリングです。)

[1] はじめに(佐藤政則)

・本会の目的は、入射器系の中・長期的なアップグレードを検討することである。
・第一回では、名称とさしあたって検討する項目を決定したが、
”KEKB e-/e+,PF,ARリング同時入射”に関する検討が急務となった。

[2] PF,ARリングから入射器への要望 (小林氏)

(+) KEKB(e-/e+)同時連続入射時も、現状と同等な入射(定時及びスタディ時の不定期・連続入射)を確保したい。
(+) PFは、将来的にはTop-up運転モードを加えたい。
(+) ARは、入射エネルギーを4GeVに上げたい。

(議論)
・独立入射器を持つ解もあるのでは?
=> 予算の目処が立たない。厳しい

・AR4GeV入射の前に、例えば3.5GeV入射というか解もあるか?
=> ある。前回、入射エネルギーを2.5から3GeVに上げたときも効果があった。(蓄積電流値向上)

・現状では、AR入射時に蓄積ビームを捨てているが、減速して継ぎ足し入射ができないか?
=> そのためには、ゆっくりと減速する必要がある。現状では、蓄積ビームを捨ててから入射した方が早い。

・ARに陽電子入射の可能性はあるか?
=> ある。マグネット転極でOK。
=> 光電子雲について勘定が必要。

・現在PFは一日一回入射だが、一時間に一回入射はどうか?
=> 難しいと思われる。入射中は、シャッタークローズで、ユーザーが待機状態になる。

・ARのバンチ数を増やす解はあるか?
=> 低エミッタンスモードでは、20mA/bunch程度が限界。2bunchも検討したい。
=> 低蓄積電流値だと入射率が高いが、電流値高いとチューンが大きく変化する。

・PFのTop-up入射に必要な入射率は(計算上)どの程度必要か?
=> 10秒(single bunch)、1分(multi bunch)に一発、0.1mA入射程度でOK。

・1時間に一回程度、ライナックエンドの切り替えだけで大丈夫か?
=> 入射回数を多くして、なるべく蓄積電流値を一定に保ちつつ、リング内のロスを少なくする必要がある。
ビームロスの場所を一カ所にすれば、ユーザーに影響しないようにすることが必要。

・ARが陽電子入射でよければ、1時間に一回程度のビームモード切替でいいのでは?
=> マシンスタディー時のビームの取り合いが解決しない。

[3] KEKB e-/e+ 同時入射の必要性 (小磯氏)

(+) 好調な日のKEKBルミノシティートレンド(2/16 9:00 - 2/17 9:00)及び
PF,ARマシンスタディで入射が取り合いになる日の一例(2/16 9:00 - 2/17 9:00)
を基に、両リング同時入射の重要性が説明された。

(+) e-/e+切り替え10分程度。
一定カレントを保って、ピーク1.2x10^34 cm^-2 s^-1が最低限必要。

(+) 入射器への入射要望は、後述の通りである。
Linac 50-Hz運転モードでパルス毎に入射先を自由自在に選択できることが出来る。
ここでの入射先とは、下記の”6パターン”である。

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(1) KEKB e+
(2) KEKB e-
(3) PF e-
(4) AR e-
(5) Test beam line e+ (?)
(6) Test beam line e- (?)
(*) e+/e-は、同時パルスでなくとも可。
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(案a) e-モードで、Linac50Hzをパルス毎に入射先選べる仕様。(2)-(4),(6)。
e-入射は、5min./10min.(現状では)

=> 切り替え時間は、ベローズの寿命で決まっている。今夏期保守で解決される。

(案b) e+モードで振り分け

・ビームモード切替(入射先切り替え)の高速化(50Hz対応)が必要である。

・ (案a)を当面検討するのが良いのではないか?
=> 上記運転モードの(5),(6)は、とりあえず保留し、後々検討する。


[4] Pulse-mode Injection to HER, LER, PF, and AR (菊池氏)

(+) 菊池氏による、パルス毎にビームモードを切り替えて、4リングへ擬同時入射を行うスキーム案が示された。
(本検討会のWebから、菊池氏の発表pdfファイルが入手可能です。こちらもご参照下さい。)

(+) ”HER,LERは、パルス毎切り替え。PF,AR間は、パルス毎切り替えでなくて良い。
”PF, KEKB”及び”AR, KEKB”は、パルス毎切り替えでなくてよい。”という仮定の基に以下議論する。

(+) Energy switch ( e-: 8-GeV => 3.5-GeV, e+: 3.5-GeV => 8-GeV)する場合及びしない場合について解説された。
・Energy switchしない場合
 (a) パルス毎に異なるビームエネルギーで加速する(Multi-energy acceleration)。
(b) e+標的後の二次電子を利用する。Linac endで、4リング(PF, AR, KEKB-LER, KEKB-HER)
へパルス毎に振り分ける。

=> 二次電子はエネルギー広がり大。検討が必要。

・Energy switchする場合:e+ HER and 3種のmulti-energy e- (for LER, PF, AR)

(+) 第三スイッチヤードの変更案が示された。PF及びARリングの入射ビーム仕様によって、e+標的後の二次電子使用可能性の可否が分かれる。
また、ビームモードswitchのスピード仕様(20-ms?, 40-ms?, 1-sec? .....)を検
討する必要がある。

(+) Beam handling scheme (ソフトウェア・ハードウェア):
Multi-energy (& charge)を、Pulse-to-Pulseで制御するための技術が必須。(ソフト・ハードの検討及びスタディ)

(+) AR 4-GeV入射の場合には、AR-BT line系の改良が必要となる。永久磁石(NeFeB)で可能か?
=> Arcは、電源的には4-GeV OK。ベンドは無理。
=> 永久磁石のベンドで、2.5-GeVまでは可能。4-GeVは厳しい。
=> 磁極長を長くすれば? => 厳しい。

(その他議論)

・ダンピングリングもLinac C-bandもない当面の打開策は?
=> C-bandでなければ、Energy不足ではないのか?

=> 4リング同時入射は当面あきらめて、例えばKEKB-HER, PFだけの切り替えとか、解はあると思われる。
バイパスラインで、Multi-energy輸送技術が確立すれば有益である。

=> Super-KEKBは、必ず No Energy Switchから始まる。

=> AR e+かつLER e+のままであれば、BT line2本でいいので有効では?

・同一オプティクスでmulti-energy beamを輸送できるのか?
=> スタディが必要。

・A1電子銃を使ってPF入射は可能か?RFが整数関係にない。
=> RFの同期だけの問題。3種類の独立したマスターを作る。

=> Spring-8方式で、位相を飛ばす。安定度はOKか検討する必要がある。
それぞれに独立したモニター系も必要。

・仮電子銃を2セクターへ移設し、3〜5セクターは同じエネルギーのe+が通るようにすれば良い。

・非同一エネルギービームe-/e+を、同じステアリングで軌道調整可能か?
=> e-にステアリングをあわせれば可能。
=> e-/e+を同一のステアリング設定で輸送できれば問題ない。

・8-GeVオプティクスで3.5-GeVビーム輸送は実証済みである。

・とにかく、 オプティクスに関するスタディが必須。
=> 6月中に行う。

・multi-energy beamが輸送可能か?が要である。

・アライメントを取り直す必要があるかもしれない。


[4] 4リング同時入射検討WG

・4リング同時入射検討のWGを立ち上げ、各担当者を決めた。
・各パート毎に具体的な検討に入り、最短で来年夏期実現を目指す。
・スタディを6月中にやる。(取りまとめ:大西氏)

全体統括: 菊池氏
世話人:佐藤(政則)
書記:横山氏

--- WGメンバー ---

安全: (+)小川・白川・佐波 (Injector)、小野(KEKB)、伊澤(PF)

タイミング・モニタ: (+)古川・諏訪田・佐藤(政則)(Injector)、末武・飛山
・菊谷・フラナガン(KEKB)、三橋・帯名(PF)、本田・長橋(AR)

RF: (+)設楽・矢野(Injector)、末武(KEKB)、坂中(PF,AR)

BT・真空: 紙谷・柿原・横山(Injector)、(+)菊池・大西・飯田(KEKB)、三
橋・小林(幸)(PF)、菊池・帯名(AR)

Gun: (+)大澤(哲)・杉村(Injector)

スタディ: 紙谷(Injector)、(+)大西(KEKB)、小林(幸)(PF、AR)

(*) (+)印は、各パートのリーダー。
(*) 本田氏は、PF-BT,AR-BTのモニタ担当。
(*) キッカーは、菊池氏グループ担当。
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--- スケジュール---

年/月: 作業項目
2004/6: マシンスタディ
7: 全体デザインまとめ
8-10(上旬): オプティクス
10(下旬)-12: ハードウェアデザイン

2005/1-3(上旬): 企業と打ち合わせ
3(下旬)-6: ハードウェア製作・試験
7-: インストール・試験

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