ビーム物理通信

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第1巻 第4号 2001年4月

ビーム物理研究会
The Japanese Beam Physics Club

編集 小方 順子
ogata@hiroshima-u.ac.jp

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バックナンバー
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第1巻第1号 2001年1月
第1巻第2号 2001年2月
第1巻第3号 2001年3月


もくじ


編集前記
HEACC報告 平田光司 (総研大)
物理学会年会 ビーム物理セッション報告 岡本宏巳  (広大AdSM), 中島一久 (KEK加速器/総研大), 野田 章 (京大化研)
ビーム物理研究会入会案内
高エネルギー物理学奨励賞の募集
会合4/23
プロシーディングス
ネットでお勉強


編集前記


この「通信」は絶えず更新を繰り返し,月末にその結果をバックナンバーとして残すことにしようと思いますが,いかがでしょうか. この4月号は,4月初旬は3月号とほとんど同じですが,月末にはだいぶ変わったものとなり,その変わり果てた姿が,保存版としての3月号となるはずです.


HEACC200報告

つくば国際会議場(エポカルつくば) 3/26-30 平田光司 (総合研究大学院大学 教育研究交流センター)


本年3月26日から30日まで、つくば国際会議場(エポカルつくば)で第18回エネルギー加速器 国際会議(HEACC2001)が開かれた。HEACCはLepton-Photon conference, Rochester conferenceと共にIUPAP(国際物理応用物理連合)の素粒子・場委員会(C1 1)が後援する高エネルギー物理学のビッグイベントである。

ところが近年、PAC,EPAC,APACなどの「加速器国際会議」が開かれるようになる中で、HEACCの 存在意義を疑問視する意見が広汎に見られるようになった。このきっかけとなったのは1995年に PACとHEACCが同時開催となったことと思われる。HEACCはPAC で置き換え可能なものと認識され るようになり、PACとEPACで十分な上にAPACまで始まって、忙しくてしょうがない、というのが 一般的な感覚なのであろう。

このためC11ではICFAにHEACCのありかたについて諮問し、ICFAではHEACC中止の意見が大勢を しめる状況となった。当時DESYの所長で あったB.WiikはHEACCを中止すべきで無い、という意見だったようで、ICFAの小委員会として HEACC検討委員会を設けDESYのF.Willekeを委員長とし、国際委員会を設立した。Willeke委員会は、 HEACCを高エネルギー加速器に焦点をしぼった専門性の高い小規模な会議として存続すべしとの答 申を行い、今回のHEACCはその線にそって企画された始めてのものである。

会議の内容は、現在稼動中(KEKBなど)、建設中(LHCなど)、近未来計画として検討中(TeVリ ニアコライダー、ミューオンコライダーなど)の高エネルギー加速器、また将来の加速技術(レー ザー・プラズマ加速など)についての包括的なレビューである。これは理論的、技術的な問題点を 高エネルギー物理学コミュニティーの共通の認識として把握することを目的としたものであるが、 狭義の高エネルギー物理学(実験、理論)コミュニティーからの参加がほとんど得られなかったの は残念である。

狭義の高エネルギー物理学コミュニティーが加速器を切り離そうとする傾向が近年強まっているようで、実際、ICFAは以前の合意を翻し、「メジャーな高エネルギー物理学の研究所が次回開催地のスポンサーとして得られない場合、 ICFAはHEACCを中止する意向である」と菅原KEK機構長(ICFA議長)から発表された。これらの反 HEACC的な動きを受けて、HEACCプログラムの一環として「HEACCの将来について」の討論会が もたれた。PAC,EPAC,APACにHEACCを解消する意見は少数で、むしろ高エネルギー物理学コミュ ニティーの重要な会議として、実験、理論との関係を強める方向で現在のHEACCを存続させるべき だとの意見が大勢をしめた。

私見であるが、理論、実験の研究者が高エネルギー加速器の将来を他人事のように感じているよう な現状では、高エネルギー物理学に将来は無いであろう。根本的な意識変革が必要とされる。

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物理学会年会 ビーム物理セッション報告

中央大学多摩キャンパス 3/27-30  


今回の年会で初めて,「実験核物理・素粒子実験」分科の中にビーム物理セッションが正式に設けられました.そこでこのセッションで座長をつとめた方々に一言ずつお願いしました.
私が座長を務めた27日午後のセッションでは、都立大のグループによる「オルソポジ トロニウムのレーザー冷却」に関する一連の研究発表、ならびに、東大原工施と三菱 電機の研究者らによる電子銃に関する講演があった。都立大グループの講演は5つの シリーズで構成されており、陽電子ビーム輸送から、ポジトロニウム生成、そのレー ザー冷却に至るまでのシステム設計に関する長大なものであった。近い将来、是非と もポジトロニウムのBECを実現して欲しいものである。このグループは他にも、偏極 陽電子源やコンプトン散乱などに関する発表を数多く行っており、今やビーム物理業 界の主力になっている感がある。

全体的な印象をいくつか。ビーム物理セッションが正式に設けられたのは今回が初め てであったが、丸2日分の講演申し込みがあって、その意味ではまずまずの成果が上 がったように思う。ただその一方で、個人的には、加速器の周辺機器開発に関する発 表が主体であったような印象が残り、基礎物理的な話題の提供がもっとあっていいの ではと感じた。また、加速器開発の話は色々とあったのに、肝心のビームダイナミク スに関する話はほとんど無かった。そもそもKEKからの参加者が少なかったのは、 HEACCと完全に日程が重なってしまったからであろう。たしか昨年も、物理学会と加 速器関係の国際会議のスケジュールをオーバーラップさせていたように思うが、今後 は注意すべきである。
岡本宏巳(広大AdSM)


私は、座長を仰せつかった日(28日午後)だけ出席させていただきました。レーザービーム/プラズマ相互作用に関する発表を受け持ちましたが、日頃よく知っているグループの発表に限られていたためか研究の進み具合をよく知ることができた。とくに海外で行われた研究をフォローし始めている状況を知ることをできたが、まだ独自の新しい視点、発見を提出できるところまで成長していないようだ。また年輩の参加者は加速器分野からの人々が多いせいか、どうも何の役に立つかという性急なコメントや質問が発せられ、量的な成果を強調するような討議に終止したように思う。座長としてもビーム’物理’本来のメカニズムや新しい効果の発見という方向に議論をもっていけなかったことは時間のないこともさることながら力量の至らないところと反省しています。今後、単なる目的や目標の達成に関する発表は、別の加速器や放射光の会議でやってもらうことにしてこの分科会では新しい’物理’を掘り起こすような発表、討論を心掛けるべきであろう。
中島一久 (KEK加速器/総研大)
 「ビーム物理」の分科立ち上げに向けて素粒子実験、実験核物理、プラズマ合同の 「ビーム物理」のセッションを昨秋の新潟大学での年会に引き続き開催しました。新 たな分科を設立すると言うことで、意欲的なご講演を頂いたこともあり全体的には所 期の目的を果たし得たのではないかと考えています。ただ、岡本さんも指摘しておられるように,高エネルギー加速器国際 会議が全く日程的に重なってしまっていたのは、このセッションの初日にJLC関係 の講演が多数あったことを考えると惜しい気がしました。日程の決定に当たってはこ の辺の状況によく注意を払っていただきたいという気がいたしました。
野田 章 (京大化研)

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ビーム物理研究会入会案内


入会を希望する方は申し込み書に記入して、世話人会に申し込み、その承認を得てください.入会申し込み書の記入事項は、
1)姓名、同ローマ字綴り、
2)生年月日 
3)勤務先、職名、就学先、学年、所在地、e-mail、現住所、紹介者名(世話人2名)です。(世話人の紹介を得られない場合は、世話人会に直接入会を要請してください。この場合、入会希望者は世話人会の要求する資料を提出してください、面接をお願いする場合もあります。)
連絡は ビーム物理研究会SOKEN@BAROQUE.KEK.JP へお願いします. 

 

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高エネルギー物理学奨励賞


hecforumで『第3回(2001年度) 高エネルギー物理学奨励賞 推薦及び応募のお知らせ』 を御覧になっった方も多いと思います。過去の受賞例を見ても狭い意味の高エネルギー物理にこだわらず、質の良い加速器研究であれば受賞の可能性もおおいにあります.以下はhecforumからの抜粋です.

『第3回(2001年度) 高エネルギー物理学奨励賞 推薦及び応募のお知らせ』

下記の要領で 「第3回 高エネルギー物理学奨励賞」の 対象候補者と論文の推薦及び応募の受け付けを行います。

- 記 -

1. 推薦・応募締切 :2001年 4月30日
2. 対象者及び論文:1998年 4月 1日より2001年 3月31日の 間に公表された論文(博士論文は正式審査を通過した時点、他の論論文は雑誌に掲載もしくは プレプリントが発行された時点とする。)で公表時 の対象者の年齢が35才以下であること。
3. 推薦・応募手続き:推薦・応募用紙に必要事項を記入し、 対象論文の別刷りまたはコピー 、推薦状(推薦の場 合)、論文要旨(日本語100〜200字程度)そ れぞれ6部とともに下記に 送付・提出のこと
4. 提出先 :高エネルギー物理学研究者会議事務局
> 5. 発表 : 2001年6月末、HECFORUM にて発表

推薦・応募用紙は
http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/CRC/sokuhou/sokuhou-073.txt
にあります.

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会合

■ 5/17-18 ミニワークショップ 「小型逆コンプトン散乱x線源」 核燃料サイクル開発機構 大洗工学センター.4/23

■6/11-15 ICFA Beam Dynamics Workshop on Laser Beam Interactions State University of New York, Stony Brook, NY.

■6/18-22 PAC2001 Chicago, Illinois.

■6/24-29 International Workshop on 2nd GENERATION PLASMA ACCELERATORS, Presqu'ile de Giens, France.

■7/4-6 総研大・KEK 夏期実習 素粒子原子核・物質構造科学・加速器科学, KEK. 4/23

■6/30-7/21 SNOWMASS Snowmass, Colorado.

■8/1-3  第26回 リニアック技術研究会 つくば.

■9/17-21 APAC01 Beijing.

■10/15-19 23rd Advanced ICFA Beam Dynamics Workshop on High Luminousity e+e- Colliders Cornell Univ., Ithaca, NY.

■10/29-31 第13回加速器科学研究発表会 大阪大学コンベンションセンター

■2002/3/11−16 International Symposium on Science of Super-Strong Field Interactions 原研関西研.

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プロシーディングス

以下の会合のプロシーディングスがpdf形式でダウンロードできます.

第25回リニアック技術研究会 7/12-14/2000 SPring-8.

EPAC2000 6/26-30 Vienna.

LINAC2000  8/21-25 Monterey.

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ネットでお勉強

以下のビーム物理の教科書がpdf形式でダウンロードできます. すでにホームページに教科書を掲載していて,ここに取り上げても良いという方はご一報下さい.

■町田慎二 Space Charge Effects http://hadron.kek.jp/member/machida/pub/pub.html

■鎌田進 ビーム物理学入門 http://www-acc-theory.kek.jp/members/kamada.html

■平田光司  "Advanced Single Particle Dynamics" (RIKEN Winter School on Physics of Beam)(1998) (日本語:単粒子力学上級編) http://www-acc-theory.kek.jp/members/HIRATA.html

■小方厚 レーザー・プラズマ・ビームの相互作用  http://home.hiroshima-u.ac.jp/~beam/ogata.html

■J. Rosenzweig " Fundamentals of Beam Physics"  http://www.physics.ucla.edu/class/00W/150_Rosenzweig/notes/index.html, 著者はUCLAのBeam Physics Labの教授.

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